米ワシントン・ポストは9日、米軍が韓国に配備している高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)の一部を中東に移転していると報じた。米海軍が公表した写真などによれば、米海軍第7艦隊(母港・横須賀)のイージス艦2隻も中東に投入されている。米ウォールストリートジャーナルは、佐世保を母港とする強襲揚陸艦と沖縄米海兵隊の一部も中東に向かったと伝えた。
韓国メディアによれば、ソウルの南東約200キロの慶尚北道星州に配備されたTHAADの発射装置6基が烏山空軍基地に移送された。発射装置自体はその後、星州に戻ったとされ、1基あたり最大8発を装塡できるミサイル本体が中東に送られたようだ。
THAADは高度約40キロから150キロで目標を迎撃する。より高高度で迎撃するイージス艦発射型のスタンダードミサイルと、低空で迎撃するパトリオット地対空誘導弾の中間を埋める役割が期待されていた。韓国の李在明大統領自身、在韓米軍の一部の転用に反対したと明かすなど、韓国の防空能力の低下に懸念が広がっている。
在米防衛駐在官などを務めた引田淳・元空将は「THAADの投入が事実なら、米中央軍や投入された2個の空母打撃群だけで戦力が足りなくなったことを意味する。米軍は巨大組織なので、特定正面に対する戦力はある程度の戦闘に対応できるが、戦闘が長期化すると弾や燃料の問題が発生するす。今回はトランプ米大統領委作戦の中期的な青写真がないことが影響しているようだ」と語る。
米ランド研究所のブルース・ベネット上級アナリストも「西太平洋からの米軍資産の転用は、冷戦時代に二つの大規模な戦域戦争を同時に戦える兵力を持った米軍事力の段階的な衰退を示している」と語る。ベネット氏によれば、米国の予算を他の優先事項に回すため、国防総省は、負担の少ない戦力に再編成しようとした。
ただ、今回のイラン攻撃は、米国が冷戦時代に想定していた「一つの大規模な戦域戦争」ですらない。それにもかかわらず、米国は世界に展開した米軍の備蓄物資を費やさなければいけない事態に追い込まれている。ベネット氏は「米国が中国のような(軍事大)国との戦争に必要な兵力や物資を保有しているのか疑問を持つ人もいるだろう」と語る。



