経営・戦略

2026.03.19 14:00

テスラ、真の成長エンジンがロボタクシーではなく「エネルギー事業」である理由

Dan Race - stock.adobe.com

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テスラが掲げるロボタクシー(自動運転タクシー)やヒューマノイド(人型ロボット)の構想は、まだ収益化の道筋を示せていない。一方、同社の次の成長の要と言えるエネルギー事業は、すでに成果を上げ始めている。

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テスラはかつて、電気自動車(EV)分野を代表する企業として市場の期待を一身に集めていた。しかし現在、その時代は終わりつつある。中国勢が世界市場の主導権を握るなか、テスラは今年も販売台数でBYDとの差をさらに広げられる見通しだ。

CEOのイーロン・マスクは、ロボタクシー構想を誇張した発言や人型ロボット「オプティマス」をめぐる派手な演出で株価を支えている。しかし、その裏で着実に成果を上げているのがエネルギー部門だ。ウォール街が最も重視するのは、宣伝ではなく実際の売上だが、同部門はまさにそれを積み上げている。テスラが抱える企業としての方向性の混乱のなかで、送電網向けの大規模蓄電池、そして将来的には太陽光事業こそが、いま最も確実性の高い成長分野となっている。

「エネルギー事業こそが、テスラの最も優れたビジネスだ」と、カリフォルニア州サンタモニカに拠点を置く投資会社ガーバー・カワサキのCEO、ロス・ガーバーは語る。「エネルギー需要は膨大にある。そして最もシンプルで低コストの供給手段が、太陽光とバッテリーシステムだ。テスラは、この分野で巨大なポテンシャルを持っている」と、テスラの投資家でマスクの批判者としても知られるガーバーは続けた。

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実際、テスラは過去10年間、住宅向け太陽光発電と組み合わせる家庭用蓄電池の「パワーウォール」や、電力会社向けの大規模蓄電池「メガパック」としてバッテリーセルを販売してきた。2025年には、このバッテリー事業の売上高が前年比27%増の128億ドル(約1兆9200億円)となり、過去最高を記録した。一方、自動車事業の年間売上高は10%減の695億ドル(約10兆4300億円)に落ち込んだ。テスラの売上の大半は、いまも自動車事業が占めている。しかし重要なのは今後の方向性だ。エネルギー事業は成長を続ける一方で、自動車事業は縮小している。さらにマクロ環境を考えれば、この差は今後さらに広がる可能性がある。データセンターの電力需要が電力会社の供給能力を圧迫し、家庭向け電気料金を押し上げるなか、テスラは太陽光パネルの製造への再参入も検討している。同社のソーラールーフを含む過去の太陽光事業の構想は、期待された成果を上げられなかった。

「太陽光の機会は過小評価されている」とマスクは1月の決算説明会で語った。「電力網の能力を大幅に高める最良の方法は、地上では太陽光とバッテリー、宇宙では太陽光だ。だからこそ、我々は年間100ギガワット規模の太陽電池の生産を目指し、原材料から完成した太陽光パネルまで、サプライチェーン全体を統合していく」

減速鮮明なテスラの「自動車ビジネス」

しかし、テスラをAIとロボティクスの企業へと進化させようとするマスクの構想とは裏腹に、同社の自動車事業は勢いを失いつつある。現在の販売は、主力EVのモデルYとモデル3への需要に依存している。

サイバートラックも幅広い支持を獲得できていない。さらにマスクは1月、テスラの初期のブランドイメージと収益性を支えてきたSUV「モデルX」とセダン「モデルS」を廃止する方針を明らかにした。テスラは今年、トラック「セミ」の量産モデルと、独特なデザインの自動運転車「サイバーキャブ」を投入する計画だが、いずれも逆風に直面しており、世界的に減速する同社の自動車事業を立て直すほどの売上を生む可能性は低い。

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