経営・戦略

2026.03.19 14:00

テスラ、真の成長エンジンがロボタクシーではなく「エネルギー事業」である理由

Dan Race - stock.adobe.com

バッテリーと太陽光は、テスラの主要な事業とは別のカテゴリだ。これらは、マスクが2006年に発表した「脱炭素を加速させる企業をつくる」という構想に関連した取り組みであり、自動運転や人型ロボットといった最近の賭けよりも、はるかに持続性のある戦略とも言える。テスラのエネルギー事業は、送電網の信頼性やAI需要の拡大、エネルギーコストの上昇といった課題を背景に成長した。 宇宙での太陽光発電といった構想を脇に置けば、テスラが進めるバッテリーと太陽光の計画は、地政学的緊張がエネルギー市場を揺さぶるなかで、さらに魅力を増している。イラン戦争によって世界のエネルギー供給見通しが揺らぐなか、3月9日には原油価格が1バレル100ドルを超えた。

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米国の電力網では、バッテリー貯蔵設備と太陽光発電の導入が過去最高のペースで進んでいる。米太陽エネルギー産業協会(SEIA)によれば、2025年末までに導入された蓄電容量は少なくとも57ギガワット時(GWh)に達し、前年から29%増加した。今年末までには、バッテリー貯蔵容量は合計70GWhに達する見通しで、5000万戸以上の家庭に電力を供給できる規模になる。さらに2025年には43ギガワットの太陽光発電が新たに導入された。電力網に追加された新規発電容量のなかで、太陽光は5年連続で最大の電源となったとSEIAは述べている。

テスラの強みを生かせる「バッテリー」事業

クリーンテックのアドバイザリー企業Multiplierの共同創業者で、バイデン政権でエネルギー省のローンプログラム局長を務めたジガー・シャーによれば、蓄電の需要は再生可能エネルギーに限らず、電力供給を安定させる手段として電力網全体で拡大している。蓄電技術の進歩により、原子力、天然ガス、石炭、太陽光、風力、水力といったあらゆる電源で生み出された電力を、より効率的に利用できるようになった。さらに、需要のピーク時に送電網へかかる負荷を抑えることもできる。

「再生可能エネルギーは、許可が取れるだけどんどん建設すればいい。バッテリーはどこにでも設置できる。電力会社の変電所にも置けるし、ウォルマートの店舗のメーターの裏側にも設置できる。教会や学校など、さまざまな場所に設置できる」とシャーは語る。

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テスラはEV用バッテリーセルの生産を通じて、早くから蓄電事業に参入したことで、米国市場で先行した。最初は住宅向けの太陽光蓄電から始まり、その後は電力会社向けの大規模蓄電へと拡大した。この事業は過去10年間、着実に成長しており、「900億ドル(約13兆5000億円)規模の価値を持つ可能性がある」とバンク・オブ・アメリカの株式アナリスト、アレクサンダー・ペリーは今月の報告書で指摘した。

証券会社ベアードの株式アナリスト、ベン・カロは、テスラのエネルギー部門の売上高が今年、約17%成長すると見積もっている。その主な牽引役はメガパックの販売だ。「この部門は、テスラの比較的成熟した事業のなかで最大の強みとなっている。背景にはさまざまな要因があるが、主な理由は電力需要の増加と送電網のアップデートの必要性だ」とカロは指摘した。

テスラは、現状でカリフォルニア州ラスロップと上海の工場で合計80GWhのメガパックを生産可能だ。ロンドン拠点の調査会社Benchmark Mineral Intelligenceでリサーチ部門トップを務めるイオラ・ヒューズはフォーブスに対し、両工場の生産能力はそれぞれ40GWhだと説明した。

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