米国の対イラン軍事作戦をめぐる公的な議論において、J・D・ヴァンス副大統領の存在感が著しく薄れている。ヴァンスは、イランとの戦争の可能性についてたびたび反対の意思を表明してきた人物。複雑化する一方の中東情勢と政治的リスクの高まりにドナルド・トランプ大統領が直面する中、ヴァンスが自身の政治的将来を見据えて守りの姿勢に入っているのか、それともトランプと真に対立しているのか、疑問が浮上している。
イラク戦争に従軍した経験を持つ退役軍人のヴァンスは6日、記者団の追及に対し、対イラン戦争に関するトランプ大統領との協議内容は「機密扱い」だとのみ述べた。ただ、複数の報道によればヴァンスはイラン攻撃に反対しており、トランプにも意見していたという。政治ニュースサイトのポリティコは6日、匿名のトランプ政権高官の話として、ヴァンスは「懐疑的」で「成功を心配」し、戦争に「とにかく反対している」と伝えた。
見解の相違についてはトランプも認めており、9日の記者会見では、イランでの米軍の作戦にヴァンスは「あまり熱心ではないかもしれない」と発言。「哲学的に自分とは少し異なる」と述べた上で、「この件に関してわれわれは非常にうまくやっている」と強調した。
政治観測筋は、ヴァンスが2028年の米大統領選への出馬を見据えて、この戦争と距離を置こうとしているのではないかとみている。対イラン軍事作戦は米世論調査で不人気で、トランプ支持の「MAGA(米国を再び偉大に)」層でも支持が割れている。
トランプの元盟友から一転、対立して今年1月に下院議員を辞職した共和党のマージョリー・テイラー・グリーンは開戦3日後の今月2日、米著名ニュースキャスターのメーガン・ケリーとのインタビューで「J・D・ヴァンスはいったいどこにいるのか」と疑問を呈した。この時点で、普段はX(旧ツイッター)に頻繁に投稿しているヴァンスは、開戦についてSNS上で言及していなかった。
このインタビューが放送された数時間後、ヴァンスはイランでのトランプの行動を擁護し、アフガニスタンやイラクでの戦争とは異なると米FOXニュースにコメント。トランプにはイランの核兵器保有を阻止するという「明確な目的」があるとして、「ドナルド・トランプが終わりの見えない長引く紛争に米国を巻き込むようなこと」は「決してあり得ない」と述べた。



