経営・戦略

2026.03.16 21:34

研修だけでは足りない──システムの「スーパーユーザー」を育成する秘訣

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Cory McNeleyはUHY Consultingのマネージング・ディレクターである。

考えてみれば、多くの企業はテクノロジーのトレーニングに多額の投資をしている。新しいソフトウェアが導入され、ユーザーはワークショップに参加し、研修セッションを受け、業務支援資料が配布され、誰もが「はい、研修を受けました」と書かれたチェックボックスを埋めるためのプロセスを一通りこなす。

そして時間が過ぎる。1カ月、1四半期、そして1年が経つ。

そのとき、導入・定着が一様ではないことが明らかになる。回避策が出現し、裏のプロセスが忍び込む。本来は仕事を楽にするはずだったシステムが、推進力ではなくボトルネックのままに感じられるのだ。

問題は努力不足ではない。焦点である。トレーニングだけでは「習熟」を生むにとどまる。イネーブルメント(活用を可能にする取り組み)は「実行力」を生む。この違いは、多くの組織が思う以上に重要である。

組織が一貫して見落としがちな最重要の役割のひとつが、社内のスーパーユーザー、あるいはチャンピオンだ。意図して育成すれば、スーパーユーザーはプロダクトの擁護者になり得る。システムの定着を高め、否定的な声を打ち消し、外部支援への依存を減らし、テクノロジーを埋没コストではなく資産へと変えられる。

ただし、スーパーユーザーとは、ボタンの場所を知っているマント姿の人物のことではない。

真のスーパーユーザーは、システム知識、業務文脈、そして影響力の交差点にいる。システムが「どう」動くかだけでなく、「なぜ」そう動くのか、そしてそれが業務成果をどう支えるのかを理解している。単に取引処理を実行するのではなく、その背後の仕組みを理解している。

スーパーユーザーの特徴

優れたスーパーユーザーには、いくつか共通する特徴がある。第1に、組織の機能面に対する深い理解を持つことだ。財務、オペレーション、人事、あるいは別の領域であれ、自分の領域を掌握している。どの組織にも必ずいる。仕事がどのように回っているかを本当に理解している人物である。

第2に、平均以上のシステム能力を備えている。設定に関する知識から来る場合もあれば、単にシステムを深く、継続的に使い込んでいることから来る場合もある。システムの思想を理解し、隅々まで把握し、その理解をもって問題が起きたときに解決する。システム内部統制の枠内で、取引処理を正しく動かす方法を知っている。

第3に、同僚からの信頼がある。テクノロジーの「頼れる人」がいる職場で働いたことは誰にでもあるだろう。それこそが本物のスーパーユーザーの姿だ。肩書きではなく、システムと業務を理解しているから信頼される。

そして最後に、継続的改善への強い志向がある。「これまでこうしてきた」を見て、「なるほど、でも今回は少し違うやり方でやろう」と言う。変化に抵抗するのではなく、変化を牽引する。

スーパーユーザーを見つける

スーパーユーザーは通常IT部門ではなく、ITの代替でもない。システムを運用する事業部門のユーザーであり、そのシステムの力が周囲の人々によって実際に引き出され得ることを日々の業務で示す存在だ。理論上のシステム設計と実装作業、そして現実の業務での使われ方という実務の間をつなぐ。

問題は、多くの組織がスーパーユーザーは自然に現れるものだと思い込んでいることだ。だが、そうなることはめったにない。見出し、育て、開発しなければならない。

肩書きや在籍年数ではなく、リーダーは行動のシグナルを見る必要がある。「どうやるか」だけでなく「なぜ」を問う人を探すことだ。あるプロセスがなぜ存在するのか、あるいはシステムがなぜ特定の挙動をするのかを問いかけるのは、仕組みを理解しようとしているシグナルである。

最低限の要件を超えて試行する人を探すことだ。その実験は周囲を不安にさせるかもしれないが、本当の学びはそこから生まれる。

人々が自然と相談に行く相手にも注目すべきだ。そこに、領域とシステムの両方を本当に理解している人物がいる。そして、非効率を見つけて改善を提案する人、特に上流と下流への影響を理解している人を探す。

こうした人材は組織のあらゆる階層にいる。高業績者もいれば、物静かな人もいる。意図して探さない限り、その適性は見えにくい。

スーパーユーザーを育てる

見つけたら、役割を定義しなければならない。

スーパーユーザーづくりとは、誰かを研修に送り込み、うまくいくことを祈る話ではない。意図的なイネーブルメント戦略が必要だ。出発点は役割の明確化である。スーパーユーザーであるとは、具体的に何を意味するのか。同僚のコーチングを担うのか。一次サポートとして機能するのか。変更管理と推進を担うのか。

さらに、より深いシステムアクセスが必要になる。基本的な権限だけではスーパーユーザーは育たない。システムのロジック、ワークフロー、設計判断に対する可視性を高めれば、なぜそのシステムがそのように動くのかを理解する力が加速する。

知識の成果は、まずビジネスを軸に組み立てるべきだ。スーパーユーザーは、単に作業の実行方法を知るだけでなく、リードタイムがどう短縮されるのか、コンプライアンスがどう改善するのか、利益率がどう守られるのかを理解すべきである。その文脈が、戦術的な知識を戦略的な実行力へと変える。

そして評価が必要だ。縁の下の力持ちは、隅に座ってシステムのすべてを知りながら、その功績が認められないことが多い。評価は、拡大したい行動を強化する。

スーパーユーザーを育てる価値

強力な社内チャンピオンへの投資対効果は、天文学的になり得ると私は感じている。新リリースの定着が速くなる。外部コンサルティングやサポートのコストを削減できる。システムが意図どおりに使われるようになるため、影の処理は減りがちだ。データ品質は向上し得る。レポーティングへの信頼はしばしば高まる。そして新入社員のオンボーディングも速くなりがちである。

これは、研修イベントから実行力の構築へという転換だ。効果を出すには意図が必要である。システムが組織の仕事の進め方の中心にあるなら、スーパーユーザーづくりは任意ではない。成功のための基礎工事である。

forbes.com 原文

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