リーダーシップ

2026.03.17 09:08

「タレントデベロッパー」という呼称が組織文化を変える理由

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タレント開発のリーダー30人以上へのインタビューを通じて、最も頻繁に挙がった課題の1つは、育成プログラムを定着させ、企業文化の一部にすることだ。

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私が出会った中でも最良の例の1つが、The Opus Groupである。Opus Agency、MAS、Verveなどを含む、イベントおよびエクスペリエンシャル・マーケティング代理店のグローバルネットワークだ。同社のタレント開発システムは、タレント開発ディレクターのマリッサ・ロングとそのチームが主導している。アプローチの特徴は、育成機会を全社員に開放すること、育成と連動した毎月のウェルビーイング・セッションを提供すること、そして感情知能をチーム単位で全社にスケールさせていくことにある。

以下では、同社の仕組みと、それが機能する理由を分解して説明する。

「マネジャー」ではなく「タレントデベロッパー」

多くの企業は、人を率いる立場を「マネジャー」と呼ぶ。The Opus Groupでは「タレントデベロッパー」と呼ぶ。言葉を変えることで、マネジャーの役割は部下を育成することだと、改めて思い出させる効果がある。

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「言葉に対する考え方を切り替えるには時間がかかる」とロングは言う。「ただ、私の肩書きを独占しておく理由はない。1人の人間である私が、650人を超えるコミュニティのタレント開発を監督することはできない。リーダーたちとのパートナーシップなのだ」

The Opus Groupは、マネジャーにタレントを育成する方法を、明確に、体系的に、共通のベースラインを持って教える。社内のマネジャー向けシリーズは5つのコースから成り、Talent Developer 101–105と名付けられている。もともとは、既存リーダー向けの復習と新任リーダー向け研修の両方として始まり、現在は新任マネジャー向けに、四半期ごとにコホート型で提供されている。

この5部構成のシリーズがカバーする内容は以下の通りだ。

Talent Developer 101:役割と期待の導入。プログラムはアイデンティティの転換から始まる。「個人貢献者であることと何が違うのか?」という問いだ。その後、「良い状態」とは何か、リーダーが何に責任を負うのかを具体化する。そこには、雇用関連法規を一貫して公平に適用することも含まれる。

Talent Developer 102:採用と面接。採用マネジャーおよび面接パネル担当者向けのコースである。目的は2つ。温かく歓迎的な面接体験を提供しつつ、限られた時間で妥当な意思決定に必要な情報を得ることだ。

Talent Developer 103:コーチングとフィードバック。ここで「ソフトスキル」が業務として運用可能になる。リーダーは、コーチングの方法、フィードバックの伝え方、そしてそれらの会話を「たまに」ではなく一貫して行う方法を練習する。

Talent Developer 104:パフォーマンス上の懸念の特定と対処。ロングはこれを、課題を早期に見つけ、直接対処し、支援とコーチングを提供し、全体のプロセスがどのようなものかを理解する一連の流れとして位置づけている。

Talent Developer 105:成長と能力開発の対話。「105は、成長と能力開発の対話を促進することがテーマだ」。注目すべきは、これらの対話が昇進に限られない点である。現職に満足しているが、スキルを広げ、新しい挑戦を引き受けたい社員も対象に含まれる。

「私たちが強い情熱を注いでいることの1つは、リーダーシップ開発のツールやリソースへのアクセスを拡大することだ」とロングは説明する。「キャリアの初期であっても、経験豊富なプロフェッショナルであっても、誰もが必要なツールにアクセスでき、成長と発展を後押しできるようにしたい」

感情知能をチーム単位でスケールさせる

多くの組織では、感情知能は個人の自己改善として捉えられがちだ。しかし、ヴァネッサ・アーチ・ドルスカットによる研究は、チームが感情知能を高めるのは、個人の気づきだけではなく、共有された規範と習慣によることを示唆している。チームは、意図的に感情を表に出し、信頼に基づく規範を築くとき、集団としての感情知能を高める。

ロングとそのチームも、この考え方に同意している。「感情知能のようなトピックを扱うときは、チームとしてワークショップや対話を行うようにしている。そうすれば、リーダーだけでなく、全員が一緒に学べる」と彼女は言う。

彼女の「Leading with Emotional Intelligence」プログラムは次のように進む。

1)評価の前に土台を整える。ロングがチームミーティングに参加し、「なぜやるのか」、結果をどう活用するのか、誰が何を見るのかを説明する。彼女は明確にする。これは評価のためではなく、育成のためである。

2)自己評価を実施する。この評価は、自己認識、自己調整、モチベーション、社会的認識、社会的調整を測定する。

3)内省の時間を確保する。参加者はコーチング・セッションの1〜2日前に結果を受け取る。

4)1対1のコーチング・セッションを行う。「コーチング・セッションで会い、結果を一緒に確認する」とロングは言う。目的は、誤解ではなく理解を確実にし、個別のアクションプランの作成を始めることだ。

5)チームを再び集める。1〜2週間後、チーム・ワークショップはスコアの比較ではなく、共通言語に焦点を当てる。「ワークショップでは『評価で何が出た?』という話よりも、どうやって共通言語をつくるかが中心になる」と彼女は言う。EQの各要素を一緒に掘り下げ、得られた洞察を、仕事で実践できるチーム行動へと落とし込む。

リーダーのコホートではなくチームに対してプログラムを提供するため、チームがその語彙を定着させ、今後の会議や対話でモデルを参照する可能性ははるかに高まる。

リーダーが今すぐ実践できる2つの学び

「呼び名」の力を過小評価しない。企業文化に影響を与えるうえで、プログラムの名称がテコになり得ることを忘れてはならない。マネジャーをタレントデベロッパーと呼ぶことは、マネジャーがタレント開発を自らの役割の最重要事項として捉える助けになる。

EQ(およびそれに類するスキル)はチーム単位で鍛える。これにより、モデルや重要概念についての共通の語彙と記憶が形成される。

これら2つの学びはいずれも、L&Dリーダーが、チームレベルでも会社レベルでも採用されるプログラムを設計する助けとなる。

ケビン・クルーズは、感情知能研修企業であるLEADxの創業者兼CEOである。New York Timesのベストセラー作家でもある。最新刊はEmotional Intelligence: 52 Strategies to Build Strong Relationships, Increase Resilience, and Achieve Your Goalsである。

forbes.com 原文

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