経営・戦略

2026.03.16 15:21

AIと人間の最適な組み合わせがカスタマーサービスを変える

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AIを使って生身のカスタマーサポートを完全に置き換えるのは誤りであることを、筆者はこの週刊コラムで何度も書いてきた。AIを活用したサポートに「全面的に」振り切ろうとしたFrontier Airlinesのような企業は、有人対応を復活させている。最近のGartnerの記事は、2028年までに規制の変更により、顧客が有人オペレーターと話す選択肢を持つようになると予測している。Gartnerのシニアディレクター・アナリストであるPatrick Quinlanはこう述べる。「人間のオペレーターに容易にアクセスできることを義務づける規制は、顧客がデフォルトで人間を求め、AIエージェントを迂回することを後押しする。その結果、組織は人間のオペレーターを維持するか、あるいは再雇用しなければならなくなる。人数を増やす、あるいは以前より高い給与で雇う可能性もある」

これは消費者にとって明らかに朗報だが、企業にとっても同様に良い知らせである。有人サポートをなくしてコスト削減できると期待する向きもあったが、顧客体験の質が低下して顧客を遠ざけるリスクが高まり、結果として取引の喪失や解約を招く。

筆者は最近、CiscoのWebex Customer Experienceのバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーであるVinod Muthukrishnanに、Amazing Business Radioのエピソードのためにインタビューした。AIがどのように顧客体験をより人間的にできるのかを話し合った。AIか有人(人間)のサポートか、という二者択一ではない。両者の組み合わせこそが、顧客に愛される顧客体験を提供する最大の機会を生み出す。以下は、インタビューで取り上げた3つのテーマであり、あらゆるリーダーが検討すべき点である。

AIはあなたをより優れた存在にするが、置き換えはしない

Muthukrishnanは、AIに仕事を奪われるのではないかと不安を抱く人がいることを認識している。彼の反応は、AIの使い方を学ぶ人こそが成功する、というものだ。AIには、一部の顧客が必要とする批判的思考や共感のスキルが同じように備わっているわけではない。しかし同時に、AIは人が仕事をより効果的に進める助けになる。人間の能力とAIのスピードと記憶力を組み合わせれば、生産性は高まる。Muthukrishnanは、未来に備える最良の方法は、AIを自分の武器として活用する方法を学ぶことだと強調する。

簡単なことは自動化する

では、AIに何をさせるべきか。顧客が自動化されたシステムに任せても構わないと感じる「簡単なこと」である。パスワードの再設定、営業時間の確認、支払いなどの単純な作業は、AIで容易に処理できる。このレベルの自動化は、有人オペレーターを解放し、顧客にとって重要な、より複雑で感情的な問題に集中させる。適切なタスクにAIを使えば、顧客と従業員の双方がより良い体験を得られる。

AIの世界では、人間のサポートの重要性が増す

Muthukrishnanは言う。「AIと自動化の目的は、顧客体験をより人間的にすることだ」。どうすればそれが可能なのか。自動化されたデジタル体験は、人間を排除してしまうのではないか。彼の主張は、人が望む体験を模倣する自動化をつくる必要がある、という点にある。直感的で速く、使いやすいシステムを通じて顧客が素早く答えを得られれば、顧客は満足する。対応が容易な問題については人間を介在させなくても、技術は人間が人間のために設計していることを思い起こしたい。さらに、顧客がその技術から容易に離脱し、有人オペレーターにつながれるようにしておかなければならない。AIが日常的な依頼を処理できても、個別の状況に対して本当の同情、創造性、問題解決能力を提供できるのは人間だけである。うまく設計できれば、必要なら助けてくれる人がいると分かっているからこそ、まずはデジタルで始められる選択肢を顧客は評価する。

結びに

AIは強力なツールだが、その良し悪しは背後にある戦略次第である。何よりも、AIは顧客により良いサービスを提供するために使われるべきだ。インタビューを終えるにあたり、Muthukrishnanはこう述べた。「顧客体験のループにおける人間の価値と重要性は、直感、文脈、注意、共感――つまりテクノロジーが模倣はできても置き換えはできないと私が確信しているものに人間を使うことで、明確に高まるだろう」

forbes.com 原文

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