1973年から今日まで、中東での戦争の影響による原油価格の高騰が常に人々の悩みの種となっている。だが、石油への依存を永久に終わらせることができたら、どうなるだろうか。これは人々の長年の夢であり、今や現実に少なくとも一歩近づいているのは、米国の科学の大胆な偉業である、とてつもなく強力な巨大レーザーのおかげだ。
私は毎日、米ニューヨーク州にあるロチェスター大学に車で通勤する途中で、大学付属のレーザーエネルギー研究所(LLE)の横を通る。LLE(通称レーザー研)は米エネルギー省(DOE)の施設で、非常に大型のレーザーを何台も保有している。詳細は複雑(後で詳しく述べる)だが、任務はシンプル。国の安全保障のために建造された超巨大レーザーを用いて、燃料物質に圧力をかけることだ。木星のコア(核)や太陽の中心部を想像してほしい。核融合研究は、DOEの国家安全保障計画にとって重要であると同時に、豊富なエネルギーとハイテク雇用創出に道を開くものだ。
今日、エネルギーコストに誰もが頭を悩ませている中、自分たちが生きているうちに起こるかもしれないエネルギー革命について整理して説明しておくのもいいだろうと考えた。いまだ前途に重要な課題があり、ゴールは数十年先になるかもしれないが、ほんの数年前には少なくとも1つの鍵となる節目を達成している。
核融合とは
太陽が輝いているのは、核融合反応が起きているからだ。水素のような単純な原子同士が非常に密に圧縮されることで一体化(融合)し、より少し複雑な元素のヘリウムになる反応だ。エネルギー(E)と質量(m)の等価性を表す物理学者アルバート・アインシュタインの有名な法則E=mc2(cは光速)により、水素が融合してヘリウムができる核融合反応では、わずかな質量がエネルギーに変換される。このエネルギーを捕捉すれば、発電タービンのようなものを動かすことができる。
核融合は、既存の原子力発電所に動力を供給している核分裂反応とはまったく異なる。核分裂反応はウランなどの大きな元素の原子核を分裂させ、この過程で有用なエネルギーを抽出するが、汚染物質が発生する。大量の放射性廃棄物が残されるため、数万年間にわたって安全に保管しなければならない。だが、新世代の核分裂炉は、はるかに少量の廃棄物しか生じないことも注目に値する。その一方で、核融合では懸念すべきものがほぼ何も発生せず、始動の燃料として基本的に海水を用いることができるだろう。
では、いまだに核融合炉が存在しないのはなぜだろうか。
核融合は実験室内で達成するのが本当に難しいことが判明している。太陽は膨大な量の物質の重力を用いて水素の原子核を圧縮し、核融合条件を実現している。残念ながら、太陽に相当する量の物質を地球上の実験室内に詰め込むことは不可能だ。すなわち、科学者は別の方法で水素を圧縮し、数千万度の高温と超高圧という核融合条件を実現する必要があるわけだ。



