この力学は数字に表れている。CATによれば、2025年の中国のグリーンエネルギー投資は世界の約39%に上り、国内総生産(GDP)の約10%をクリーンエネルギー部門が占めている。
この急増は、より複雑な経済状況の中で起きている。近年の中国経済を総合的に見ると、長引く不動産不況、消費需要の低迷、地方政府の債務増加に圧迫されて減速している。成長は継続しているが、猛烈な成長を遂げていた時期に比べれば、そのペースは緩やかだ。
こうした状況は、中国政府がクリーンエネルギー技術などの先端製造分野に積極的に進出している理由の一つの説明になる。政策担当者がクリーンエネルギー技術を経済成長の新たな原動力とみなすようになっているのだ。
その結果、中国の風力発電と太陽光発電の容量は直近3年間で2倍以上に増加。グリーン電力の成長率は電力需要全体の伸びを上回り、これは化石燃料による発電量を徐々に削減し始める転換点となったと、気候・エネルギー分野のシンクタンクである英エンバーは述べている。
エンバーの報告書はこう記している。「長きにわたり新興経済国は、成長を取るか、持続可能性を取るかの厳しい二律背反に直面してきた。中国のグリーン化は、この前提に挑戦するものだ。規模の拡大とイノベーション、長期的な計画を通じて、脱炭素化と産業の高度化、雇用創出、生活の質の向上を両立させられることを、中国は実証している」
製造業の未来を形づくる
この拡大はもはや純粋に補完的なものではない。再生可能エネルギーの増加ペースが総電力需要の伸びを上回れば、石炭やガスを補完するどころか、それらに置き換わるエネルギー源となる。風力と太陽光が漸増する需要を吸収し、化石燃料の発電量を押し下げる。これは電力システムにおける構造的な転換であり、石炭をベースにした拡大にとどまらない。
地政学的な影響は一見わかりにくいが、より重要なのはほぼ間違いない。電化は自動車や屋根置き太陽光発電にとどまらず拡大しており、データセンター、AI(人工知能)インフラ、産業用熱利用、輸送機関などはすべて、膨大な電力設備、バッテリー、変圧器、送配電設備を必要とする。
中国がこれらのシステムの生産を独占すれば、電化経済全体で価値を掌握することになる。国際的なエネルギー情勢に関するデータ開発と分析を行う米NGOグローバル・エネルギー・モニター(GEM)の推計によると、中国は現在、世界中で建設中の商用規模の太陽光発電所と風力発電所の総容量の約4分の3を担っている。


