マルチビタミンのサプリメントを毎日摂取することの効能についてはさまざまなデータがあり、有益だという説から、無意味だという説、果ては有害の可能性まで指摘されている。しかし、より具体的な老化の指標、ならびにマルチビタミン摂取が老化現象に与える影響に着目した研究が行われた。
ハーバード大学医学部ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の研究チームが『Nature Medicine』2026年3月号で発表したこの研究は、COSMOS試験の付随調査として実施された。COSMOS試験(COcoa Supplement and Multivitamin Outcomes Study)は、60歳以上の米国の成人2万人以上に、マルチビタミンとカカオフラバノール(カカオ豆に含まれるポリフェノールの一種)のサプリメントを毎日摂取してもらい、心血管疾患ならびにがんの発症リスクとの関連性を調査した大規模試験だ。
研究では、二重盲検法(誰がどのグループに入っているのか、被験者も研究者も知らない条件で行われる比較試験)が用いられ、4つのグループ間を比べる4群間比較前向き研究(前向き研究:ある時点から介入して新しくデータを収集する試験)が実施された。被験者はおよそ1000人で、60歳以上の男性と65歳以上の女性(平均年齢は70歳)を2年にわたって追跡した。
被験者は4グループに分けられ、それぞれ無作為に、「プラセボ(偽薬)のみ」「マルチビタミンとカカオフラバノール」「プラセボとカカオフラバノール」「マルチビタミンとプラセボ」が与えられた。
この比較研究でカカオフラバノールが用いられたのは、食事を通じてフラバノールを摂取すると、心血管疾患の発症リスクが低下することがデータで示されたためだ。フラバノールは、リンゴやクランベリー、カカオ、チョコレートなど多くの食品に含まれている。



