被験者が摂取を始めてから1年後と2年後に、研究チームは「エピジェネティッククロック」と呼ばれる指標5種を用い、被験者のDNAに生じたわずかな変化を調査した。エピジェネティッククロックを調べると、実年齢ではなく、生物学的な年齢がわかる。その結果、マルチビタミンを毎日摂取したグループは、一部の指標において、変化の速度がやや遅かったことが明らかになった。生物学的な老化が、2年間で1カ月から2カ月ほど遅れていたのだ。
また、マルチビタミンを摂取したグループの中でも、研究開始前の段階で生物学的な老化速度が速かった人は、特に鈍化の度合が大きかった。エピジェネティッククロックの1つの指標については、研究開始前の段階で生物学的な年齢が若かった人と比べて、老化が2カ月から3か月も遅れていた。
カカオフラバノール・サプリを毎日摂取した被験者については、単独で摂取したグループも、マルチビタミンと組み合わせて摂取したグループも、生物学的な老化指標に関しては何の変化も見られなかった。
今回発表された研究結果は、COSMOS試験のごく一部にすぎない。研究者は引き続き、マルチビタミンとカカオフラバノール・サプリを日々併用して摂取することが、心血管疾患やがんを予防する上で相乗効果を発揮するか否か、研究を進めている。
この研究はそもそも、マルチビタミンとカカオフラバノール・サプリを摂取することにより、時間とともに認知機能に何らかの影響が表れるのか、さらには、体力ならびに骨密度の変化と相関関係があるかを調査するために始まったものだ。全般的に見ると、がんや心血管疾患の発症に関する結果という点では、各被験者グループの間に差はほとんど見られなかった。体力と認知機能の変化についても同じ結果だった。
老化に関連したエピジェネティクス研究は、引き続き模索が続いている。COSMOS試験の一環でこのような結果が出たことからもわかるように、DNAのわずかな変化を止めたり食い止めたりする要因を突き止めれば、老化を遅らせたり逆転させたりできるかもしれない。市販のマルチビタミンというごく一般的なサプリメントにも、そうした可能性が秘められている。
とはいえ、こうした研究が実際に寿命(健康寿命)を延ばすことにどう活用できるかは、まだ判明していない。


