リーダーシップ

2026.03.18 12:00

職場の文化も「燃え尽き」の一因に、脳の健康はどうしたら取り戻せるか

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個人に対処法を問うのはやめよう

筆者はビッケルに対して、「燃え尽きにどう対処していますか?」といった問いの代わりに、リーダーが投げかけるべき問いとはどんなものなのかを尋ねた。ビッケルの答えは率直だった。

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「私たちはみな、自分の影響圏のなかで、自分が普段どんなことをしているかを省みる必要があります。自分と他者のウェルビーイングを充実させる機会を増やす、あるいは減らす行動に関して、です」

ビッケルは、要点を強調するため、レジリエンスの概念を次のように表現し直した。「レジリエンスは、個人競技ではなくチーム競技です」

ビッケルが主張するように、燃え尽きは、燃え尽きは、組織に起因する問題であると同時に、個人の生物学的反応でもある。つまり、その双方にまたがる構造的課題なのだ。「どちらか一方ではなく、組織と個人の両方のものです。文字通り『どちらも』という状況です」

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組織が、リソースを提供することなく、より多くを要求するとき、燃え尽きは避けられない。また、有害な上司も、燃え尽きのリスクを上昇させる。逆に、リーダーがフィードバックや概要、期待内容を明確かつ一貫した形で示し、リソースを適切に提供し、障壁を取り除いていれば、社員はその姿に触発され、ベストを尽くそうと思うようになる。同時に、ウェルビーイングを充実させる機会も増える。

「脳は個人のなかに存在し、個人は組織のなかに存在します。切り分けて考えることはできないのです」

脳を疲弊させるカルチャー

燃え尽きを加速させるものとして、ほとんどの人は「仕事量の増加」を想像する。だが、ビッケルの意見は違う。

「燃え尽きの原因として、職場のカルチャーは、ほとんどの人が考えているよりも重要です。誰もが仕事量のことを思い浮かべますが、そんな単純な話ではないのです」

人と人との軋轢、恐怖をあおる言動、『我々vs彼ら』という二項対立のエコーチャンバー、常識的判断が好奇心を抑え込む空気が、社員からじわじわと感情エネルギーを奪っていく。たとえ仕事量そのものは対処できる範囲であっても、こうしたプロセスは進行する。

このような消耗が、神経学的な帰結をもたらす。ストレスフルな状態が長引けば長引くほど、集中力や判断力、情動制御能力が低下していくのだ。

脳を守るために必要なアクション

身体と心の健康を分けて考えるのは、「恣意的で、時代遅れで、はっきり言ってバカげている」と認識する必要がある、とビッケルは説く。「脳と身体は一体なのです」

もし「燃え尽きをすぐに治す方法」を求めるとしたら、それ自体がすでに見当違いだ。

「リーダーが、メンタルヘルスに関して支援を求めた自分の経験を共有することは、非常に影響力があります。単に、誰も使わないようなアプリやサービス提供者を紹介することより、ずっと影響力があるのです」

絶え間ないマルチタスクや、強いプレッシャーの下での生産性といった、持続不可能な働き方にノーと言うことは、脳を守るために必要なアクションであり、弱さなどではない。

結論

ビッケルはリーダーたちに対して、次のような明確なアドバイスを残した。

「脳はリソースです。脳は、業界にとって不可欠な産業機械であると考えましょう。企業は、最も重要な機械に必要なメンテナンスを行わないまま、本来の性能の半分で稼働させたりはしないはずです。そんなことは許されません」

忘れてならないのは、燃え尽きは個人の失敗ではないということだ。

燃え尽きは、脳の健康問題だ。そして、解決策ははっきりしている。危機に至る前に、予防し、対処するのだ。

AIが経済を牽引する現代において、社員の頭脳を守ることは、単なる一つの選択肢ではない。脳の健康を守ることこそが、競合他社に差をつける優位性となるのだ。

forbes.com 原文

翻訳=的場知之/ガリレオ

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