フォーブス『Forbes 30 Under 30』は、優れた起業家やクリエイターなど「世界を変える30歳未満」を部門ごとに30人選出するアワード企画、。次世代をけん引する若い才能に光を当てるアワードで、米『Forbes』が2011年12月より開催し、世界的に注力している企画だ。米国版をはじめ、欧州版、アジア版、アフリカ版など、25カ国・地域で開催し、世界規模へと成長している。Forbes JAPANでも2018年より「Forbes JAPAN Forbes 30 Under 30」を開催しており、8年間で総計330人を選出してきた。なお、2025年の日本版では「自分が思うより良い未来」を目指す30人の選出となった。
本稿では、2020年にフォーブス『Forbes 30 Under 30』のソーシャルアントレプレナー部門に選出された、起業家アビ・ラメシュ(33)を紹介する。
ラメシュが創業者兼CEOとして率いるMisfits Market(ミスフィッツ・マーケット)は、2018年創業の食料品宅配スタートアップだ。年間売上高は、5億ドル(約795億円。1ドル=159円換算)規模に達した。米東海岸ボルチモアにある同社は、米消費者の買い物のあり方を再構築しようとしている。
高度なアルゴリズムと物流代行が支える、年間約795億円規模の食料品宅配事業へ
Misfits Marketの倉庫内の気温は、氷点下に保たれている。創業者兼CEOのアビ・ラメシュは、壁際に高く積み上げられた冷凍ピザやチキンウイング、アイスクリームのパレットの間を歩いていく。冷凍エリアを抜けた彼は、メインフロアへと移動する。
フォークリフトが行き交う中、2本の仕分けラインで会員向けのボックスに商品が次々と詰められている。梱包の順序は、食品のサイズ・重量・温度、購入頻度、配送先の天候など数十の指標を考慮する高度なアルゴリズムが決定する。
「すべての箱はこのラインを流れていく。その順序はきわめて科学的なプロセスで決められている」とラメシュは語る。
常温・冷蔵・冷凍の商品を同一注文にまとめ、全米でも数少ないシステムとして機能
ラメシュによると、この仕組みは全米でも数少ないシステムだという。常温・冷蔵・冷凍の商品を同一の注文としてまとめ、カスタマイズした食品ボックスを顧客の玄関先まで届けられる点が特徴だ。ラメシュは他ブランドの物流代行事業も拡大しており、Misfitsを「生鮮食品版のアマゾン」、あるいは少なくとも「アマゾンプライムのような存在」に育てたいと考えている。ただし、その実現にはまだ長い道のりがあると本人も認めている。
「アマゾンはEコマースのためのインフラを構築したが、それを収益化する方法は他にも豊富にある」とラメシュは語る。「その発想は、常に頭にあった。もし、国内で最高の生鮮食品インフラを構築できれば、それをさまざまな形で収益化できる」。
創業当初の規格外農産物から通常の食料品販売へ、収益構造が大きく変化
ラメシュはMisfitsを年間売上高5億ドル(約795億円)規模の事業へと成長させた。このうち4500万ドル(約72億円)はフルフィルメント部門の「Fulfilled by Misfits」による収益だ。創業当初から扱う規格外の農産物販売が収益約5000万ドル(約80億円)、社内ブランド「Odds & Ends」も約5000万ドル(約80億円)を売り上げている。ただし現在では、売上の大半は通常の食料品販売によるものだ。



