ビジネスに優れたウェブサイトさえあれば顧客を呼び込める、と考えているなら、いまこそ見直すべきだ。確かにウェブサイトは重要な役割を担う。商品を提示し、必要な情報を共有し、見込み客にブランドを紹介する。しかし時代は変わり、今日のデジタル消費者は、単なるオンライン上の存在以上のものを求めている。いま重要なのは、顧客がサイトを訪れる前、訪問中、そして訪問後に得る体験である。
いまのデジタル消費者が本当に求めているもの
オムニチャネル体験
例えば、ある顧客がOTT(オーバー・ザ・トップ)プラットフォームで動画を見ながら、Instagramでスニーカーブーツの広告を目にしたとする。顧客は広告をクリックし、ブランドのモバイルアプリでブーツを閲覧し、ウィッシュリストに追加する。その後、レビューを読み、メールのリンク、アプリ、あるいは店舗で購入を完了する。買い手にとってこれは、複数のプラットフォームにまたがっていても「1つの買い物体験」である。
こうした体験を顧客に提供するには、チャネルを横断してどのように顧客とつながるかに注力したい。例えば、カスタマーデータプラットフォームを活用する、デバイス間でカートを同期させる、広告に商品リンクを組み込む、といった方法がある。また、顧客関係管理(CRM)プラットフォームを営業・マーケティングデータと統合すれば、顧客行動の全体像を把握できる。
モバイルに最適化されたアプリとウェブサイト
いま、閲覧、商品比較、購買の多くはモバイル上で行われている。それでもなお、消費者の期待とモバイル体験が実際に提供しているものの間には、目に見えるギャップがある。読み込みの遅さ、商品情報の不備、複雑なチェックアウトなどにより、モバイルでの導線は遅く感じられたり、断絶しているように感じられたりしがちだ。顧客は不満を口にしないかもしれないが、単に離脱するか、アプリを再訪しなくなる。つなぎ留めるには、ページの高速表示、明確なメニュー、滑らかなナビゲーション、整理された在庫に注力すべきである。
リターゲティング
リターゲティングは、顧客がウェブサイトを離れた後に再度関与を促すうえで極めて効果的な方法だ。しかし、この戦略が最大限に機能するのは、広告が関連性を備えている場合に限られる。顧客の関心に基づいて商品を提案していること、そして表示頻度が過度にならないよう制限されていることを確認したい。
この戦略を実装するには、まず動的ピクセルから始めるとよい。動的ピクセルとは、ウェブサイトやアプリに埋め込まれたトラッキングツールで、閲覧した商品、カートに入れた商品、過去に購入した商品など、顧客の行動に関するリアルタイムデータを収集する。これらのデータを用いてオーディエンスをグルーピングし、パーソナライズされたリターゲティング広告を自動配信できる。
プッシュ通知
注文状況、値下げ、新しいオファー、入荷情報、保存済みアイテムに関するプッシュ通知は、邪魔にならずに顧客へ情報を届け、エンゲージメントを維持する賢い方法である。ただし、送信する通知が顧客の嗜好に沿った関連性とパーソナライズを備えていることが前提だ。例えば「新しい在庫が入りました」という通知の代わりに、ウィッシュリストに保存したアイテムが値下げされたことを知らせる、といった具合である。
素早いチェックアウト
私が常に推奨しているのは、顧客にとってスムーズなチェックアウト体験を提供することだ。複雑なフォーム、アカウント作成の強制、その他の不要な手順に付き合いたい人はいない。チェックアウトがシンプルでストレスなく、複数の決済手段が用意されていれば、迅速な購入につながる可能性が高まる。さらに、顧客にブランドへの好印象を残すことにもなる。
必要なときに役立つリアルタイムサポート
顧客は、商品、価格、注文状況、配送について頻繁に質問する。しかし、すぐに回答が得られないと、離脱してしまうことが多い。そのため、ライブチャット、メッセージング、チャットボット、アプリ内サポート機能などで支援することが不可欠である。
顧客がリアルタイムのサポートを得られれば、購入を未完了のまま放棄するよりも、買い物を続ける可能性が高まる。また、迅速なサポートを提供しない競合に対して優位に立つ助けにもなる。
AIショッピングアシスタント
AIを活用したショッピングを無視するブランドは、顧客を失っているのではない。時間とともに、見えなくなっていくのだと私は観察している。デジタル時代のいま、多くの顧客はAIアシスタントを使って商品を探し、価格を比較し、情報に基づいた意思決定をしている。例えば、複数の店舗を回遊する代わりに、顧客がAIに「明日までに配送できる100ドル以下で評価の高いブーツを探して」と尋ねるかもしれない。
この環境で可視性を保つには、AIシステムが自社商品を見つけ、推奨できるようにする更新に注力したい。例えば、明確なスキーマと一貫した属性を用いて商品データを構造化する、在庫をリアルタイムで更新する、タイトルや説明文を改善する、価格を明確に表示する、といった取り組みである。AIは、顧客に何を提示するかを判断する際に、正確性、明確さ、鮮度を求める。
コミュニティとの関与
いま、多くの消費者は購入前に商品レビューを確認したり、実際の顧客体験を通じてブランドを知ったりしている。YouTube、Reddit、SNSのコミュニティなどのプラットフォームを訪れるのだ。この層を取り込むには、実際の顧客体験、真正なレビュー、信頼できる透明性のあるフィードバックを提供する必要がある。私の経験では、顧客に対して誠実であるブランドこそが、尊敬、ロイヤルティ、長期的な信頼を勝ち取っている。
シンプルな返品
返品プロセスに不安があるという理由だけで、カートを放棄する顧客が多いと私は気づいている。商品に問題があり返品したくなった場合、手続きが複雑で、時間がかかり、ストレスになると考えてしまうからだ。返品をシンプルかつ明確にし、適時の更新を行うブランドは、顧客がより自信を持って購入できるよう促す。
最後に
今日のデジタルマーケティングの時代において、良いウェブサイトを構築し、トレンドを追うだけでは十分ではない。顧客が何を期待し、どの接点が買い物の導線を楽しく便利にするのかを考える必要がある。これらのデジタル接点を整合させることで、持続的な成長とリピート購入を支える、強固で一貫した体験を提供できる。



