キャリア・教育

2026.03.16 16:15

ソニー・チーフテクノロジーフェロー×『Nature』編集長が語る「初期・中堅キャリアの女性研究者に光を当てる理由」

ソニーグループ・チーフテクノロジーフェローの北野宏明(左)、Nature編集長のマグダレーナ・スキッパー(右)

ソニーグループ・チーフテクノロジーフェローの北野宏明(左)、Nature編集長のマグダレーナ・スキッパー(右)

テクノロジー分野の最前線で未来を創造する——。2026年2月19日、初期から中堅キャリアの女性研究者たちに光を当てる国際賞「Sony Women in Technology Award with Nature」の第2回授賞式が開催された。本アワードは、ソニーグループと国際科学雑誌Natureが2024年に創設。今回は、次世代医療センサーの基盤となる「電子皮膚」を開発するXiwen Gong(ミシガン大学助教)、筋肉のように心臓の動きを補助するソフトロボットを実現したEllen Roche(MIT教授)、そして超音波でがん細胞を物理的に破壊する非侵襲治療「ヒストトリプシー」を確立したZhen Xu(ミシガン大学教授)の3名が選出され、研究支援金として各25万米ドルが授与された。

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本アワードの共同創設者であるソニーグループチーフテクノロジーフェローの北野宏明、Nature編集長のマグダレーナ・スキッパー。授賞式当日に、イノベーションをもたらす力としての多様性の本質、これからの未来を創造する女性たちのエンパワーメントについて語ってもらった。


—— 本日は授賞式直後にお時間をいただきました。会場の雰囲気や、特に印象に残ったテクノロジーや印象的な瞬間からお聞かせください。

北野宏明(以下、北野): 素晴らしい熱気でした。目覚ましい成果を上げた女性研究者たちが多く、私たちを未来へと連れて行ってくれるような感覚を覚えました。印象的だった瞬間やテクノロジーは、非常に多岐にわたりますが、バイオ医学の分野は圧巻でした。例えば、すでに数千例の臨床実績を積むなど実用化フェーズに入っている超音波を用いた非侵襲的(人体を傷つけない)手術システムや、あらゆる形状に適応する伸縮可能な電子機器など、かつてはSFだと思われていた技術が、次々と実現しています。

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マグダレーナ・スキッパー(以下、マグダレーナ): 私は審査委員長として、事前にファイナリストたちの研究内容を把握していますが、実際に彼女たちに会って話すと、その期待を大きく上回ります。テクノロジーと人類の未来にこれほどの希望を与えてくれる場所はほかにありません。私にとって1年の中でもっともエキサイティングな瞬間です。ファイナリストのひとりがスピーチで「私たちは未来を創造している」と語っていましたが、その「大胆さ」こそが重要です。非侵襲的治療技術などは、20年前にはSFの世界の話でした。しかし今日、それは「現実」になりつつあります。まさに、未来を創造しているのです。

北野: まさに『スター・トレック』の世界です。「トライコーダー」で体を傷つけずにスキャンするだけで診断し、手術まで終えてしまう世界がもうすぐそこまで来ています。非常にワクワクしています。

マグダレーナ:環境分野でも、油で茶色く濁った廃水を、新しく開発された技術で一瞬にして完全にクリアな水に変える興味深いデモンストレーションがありました。そこで強調されたのは、「実用化できなければ意味がない」という強い意志です。最初の「イノベーション」と同じく、そのあとの「実装」のステップを重要視しています。

また、彼女たちに共通するテーマである「学際性(multidisciplinarity)」にも感銘を受けました。異なる専門知識や視点を融合させる「コラボレーションの力」の本質を彼女たちは深く理解しています。

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井村凪伯=文 若原瑞昌=写真

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