南カフカス地方の旧ソ連構成国ジョージア(グルジア)の野党や国民は、2024年10月の議会選挙以来約500日間にわたり、ロシア寄りの与党「ジョージアの夢」に対し、抗議を続けている。同党は、北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)といった西側諸国の機関から距離を置く方針を示している。
議会で過半数の議席を維持した「ジョージアの夢」は、自国を西側諸国から孤立させるような政策を実施してきた。議会選挙から半年後の2025年夏、同党はNATOとEUに関する情報センターを閉鎖すると発表した。同党は選挙の翌月、EUとの加盟交渉を中断していた。
ポーランド誌「新東欧」の編集者ギオルギ・ベロシビリは筆者の取材に対し、「同党は権力を維持するために、従来のパートナーから距離を置こうとしている」と説明した。「ここ数年、与党にとって世論などどうでも良かった。NATOやEUに接近することで、『ジョージアの夢』はどのようなリスクを負うことになるのか? 答えは簡単だ。最終的に、権力を手放すことになる」
ベロシビリは、同党の内部の計算は極めて単純明快だと語る。「同党の運営形態は、EU加盟の要件と明らかに矛盾している。EUへの加盟には説明責任や法の支配、言論の自由など、数多くの要素が求められる。もし与党が真にこの道を歩んでいたなら、とっくに政界から姿を消していただろう。権力を手放すことなど、同党の考えにはない」
「ジョージアの夢」を創設したビジナ・イワニシビリ元首相は、NATOとEUはジョージアを弱体化させようとする謎めいた「世界戦争推進派」によって操られていると主張している。同元首相はさらに、NATOやEUへの加盟を目指せば、ロシアのような国との戦争に巻き込まれる恐れがあり、自国の安全を脅かす可能性があると警告している。
筆者の取材に応じた予測情報企業アナディル・ホライズンの地政学担当部長ティナティン・ジャパリゼは、次のように説明した。「欧州・大西洋路線から距離を置くことで、『ジョージアの夢』は現代ジョージアを独立以来特徴づけてきた数少ない戦略的合意の柱の1つである西側諸国との統合を損なうリスクを負っている。過去数十年にわたり、NATOやEUとの連携は外交政策上の目標であるだけでなく、制度改革や経済の近代化、民主主義の定着に向けた枠組みとしても機能してきた。その軌道から外れることには重大なリスクが伴う。その多くは既にジョージアの外交姿勢や国内政治に現れている」
ジョージアで実施された世論調査の結果も、イワニシビリ元首相の主張を裏付けるものではない。米誌ジャストセキュリティーによると、ジョージア国民の80%がNATOとEUへの加盟を支持している。同国の野党勢力は、国家の独立と主権を守り、NATOとEUへの統合を進めるため、連立政権の結成を積極的に推進している。



