創業者ジェリーが退き、姉弟による新体制のもとPURISは次の成長段階に
この頃、ジェリーは日常的な経営の第一線から退き、子どもに経営を引き継ぐ準備を進めた。自身は現場での植物育種や、遺伝学研究開発チームの指揮に専念するようになった。
当時弟ローレンゼンは、プロのアメリカンフットボール選手として活動しており、2009年にはニューオーリンズ・セインツの一員としてスーパーボウル優勝を経験していた。その2年後に家業に加わり、事業開発担当副社長に就任。2015年に社長となり、2018年にはPURISのCEOに就任してカーギルとの合弁事業を主導し、プロテイン事業の商業化を進めた。
その前年には、元医療機器エンジニアの姉アチソンが事業に加わり、2020年にPuris HoldingsのCEOに就任して種子開発事業を統括するようになった。
過去5年間で、PURISの種子は遺伝子組み換え品種よりも高い収量を実現するようになったとローレンゼンは語る。高温化や土壌の劣化に苦しむ農家にとっても解決策になり得るという。ただし彼は、味の良さにも強くこだわり続けている。
「消費者の現実に合わせた製品を作らなければならない」と彼は言う。「健康にいいから食べろと押し付けることはできない。品質の高い製品を市場に広げていけば、人々はそれを“我慢して食べる健康食品”ではなく、“美味しい食品”として受け入れるようになる。それが実現できれば大きな意味があるし、市場もそうした商品を求めている」。
10年かけて開発した「クリアプロテイン」で、飲料市場への参入を目指す
今後について、アチソンとローレンゼンはPURISの種子を栽培する農地を拡大するとともに、同社のプロテインを一般的な食品に組み込む新たな方法を模索していくという。注目しているのが、溶解度98%の「クリアプロテイン」だ。これは従来のプロテインのように濃厚でミルクのような質感にならないため、飲料への利用に適している。近い将来、プロテイン入りの炭酸飲料や、場合によってはプロテイン入りカクテルに採用される可能性がある。
ローレンゼンによれば、PURISが10年かけて開発し、昨年ようやく商業化したこのクリアプロテインは、新しい商品カテゴリーを生み出す可能性がある。とくにGLP-1系薬を利用する消費者向けの製品で需要が高まると見ている。
「重要なのは、顧客がどれだけ商品を買うかではなく、どれだけ最後まで食べ切るかだ」とローレンゼンは語る。「我々は、実際に無理なく摂取できる形で栄養を届けられているのかを考えなければならない。クリアプロテインは満腹感を強く与えない。栄養は摂れるが、重すぎないんだ」。


