リーダーシップ

2026.03.15 12:07

AIで見つかる組織の隠れた問題5選──リーダーが今すぐ取り組むべき課題

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最近リーダーたちと話すと、ほぼ決まって早い段階で人工知能の話題が出てくる。そして議論の中身もたいてい同じだ。メール文案の作成、メモの要約、レポートやプレゼン資料の作成に使っているという。そうした用途が時間を節約するのは確かだが、AIが実際に改善できることの表層に触れているにすぎない。より有用なのは、AIに習慣のパターン、意思決定、行動、業務プロセスを見てもらうことだ。一歩引いてそれらのパターンを点検し始めると、なぜ特定の問題が繰り返し起きるのか、なぜ組織の内部で何かが一向に改善しないのかが見えてくる。リーダーがAIにそうしたパターンの分析を求めると、組織内の人々が見落としてきた問題点と機会を指し示し始める。

AIで業務が恒常的に滞る箇所を特定する

職場で生じる遅延の多くは、誰もきちんと測定していない小さな工程で起きている。問い合わせが説明待ちのまま誰かの受信箱に滞留していたり、書類が意思決定者に届くまでに必要以上に多くの人を経由していたり、プロジェクトチームが社内のどこかに既に存在する情報を探すのに何日も費やしてしまったりする。

AIは人々が日常的に使うシステム全体を横断して、実際にどこで時間が積み上がっているのかを示し始めることができる。リーダーたちからよく聞くのは、単一の承認ステップがすべてのプロジェクトに数日の遅れを加えていること、2つの部署が同じ情報を互いに繰り返し求め合っていること、従業員が簡単に自動化できる更新情報の追跡に驚くほど時間を使っていることだ。AIがそうしたパターンを可視化できれば、組織はプロセスを簡素化し、スピードと連携を劇的に改善できる。

AIで、消えてしまう前に専門知を保持する

多くの職場には、難しい案件が持ち上がると皆が頼りにする人物が少なくとも1人はいる。奇妙な問題が現れると、誰かが「その人に聞け」と言う。顧客が質問して、他の誰にも答えられないとき、人々は誰がそれを理解しているかを正確に知っている。そうした従業員は時間をかけて判断力を培うが、その判断力はたいていマニュアルではなく頭の中にある。

問題は、その人が休暇に入ったり、退職したり、別の仕事を受けたりしたときに表面化する。組織は突然、どれほど多くの知識がその1人の経験に依存していたかを思い知ることになる。たとえファイルやシステムが残っていても、多くの意思決定の背後にある理由づけは、それを理解していた本人とともに消えてしまう。

AIは、そうした専門知がどこに存在しているのかの特定に役立つ。メール、プロジェクトの議論、サポートチケット、社内コミュニケーションを調べることで、AIは特定の種類の問題を繰り返し解決している人や、他者が頼りにする助言を提供している人を示すパターンを浮かび上がらせる。いったんそのパターンが見えるようになれば、組織はインタビュー、文書化、研修ツールを通じて、そうした意思決定の背後にある思考を取り込み、知識を個人の頭の中に留めるのではなく組織の一部にできる。これは、家族の中で祖父母が質問に答える様子を技術で記録し、将来の世代が本人の死後も長くその物語や洞察を聞けるようにする取り組みに似ている。職場でもAIは同様の役割を果たし、何十年もかけて培われた判断力と経験の保存を助け得る。

AIで、惰性で続くプロセスをあぶり出す

よく見られるのは、なぜ始まったのかを覚えている人がほとんどいないにもかかわらず、誰もが受け入れている手順に組織が従い続けていることだ。ソフトウェアを切り替えた結果、旧システムでは理にかなっていたために複数の署名が必要だった古いプロセスが、そのまま残っていることがある。もはや誰も使っていないのに、毎週レポートが作成され続けている場合もある。こうした手順は時間の経過とともにルーティン化し、人々はそれがなお有用な目的に資するのかを問わなくなる。毎日届くメールの中に、絶対に使わないとわかっているものがどれだけあるか考えてみてほしい。開く気にもならないものだ。

AIは、そうしたパターンを表面化させる助けになる。過去の意思決定、文書、組織全体のコミュニケーションをレビューすれば、ほとんど価値を加えていないのに延々と反復されるプロセスを明らかにできる。リーダーは、誰も読まないレポートの維持に従業員が相当の時間を費やしていることや、最終判断に影響しない承認階層をくぐり抜けていることを発見する場合がある。筆者自身も、誰も使わないレポートを維持し、しかも実質的な目的が何もないのに同じ情報を複数箇所に重複して記録している企業で働いた経験がある。

そうした習慣が見えるようになれば、リーダーは一歩引いて単純な問いを立てられる。もし今日この会社を設計し直すとしたら、このプロセスはなお存在するだろうか。多くの場合、その答えは、従業員が何年も我慢してきた工程の簡素化や削除へとつながる。イーロン・マスクはこの考え方を、TeslaとSpaceXでエンジニアが使うフレーズでしばしば説明している。最高の部品とは、部品がないことだ。工程、レポート、承認階層が実質的な目的を果たしていないなら、洗練を重ねるより取り除くほうが賢明な場合が多い。

AIで、顧客が繰り返し発するシグナルを読み取る

顧客は、気に入った点、苛立った点、こうだったらよいのにと思う点を絶えず明らかにしている。課題は、それらのシグナルがさまざまな場所に現れることだ。レビューに現れるものもあれば、カスタマーサービスとの会話に出るものもある。製品やサービスの体験について語り合うオンラインの議論に出てくることもある。

こうした情報が何千ものやり取りに散らばっていると、組織が大きなパターンを見出すのは難しくなる。AIなら、それらの会話をまとめて分析し、同じテーマが何度も繰り返し現れていることを示し始められる。

リーダーは、顧客がある機能で繰り返しつまずいていること、設計者が想定しなかった使い方をしていること、小さな不満が会話のたびに出てくることを発見する場合がある。そうしたパターンが見えれば、売上の低下や正式な調査に問題が現れるはるか前から、顧客が何をより良くしてほしいのかを捉えやすくなる。AIはそうしたパターンを素早く見つけられるため、その能力を無視する正当化は難しい。

AIで、資源投入の前に重要な意思決定を探索する

組織は、相当の投資を伴う意思決定を定期的に下している。新製品の投入、新市場への参入、価格体系の変更、事業の一部の再編などだ。リーダーが利用可能な情報を注意深く検討しても、意思決定には不確実性が残る。多くの変数が絡み合い、その相互作用を予測するのが難しいからである。

AIは、大きなコミットメントを行う前に可能性を探索する助けになる。過去データ、行動パターン、オペレーション情報を調べることで、異なる選択が需要、顧客行動、業務パフォーマンスにどのような影響を与え得るかをシミュレーションできる。Subwayが、文化的規範によりサンドイッチが受け入れられていない国々へ拡大する際にこれを行っていれば、多くの時間と資金を節約できたはずだ。

こうしたシミュレーションは不確実性を取り除くものではないが、そうでなければ見えにくい可能性を検討できる。そうしたシナリオを早い段階で目にすることは、多くの場合、より良い問いと、主要な資源を投じる前のより思慮深い意思決定につながる。

組織が活用すべきAI

人工知能に関する議論の多くは、従業員の仕事を速くしたり、定型業務を自動化したりするツールに焦点を当てる。そうした用途にも価値はあるが、より大きな機会は、組織の内部で実際に何が起きているのかをAIで点検することにある。業務がどこで滞るのか、知識がどこに集中しているのか、どのプロセスが惰性で続いているのか、顧客が何を繰り返し示しているのか。こうした問いをリーダーが立て始めると、AIは組織をより明確に見るための手段となる。パターンが現れた瞬間、多くの改善点は自明になる。問題は当初から存在していたのに、誰も結び付けていなかったシステムや会話に散らばっていただけなのだ。

forbes.com 原文

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