フォーブスは米国時間3月13日、「2025年 最も稼いだ俳優トップ20」を発表した。ハリウッドで最も稼ぐ俳優のアダム・サンドラーは、引き続き巨額の収入を手にしている。「2025年 最も稼いだ俳優トップ20」ではまた、史上最年少の新人が新たにランクインを果たし、約10年ぶりに復帰した女優も名を連ねている。
「スターの起用だけでは、商業的成功は保証されない」と考えるスタジオ幹部
ハリウッドでは現在、エンタメ業界の再編、人工知能(AI)の台頭、チケット販売の低迷に対する懸念に加え、「映画スターの未来」への不安が広がっている。ミュージシャン、アスリート、ネットのクリエイターが、映画・テレビの俳優よりも多額の収入を得るケースが増えている。2024年に最も高額の報酬を得た俳優のドウェイン・ジョンソンが主演した映画『スマッシング・マシーン』、ジュリア・ロバーツの『アフター・ザ・ハント』、グレン・パウエルの『ランニング・マン』が興行的に振るわなかったことも、「スターを起用しただけでは、もはや商業的成功は保証されない」と考えるスタジオ幹部の見方を強めている。
このトレンドは、著名なスター俳優の映画が例年より少なかった2025年に顕著になった。ハリウッドで最も稼いだ俳優20人の総収入は5億9000万ドル(約938億円。1ドル=159円換算)にとどまり、前年の7億3000万ドル(約1161億円)から20%減少した。2025年の年収トップのアダム・サンドラーの代理人やマネージャーへの手数料を差し引いた収入は4800万ドル(約76億円)で、8800万ドル(約140億円)だった前年のトップの収入を大きく下回っている。
集客が見込める俳優の収入は、下がる兆しがない
ただし、俳優の収入が伸びてはいないものの、下がる兆しもない。スタジオは現在も、集客が見込める俳優には、毎年数千万ドル(数億円)規模の報酬を支払い続けているからだ。ユニバーサルが『ジュラシック』シリーズのリブート作品に年収4300万ドル(約68億円)のスカーレット・ヨハンソンを起用し、アップルが映画『F1/エフワン』の主演に4100万ドル(約65億円)のブラッド・ピットを起用したのもそのためだ。
この2作品は、いずれも2025年の世界興行収入トップ10に入った。映画『ワン・バトル・アフター・アナザー』は、年収2500万ドル(約40億円)のレオナルド・ディカプリオにとって、過去15年近くで最も興行成績の振るわなかった作品となったが、この映画が彼の出演なしに2億1000万ドル(約334億円)の興収を生み出したとは考えにくい。
かつてはヒット作を連発したマーベルでさえ、2026年公開予定の『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』の成功を確実にするため、長年の看板スターであるロバート・ダウニー・ジュニアを呼び戻す必要に迫られた。マーベルは、彼が演じるドクター・ドゥーム役の報酬として、次の2作品にわたり保証額だけで1億ドル(約159億円)を超える契約を提示している。これに加えて、興行成績に応じた高額のボーナスも支払われる予定だ。
ストリーミングサービスが俳優にとって確実な収入源に
俳優もまた、確実な収入源を求めており、その受け皿となっているのがストリーミングサービスだ。スター俳優の場合は、将来の利益分配を買い取る形で、事前に報酬を確保している。アダム・サンドラーとネットフリックスの長期契約は今なお業界最高額で、どんな映画を世に出しても、彼は毎年多額の報酬を受け取る。デンゼル・ワシントン(3800万ドル[約60億円])とダニエル・クレイグ(2700万ドル[約43億円])も2025年、ストリーミング向け映画で巨額契約を結んだ。マーク・ウォールバーグ(4400万ドル[約70億円])は、アマゾンとアップルの作品に相次いで出演し、「ストリーミング先行型スター」の代表格となった。
プラットホームを代表する俳優陣を育ててきたネットフリックス
とりわけネットフリックスは、プラットホームを代表する俳優陣を着実に育ててきた。同社は、サンドラーやケヴィン・ハートとの長期契約に加えて、10年ぶりに女優業に復帰したキャメロン・ディアス(2000万ドル[約32億円])と2本の映画の契約を締結した。ディアスは、同じくネットフリックスの常連俳優であるジェイミー・フォックスと共演した。一方、ミリー・ボビー・ブラウン(2600万ドル[約41億円])は、キャリアのほとんどをネットフリックス作品で築いてきた初の「ストリーミング生え抜き」のスターだ。彼女は『ストレンジャー・シングス 未知の世界』や『エレクトリック・ステイト』で、他のスタジオでは得られないと業界関係者が考える高額の出演料を得ている。
22歳のブラウンは、トップ20に入った俳優の中で最年少であり、他の俳優よりもおよそ20年若い。彼女は、新世代の俳優として初めて高額報酬のトップ層に食い込んだ存在でもある。シドニー・スウィーニーやグレン・パウエルのような新興スターは、2025年の作品でそれぞれ推定700万ドル(約11億1000万円)、1000万ドル(約15億9000万円)の前払い報酬を得たが、安定して観客を呼び込めるスターであることをまだ証明していない。
「最も稼いだ俳優」の常連になりそうな候補は?
一方で、近くこの「最も稼いだ俳優」の常連になりそうな俳優もいる。
ティモシー・シャラメとマイケル・B・ジョーダンは、それぞれ『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』と『罪人たち』の2作品に出演したが、「2025年 最も稼いだ俳優トップ20」には入っていない。しかし、次の出演作で彼らは推定2000万ドルの出演料を得る見込みだ。来年の「最も稼いだ俳優」には、2026年に4本の映画とHBOシリーズ『ユーフォリア/EUPHORIA』の公開が予定されているゼンデイヤも加わる可能性が高い。
俳優側の代理人とスタジオの交渉は近年、長期化し、緊張も高まっている。それでも双方は、高額ギャラを得るスター俳優が、成功する映画やテレビ作品の重要な要素であることには同意している。
「我々はもっと多くを求め、スタジオはもっと減らそうとする。でも交渉になれば、こちらに分がある」と、ある有力エージェントは語る。
集計方法
「2025年 最も稼いだ俳優トップ20」の推計は、エージェント、弁護士、マネージャー、スタジオ幹部、業界関係者への取材に加え、IMDBProやBox Office Mojoなどのデータをもとに算出した。金額は2025年の暦年における税引き前収入を示しており、業界標準とされる代理人報酬(エージェント10%、マネージャー10%、弁護士5%)を差し引いた後の数字を用いた。
俳優の収入は、作品が公開された年のものとして計上している。実際には、出演料の前払いは撮影時に支払われることが多く、それが公開より何年も前になる場合もある。また、興行成績に応じた利益分配や買い取り契約による追加報酬は、公開から数年後に支払われることも珍しくない。
なお、「2025年 最も稼いだ俳優トップ20」に含まれる収入は、映画やテレビに関連する収入、演技、プロデュース、監督などに限定した。合弁事業やライセンス契約、広告出演、SNSでの提携など、エンターテインメント作品とは直接関係のないビジネス収入は含めていない。また、スタンドアップコメディやポッドキャストなど、映画やテレビ以外の活動による収入も対象外とした。



