経営・戦略

2026.03.16 19:01

時価総額500億ドルのNubank、米国市場で真価を問われる

AdobeStock

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ブラジル発のフィンテック企業Nubankは、これまでに誕生した企業の中でも最も目覚ましい成功を収めた1社である。

顧客数は1億500万人。米国の既存大手を恥じ入らせる28%の経費率。多くのフィンテックがなお赤字を垂れ流す市場での黒字化。にもかかわらず、米国進出の投資仮説には、強気派のシナリオが十分に答えきれていない問題がある。他の市場で優れていることは、ここで通用することを意味しない。

米国のラテン系市場は6200万人の人口を抱え、購買力は2兆8000億ドルに達する。この市場がしばしば突破口として挙げられる。しかし、金融サービスが行き届いていないことと、囲い込まれた顧客であることは別の話だ。FDICのデータによると、米国のラテン系世帯の60%がアンダーバンクド(銀行サービスを十分に利用できていない状態)であり、白人世帯の20%と比較して大きな差がある。この格差は確かに存在し、意味のあるものだ。しかし、ブラジルのネオバンクがこの格差を埋める存在になれるのか、それとも莫大な資金を投じて失敗に終わるのかは、まだ明らかではない。

「壊れた銀行」と「うっとうしい銀行」の違い

中小企業向け融資会社Cardiffの創業者ウィリアム・スターンは、この構造的な課題を的確に言い表している。「Nubankがブラジルで勝てたのは、銀行が壊れていたからだ。米国では、銀行はただうっとうしいだけ。これははるかに困難な戦いになる」。うっとうしさだけでは、口座の乗り換えには至らない。スイッチングコストは高く、惰性はそれ以上に強い。米国の消費者は銀行に不満を持っているが、危機に直面しているわけではない。Nubankがブラジルで築いた堀は、真のインフラ不全の上に構築されたものだった。同じ堀は米国には存在しない。

送金回廊が代替的な突破口として挙げられることもある。米国・メキシコ間の送金回廊では年間630億ドルが動いており、ブラジル・米国間の回廊でも2023年に28億ドルが送金された。これらは実在する人々を背景とした実際の数字である。

しかし、欧州と新興市場で大規模な越境インフラを構築してきたTransferGoのCEO、ダウマンタス・ドヴィリンスカスは、製品の洗練さだけでこの差を埋められるという考えに異を唱える。「この市場は、より良いアプリのインターフェースだけでは勝てない。国境を越えて価値が移動する仕組みを根本的に再設計することで勝てるのだ」。洗練されたUXを備えたクレジットカードは、新たな決済レールではない。そしてNubankは、米国の文脈で後者を実証したとはまだ言えない。

マーケティングコスト問題に簡単な答えはない

顧客獲得に関する強気の見方は、一貫して精査されることなく素通りしている。ラテン系コミュニティの口コミが有料広告による獲得コストを相殺するという主張は、理論上はもっともらしいが、実際には証明されていない。バリュエーションのモデルに組み込む前に、まず実証される必要がある。

与信審査における優位性にも限界がある。Nubankの機械学習ベースのモデルは、FICOのインフラが存在しない、信用履歴が薄くボラティリティの高い環境向けに構築されたものだ。米国では、Capital Oneがすでに30年と数十億ドルを費やし、まさにこの消費者セグメント向けの高度な与信審査を、自国の土俵で、米国の信用情報機関のデータへの完全なアクセス権を持ちながら構築してきた。Nubankがここで彼らを上回るという想定は、優れたアルゴリズムへの信頼だけでは不十分だ。

これらのことは、Nubankの米国での成功の可能性を否定するものではない。しかし、タイムラインはより長くなり、必要資本はより大きくなり、ブラジルで同社を際立たせている経費率は、回復する前に大幅に悪化することを意味している。スターンの見解はブラジル以外にも当てはまる。「生き残りのために構築すれば、利益が得られる。破壊的変革のために構築すれば、ただ資金を燃やすだけだ」

Nubankはかつて生き残りのために構築した。米国では、破壊的変革のために構築している。それは異なる会社が、異なる賭けに出ているということだ。

forbes.com 原文

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