そのうえで、ベネット氏は日本と韓国は二つの大きな問題を抱えることになったと指摘する。同氏は「日韓は、米国の支援が最小限になる場合に備え、より大きく有能な軍事力を必要としている。ただ、日韓は長年、内政を優先して米国の支援に頼ってきた」と語る。さらに、米軍の軍事力や補給水準が明らかになるにつれ、台湾有事の際に米軍が介入するかどうかを明言しない「曖昧戦略」によって敵対者(この場合は中国)を抑止する力が薄れていく可能性が高いとする。
一方、こうした東アジアの中長期的な課題のほか、自衛隊には当面降りかかってくるかもしれない課題がある。イラン攻撃に伴う、自衛隊の出動だ。すでに日本政府は中東にいる邦人の退避を巡る不測の事態に備え、自衛隊の輸送機1機をインド洋の島国モルディブに待機させる措置を執った。今後、自衛隊が追加で派遣される可能性はあるのか。
引田氏は、一部に懸念の声が出ている「存立危機事態」に基づく自衛隊の出動はないだろうとの見方を示す。「安保法制は、基本的に国際法に違反していないことを前提につくられている」と語る。米軍とイスラエル軍によるイラン攻撃については、スイスが国際法違反だとの見解を示すなどの指摘が出ている。同氏は「国際法に違反する場合、自衛隊も後方支援はできない」と語る。政府も今回は存立危機事態に当たらないとの見解を維持している。
すでに昔のような「強くて正しい米国」が存在しないなか、湾岸戦争やイラク戦争のように米国が主導して多国籍軍を編成するという動きも見られない。
ただ、主要7カ国(G7)は11日の協議で、ホルムズ海峡を通航する船舶の護衛について協議した。トランプ米大統領も14日、日英仏中韓の名前を挙げて艦船の派遣に期待を示した。引田氏は「日本政府もアフリカ・ジブチに展開している自衛隊部隊の転用などを検討するかもしれない。もし、船舶の日本人関係者や自衛隊要員に犠牲者が出れば、イランと交戦に巻き込まれる可能性もある」と指摘する。
もちろん、日本は専守防衛だから、攻撃を受けたからといって、直ちにイランに対する攻撃に加わる可能性は低い。だが、仮に船舶の日本人関係者や自衛隊に犠牲者が出ると、高市早苗政権は非常に厳しい状態に追い込まれるだろう。


