ファッション業界が国際女性デーを迎えるなか、女性の起業とリーダーシップをめぐる議論は進化を続けている。女性は世界のファッションの多くをデザインし、消費者需要を形づくり、衣料品労働力の中核を担っている。
世界的に見ると、衣料品労働力の60〜80%を女性が占め、ファッションやビューティーを含む消費者の購買意思決定の約85%に影響を及ぼしている。それでも業界には、構造的な不均衡が残る。
英国のクリエイティブ産業では、ファッション・デザイン専攻の学生の約70%を女性が占めるが、プロのデザイナーとして働く女性は約22%にとどまり、業界全体の男女賃金格差は約26%に達する。
進展は見えている。しかし全体像は、依然として途上にある。
そうした背景のもと、ビスター・ビレッジは、ファッションにおける女性起業家精神がどのように変化しているかを読み解く興味深いレンズとなる。オックスフォードシャーのラグジュアリー・リテール・デスティネーションである同地は、年間700万人超を集め、150以上のブティックを擁する。欧州、中東、アジア、北米から買い物客が訪れる。
今年、同ビレッジは国際女性デーの取り組みの中心に、女性の起業家精神を据えた。
ザ・ビスター・コレクションの「Unlock Her Future Prize」を通じて、女性のソーシャル・アントレプレナーには最大10万ドルの助成金が提供され、目的志向のビジネスを世界各地で築く女性を支援している。2026年のプログラムはさらに拡大し、東アジアおよび東南アジアの創業者も対象に加えることで、イニシアチブのグローバルな到達範囲を広げた。
また同ビレッジは、リテール・コレクションの中から女性創業ブランドにもスポットライトを当てている。ジュエリーデザイナーのモニカ・ヴィナダーをはじめ、ファッションとライフスタイル領域にまたがる幅広い女性起業家コミュニティが、その一角を占める。
その景色の中には、今日国際的に展開する女性創業ファッションブランドのうち、ひときわ魅力的な顔ぶれが並ぶ。ステラ マッカートニー、ジマーマン、リクソー、バンフォードなどである。
ステラ マッカートニー:コンシャスラグジュアリーの先駆者
ステラ マッカートニーほど現代ファッションの方向性に影響を与えたデザイナーは少ない。
2001年に自身の名を冠したブランドを立ち上げて以来、マッカートニーは世界で最も成功した女性創業のラグジュアリーファッションハウスの1つを築き上げると同時に、業界に根付いた多くの慣習に挑んできた。レザー、毛皮、エキゾチックスキンを使わないという選択は、当時は広く急進的と受け止められたが、サステナビリティが業界の主要な議論となるはるか以前から、ブランド哲学の中心に据えられていた。
現在、ステラ マッカートニーは直営ブティック48店舗を展開し、77カ国に進出しており、ラグジュアリーファッションにおいて最も国際的な認知度を持つ女性創業ブランドの1つとなっている。
また同ブランドは、サステナブル素材のイノベーションの代名詞にもなっている。ベジタリアンレザー、リサイクルテキスタイル、そしてブドウ由来のレザー代替素材を含むバイオベース素材など、代替素材の実験を重ねてきた。
そのコミットメントに伴い、商業的成功も後を追った。マッカートニーは当初、グッチ・グループ(現ケリング)との合弁でブランドを立ち上げ、のちに2018年に事業の完全な支配権を買い戻したうえで、LVMHと戦略的パートナーシップを結んだ。
ファラベラのハンドバッグのようなシグネチャー製品は、世界で100万点超を販売しており、ブランドの商業的な強さを裏づけている。
今週のパリ・ファッションウィークで披露された最新ショーには、オプラ・ウィンフリーやポール・マッカートニー卿など著名な支援者が集い、同ブランドがなお放つ文化的影響力を浮き彫りにした。
ジマーマン:オーストラリア発、10億ドル規模のファッションサクセスストーリー
ビスター・ビレッジに最近加わったブランドの中に、ジマーマンの美しいブティックがある。現在、世界で最も成功している女性創業のラグジュアリーファッションブランドの1つである。
1991年にシドニーでニッキーとシモーヌのジマーマン姉妹によって創業されたこのビジネスは、地元のマーケットで商品を販売する小さな事業から始まり、ロマンティックなシルエット、精緻なディテール、独特のプリントで知られる国際的なファッションハウスへと成長した。
創業者2人のパートナーシップは、ブランドの持続力の中核である。ニッキー・ジマーマンがクリエイティブを率い、シモーヌが商業および運営戦略を統括することで、強いデザインアイデンティティを維持しながら事業を拡大することができた。
現在ジマーマンは世界50店舗以上を展開し、パリ・ファッションウィークでコレクションを発表、アメリカ、ヨーロッパ、アジアで大きく事業を拡大している。
その成長を支えたのが戦略的投資である。ジェネラル・アトランティックからの初期投資を受けた後、スタイル・キャピタルからの出資を経て、2023年にはアドベント・インターナショナルが過半数の株式を取得した。
この取引でジマーマンの企業価値は約15億〜17億5000万豪ドルと評価され、オーストラリア初の10億ドル規模のファッションブランドとなった。シドニーの草の根的なブティックで買い物をした記憶のある私にとって、これは驚くべきマイルストーンである。
リクソー:女性ファッション起業家の新世代
ビスター・ビレッジに最近オープンしたもう1つの素晴らしいブティックは、新世代の女性創業者の台頭を象徴している。
2015年にロンドンでヘンリエッタ・リックスとオーラ・マクロスキーが創業したリクソーは、各創業者が3000ポンドずつ出資し、大学のフラットで事業を始めた。
そうした初期段階から、同ブランドは、手描きプリント、シルク素材、ヴィンテージデザインに着想を得た体のラインを美しく見せるバイアスカットのドレスで知られる、コンテンポラリーファッションレーベルへと成長した。
外部投資が主流の業界において、同社は自己資金のみで成長を遂げ、創業者が完全に所有権を維持するという珍しい道を歩んできた。
現在リクソーは約100人の従業員を擁し、英国とニューヨークに直営店を構え、国際展開を続けている。
売上高は2023年7月期に1900万ポンドに達し、2026年までに3000万ポンドを超える見込みである。
初期のブレイクスルーは2016年に訪れた。ネッタポルテが同ブランドの取り扱いを開始し、ローンチからわずか1年で世界的な露出を得たのである。それ以来、同レーベルはブライダルウェア、アクセサリー、アウターウェアへと展開を広げ、「フューチャー・ヴィンテージ」というファッション哲学を支える独自のリセールプラットフォームも立ち上げている。
バンフォード:サステナビリティに根差すコッツウォルズのブランド
ビスター・ビレッジに出店するブランドの多くがグローバルな出自を持つ中、バンフォードは明確に地元に根ざした側面をこのストーリーにもたらしている。
2004年にキャロル・バンフォード男爵夫人(OBE)によって創業されたこの英国のラグジュアリーライフスタイルブランドは、数十年にわたる有機農業とサステナブル農業への取り組みから生まれた。バンフォードは1970年代から有機農法を実践しており、サステナビリティが主流の関心事となるはるか以前のことである。その後、その原則を衣料品、スキンケア、ホームプロダクトへと展開していった。
ファッション分野では、オーガニックコットンや責任ある調達によるカシミヤなど、天然素材や生分解性繊維に注力している。
バンフォードの最も注目すべき成果の1つが、完全にトレーサブルなメリノウール・サプライチェーンの構築である。コッツウォルズのデイルズフォード・オーガニックで直接羊を飼育することで、ニットウェアの移動距離を約1万8000マイルから約400マイルに短縮した。
また、ポジティブ・ラグジュアリーからバタフライマークを授与され、2023年にはB Corp認証も取得した。環境および倫理基準へのコミットメントが評価されたかたちである。
現在バンフォードは、衣料品、スキンケア、ウェルネス製品、スパまでを含む、完全統合型のライフスタイルブランドとして運営されている。その土台にあるのは、マインドフルな暮らしの哲学である。
女性創業者を後押しする勢い
ステラ マッカートニー、ジマーマン、リクソー、バンフォードといったブランドの成功は、ファッション業界全体に広がる変化を反映している。
女性はすでに、このセクターの経済エンジンを動かしている。ファッションにおける消費支出の大半に影響を与え、世界の衣料品労働力において大きな比率を占め、さらに自らのブランドを立ち上げる動きも強まっている。
しかし構造的課題は残っている。例えば英国では、アーリーステージ企業への投資1ポンドのうち、女性創業者に渡るのはわずか約2ペンスに過ぎず、多くの起業家が直面し続ける資金調達ギャップを浮き彫りにしている。
心強い進展。しかし、まだ道半ばである。
今年の国際女性デーのテーマ「Give to Gain」は、ジェンダー平等の推進においてコラボレーション、メンターシップ、可視性、サポートが果たす役割を強調している。
投資、アドボカシー、知識、ネットワークなど、機会が共有されるとき、そのインパクトは個々のビジネスをはるかに超えて広がる。
ビスター・ビレッジのようなデスティネーションは、その進展を可視化するステージを提供している。年間数百万人の国際的な来訪者を迎えるこの施設は、女性創業ブランドに真のグローバルオーディエンスへのアクセスを提供すると同時に、未来の才能にも光を当てている。



