経営・戦略

2026.03.17 09:17

CVC組織は社内構築か外部委託か──企業が知るべき判断基準

AdobeStock

AdobeStock

世界中で、企業はより革新的になろうとしている。しかし、動きが遅く官僚的になりがちな企業環境では、これは大きな課題である。投資は企業がより成功するための有効な手段として注目されている。スタートアップは通常イノベーションの中心地であり、彼らと協業することで、財務的なリターンに加え、新しいアイデアや新技術を企業にもたらすことができる。

advertisement

投資を始める方法の一つは、経験豊富なVC投資家を採用し、社内にコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)組織を設立することである。一見良いアイデアに思えるが、実際には社内投資組織の構築は非常に困難であり、非効率性と高い間接費に悩まされることで知られている。社内VCチーム構築に伴う主な課題を見ていこう。

高コスト

経験豊富なベンチャーキャピタル投資家を採用することは重要だが、同時に非常に高くつく。シリコンバレー水準の高額な給与に加え、グローバルな出張費、研修費、案件発掘のためのインフラ、コンプライアンス体制の整備など、多大な費用がかかる。やや見えにくい追加コストとして、定着(リテンション)がある。主要な従業員を維持するためのボーナスや昇給が必要になることもある。さらに、スター級のチームメンバーが退職すれば、企業は彼らのネットワーク、蓄積された知識、案件パイプラインの継続性を失うことになる。

知識とネットワークのギャップ

一般的に、企業の投資組織は、特に新設の場合、投資に関する深い知識を持たず、グローバルなスタートアップネットワークも脆弱である。一方、企業にサービスを提供する経験豊富なVCは、長年かけてネットワークを構築してきた強みがある。社内VCチームがネットワークを確立し、スタートアップエコシステムで信頼を築くには、数年の歳月と数百万ドルの費用がかかる可能性がある。これは高コストで困難な目標であり、最善の努力を尽くしても達成できないかもしれない。

advertisement

VCaaSという選択肢

ベンチャーキャピタル・アズ・ア・サービス(VCaaS)は、独自の投資サービスとして、企業に対してより効果的で効率的、かつスリムなモデルを提供できる。VCaaSを活用することで、企業は社内VCチームの高い固定費を回避できる。社内投資チームの構築という大きな課題を引き受けるのではなく、経験豊富な専門家に投資業務を外部委託する良い方法となり得る。

Intel CapitalやM12(Microsoftのベンチャーファンド)など、コーポレートベンチャーキャピタルの成功例もあるが、費用と課題のためにVCチームを閉鎖した企業の事例も数多くある。Global Corporate Venturingによると、最近閉鎖されたCVCユニットには、Emasa Ventures、Anglo AmericanのDecarbonisation Ventures、Verizon Ventures、SAP.iO(ドイツのソフトウェア企業SAPの一部門)、ZX Venturesなどがある。理由としては、企業再編、企業戦略との関連性の欠如、企業とCVCユニット間のコミュニケーション上の課題などが挙げられる。

VCaaSモデルを活用することで、企業は経験豊富なVC会社と提携し、以下のような潜在的なメリットを得ることができる。

・世界中に広がる強固な案件フローネットワークを通じて、最も革新的なスタートアップにアクセスできる。これらの会社はすでに起業家との強固な関係を築いており、企業が最良の案件を見つけることを可能にする。

・実績のある投資フレームワーク。VCaaSプロバイダーは成功する投資の方法を熟知しており、投資企業をプロセス全体を通じて導き、困難や失敗の可能性を低減する。

・継続性と安定性を備えた、経験豊富で確立された投資チーム。通常、これらのチームは長年にわたり投資を行っており、企業パートナーはその経験から大きな恩恵を受ける。

VCaaSモデルは、共有サービスを提供するため、企業にとって合理的な選択となり得る。より革新的になろうとする企業は、社内VCチームを構成するコストのごく一部で、世界水準のベンチャー投資の知見と能力にアクセスできる。このモデルは、知識の喪失やチームの離職という問題を回避しながらコスト効率を実現し、企業のリスクを軽減する。多くの企業が、社内投資チームの構築にかかる費用と困難は単純に見合わないと語っている。

とはいえ、あらゆる外部委託には潜在的なリスクが伴うため、VCaaSの注意点も認識しておくことが重要である。このアプローチを採用するには、VCパートナーを慎重に選定し、一貫したコミュニケーションを維持し、企業の財務目標と戦略目標について率直に伝えることが求められる。

戦略的柔軟性

VCaaSパートナーと協働することで、企業は投資目標を効果的に外部委託できる。固定費の負担に縛られるのではなく、パフォーマンス目標に基づく柔軟な取り決めのもとで目標を達成できる。企業はいつでも戦略や予算を変更でき、VCaaSパートナーはそれに応じて投資の焦点を調整する。企業は世界中のスタートアップに直接アクセスでき、社内でそうした技術を開発したり自社を変革したりすることなく、新興技術へのアクセスを通じてより革新的になることができる。

結論

イノベーションを求める企業は、重要な選択を迫られている。他社から経験豊富なベンチャーキャピタル投資家を採用し、長く在籍するかどうかわからないチームの雇用に多額の資金を投じることもできる。離職はコストがかかり業務を混乱させるため、社内チームの研修と安定維持に追加の資金と時間を費やす必要がある。もちろん、社内コーポレート投資組織が理にかなうケースもある。主な要件としては、十分な予算、組織の長期的なコミットメント、強力な採用能力、そして企業の投資方針と事業・技術上の優先事項との整合性が挙げられる。

あるいは、企業はベンチャーキャピタル・アズ・ア・サービスを検討することで、コスト効率が高く、迅速で、比較的安定した成果を得られることが多い。この確立されたモデルを活用することで、企業は世界中の最良のスタートアップを発掘し協業することに予算を集中でき、それが企業の長期的な成功と成長を促進することになる。

本稿で提供される情報は、投資、税務、財務に関するアドバイスではない。具体的な状況については、資格を持つ専門家に相談されたい。

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事