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2026.03.15 14:16

「イカゲーム」VR体験が大ヒット、Sandbox VRの拡大戦略に迫る

Robert - stock.adobe.com

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先月、私はカリフォルニア州南部にあるセリトスのショッピングモールのSandbox VRに、チャップマン大学のエマージングメディアの授業の学生グループを連れて行った。私たちが選んだのは、NetflixシリーズをもとにしたマルチプレーヤーVR体験「イカゲーム Virtuals」だ。

「イカゲーム Virtuals」は、Sandbox VRの他のタイトルと並んで提供されていた。なかでも、同じくNetflixのIPをベースにした「ストレンジャー・シングス:Catalyst」と、同社オリジナルの「Deadwood」が目立つ。私たちは正しい選択をした。「イカゲーム Virtuals」に収録された6つのミニゲームは、よく設計されており直感的に遊べる協力型の戦略ゲームと競技で構成されている。自宅VRで離れた場所にいる6人をまとめるのは難しいが、ロケーションベースの体験なら自然に成立し、それ自体が楽しさの一部になる。

ヘッドセット、ハプティックベスト、モーショントラッカーを装着し、広い空き部屋に入ってヘッドセットを装備した。そこは「倉庫規模VR」のデジタルアリーナであり、番組でおなじみの課題に挑むあいだ、私たちは互いのアバターを見て交流しながら競い合うことができた。

全員が楽しんだ。私たちは笑い、指示を叫び、終わった後にスコアを比べた。しかし、セッションが終わってグループで感想を話し合うと、その反応は示唆的だった。プレミアム体験のチケットは1人50ドルだが、大学生の誰も、近いうちに再訪したり友人を連れてきたりするつもりはないと言った。誰かが支払ってくれるのでなければ、という条件付きである。

新奇性とリピート価値の間にあるこの緊張関係は、ロケーションベースVRを何十年にもわたって規定してきた。このカテゴリの初期のプレーヤーのいくつかは、高額な施設構築と野心的なストーリーテリングの重みに耐えられず崩壊した。この分野で最も目立つ存在だったThe Voidは、ディズニーやソニーとの提携がありながら、パンデミック後に閉鎖した。AMCとの提携を持つ資金豊富な没入型エンタメ企業Dreamscapeもまた苦戦した。

それでも、静かに持ちこたえ成長してきた企業が2社ある。Zero LatencyとSandbox VRだ。いずれも、このビジネスに必要な規模に到達したように見える。Sandbox VRは現在、世界で80カ所以上を運営し、月に約15万人がプレイしており、累計来場者数は500万人を超える。同社によれば、施設が生み出した累計チケット売上はおよそ3億ドルに達するという。

「当社は今年、創業10周年を迎える」と、Sandbox VR創業者兼CEOのスティーブ・ジャオはインタビューで語った。「1店舗からスタートし、フランチャイズ運営、技術革新、コンテンツ開発、マーケティングを組み合わせて、堅牢な完全垂直統合の社内システムを構築してきた。これは実に驚くべきことだ」

規模が重要なのは、コンテンツが高コストだからである。マルチプレーヤーVR体験には、継続的な開発、新しいシナリオ、定期的な技術アップグレードが必要だ。これらのコストを分散できるだけの店舗数がなければ、運営者は新体験を安定的に供給するパイプラインを維持できない。

「コンテンツは成長のフライホイールだ」とジャオは言う。「拠点が増えればコンテンツへの投資を増やせる。その結果、需要が喚起され、さらに拠点が増える」

ロケーションベース・エンターテインメントの業界コンサルタントで、長年のアドバイザーでもあるボブ・クーニーは、Sandbox VRのアプローチは、技術・コンテンツ・施設経済がようやく整合するモデルを反映していると語る。同社の拡大について最近執筆したクーニーは、このネットワークを、新しい体験をデジタルで増え続ける施設群に配信できる「ダウンロード可能なテーマパーク」のようなものだと表現した。

フランチャイズモデルは、資本負担の一部を運営者側へ移す。クーニーによれば、Sandbox VRの拠点開設には初期投資として100万ドル近くかかる場合があり、稼働率と需要の確保が成功の鍵になる。

Sandbox VRのカタログは、オリジナル作品とライセンス作品を組み合わせている。2023年にローンチした「イカゲーム Virtuals」は、チケット売上が5000万ドル超を生み出した。他のタイトルも、「ストレンジャー・シングス」のようなNetflix作品に基づくものに加え、「Deadwood」のようなオリジナル体験をそろえる。

「プレミアムなIPは、そのIPが持つ勢いを通じて認知を押し上げてくれる」とジャオは言う。「たとえば、私たちはリアリティ番組に先立って『イカゲーム』体験をローンチするタイミングを合わせた」

新奇性がある一方で、同社によれば多くの来場者が再訪する。ジャオは、Sandbox VRの顧客のおよそ3分の1がリピーターだと見積もる。このカテゴリが繁栄するのは、自宅VRが再現しようとするもの、すなわち「同じ場所にいる」という身体的な共有感を提供できるからだと彼は主張する。「人が対面で一緒に時間を過ごしたいという根源的なニーズがある」とジャオは言う。「ロケーションベースVRは、受動的なスクリーン時間をグループの冒険へ変える」

消費者向けVRの普及は一様ではない。Counterpoint Researchによると、世界のVRヘッドセット出荷台数は2024年に12%減少した。ジャオはこの傾向を、VRは単独の自宅利用よりも、社会的な場面でより強く響く可能性を示すものだと解釈する。「自宅VRは、ゲームや生産性を乗り越えるのに苦戦してきた」と彼は言う。「私たちの解決策は、コミュニティに根ざした外出先でのソーシャル体験において、最有力の選択肢になることだ」

Sandbox VRは、直営店とフランチャイズ店を組み合わせたハイブリッドモデルで拡大を続ける計画だ。同社はフランチャイズ・パートナーであるApparel Groupとともに、中東で25の新施設を展開している。加えて、カナダと欧州でも新拠点を開設する。同社の最新作「Age of Dinosaurs」体験は、4月3日に世界同時ローンチされる。

forbes.com 原文

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