リーダーの役割に就くのは容易ではない。外部から組織に加わる場合でも昇進して就任する場合でも、最初の数カ月が、その人が最終的に「信頼できる」「有能だ」「任せられる」と社員に見なされるかどうかを左右することが多い。
チームメンバーと1対1で時間を過ごすことから、事業の明確な方向性を示すことまで、就任後3〜6カ月にリーダーが取るあらゆる行動は、その後の成功に直結する。以下では、Forbes Business Councilのメンバーが、リーダーとしての駆け出しの時期に社員の敬意と信頼を得るうえで役立った行動や振る舞いを1つずつ紹介する。
1. 明確さを最優先する
最初の90〜180日は、注目を集めることよりも「明確さ」を優先する。意思決定が実際にはどのように行われているのかを理解することに時間を投じ、そのうえで譲れない基準を少数設定する。その基準を一貫して守り抜くことが、あまりに早い段階で大変革を試みるよりも速く、信用と権威、信頼を築く。- Nathanaël Bondu(Woodalls)
2. 率いる前に耳を傾ける
法律事務所のパートナーとしての最初の90日間は、率いる前にまず耳を傾けた。事務所内での1対1の対話を通じて、顧客の優先事項、社内の実情、そして表面下にある課題が見えてきた。明確になったことには果断に手を打ち、道中はオープンにコミュニケーションを取る。その姿勢が、信用と信頼を短期間で築く助けになった。- Carolyn Schenck(Caplin & Drysdale)
3. 変更を急がない
耳を傾けることも、既存データや過去の取り組みを理解することもなく、拙速に変化を起こすリーダーを見てきた。そうしたやり方は、信頼をあっという間に損なう。最も効果的なリーダーは、時間をかけて話を聞き、何が試されてきたのかを学んだうえで、社員を脅かすのではなく力づける判断を下す。その結果、より強い足並みがそろい、組織としてよりよい成果につながる。- Al Sefati(Clarity Digital, LLC)
4. 早い段階で現場に入る
24時間365日稼働のオペレーションを任されて最初の数週間、私は深夜に出勤し、第3シフトを丸々働いた。耳を傾け、仕事を難しくしている要因は何かをチームメンバーに尋ね、痛点を1つ素早く解消した。その一手が信用につながったのは、メモやスピーチではなく、現場でリアルタイムに敬意とやり切る姿勢をチームが目にしたからだ。- John Palinkas(Institute for Digital Transformation)
5. 社員を「人」として扱う
最も重要なのは、まず社員を人として扱うことだと思う。彼らが安心して話せる状態をつくることから始める。調子はどうかと尋ねる時間を取り、趣味や家族、本当に大切にしているものを知ることは、真の信頼につながる。何が動機づけになっているかを理解でき、リーダーシップがより本物になり、効果も高まる。- Jekaterina Beljankova(WALLACE s.r.o)
6. 直属メンバーに議題を決めてもらう
最初の90日間、直属の部下それぞれと丸1日を過ごし、議題は彼らに設計してもらった。彼らは創造的に、自分の仕事や課題、利害関係者、強みを案内してくれた。専門性への敬意を示すことになり、より早く彼らのために動けるようにもなった。「見てもらえている」「理解されている」と感じることは、信頼を素早く築く。- Allison Williams(idealis advisory)
7. 権威ではなく理解で導く
権威で導くのではなく、理解で導いた。成果だけでなく、人を理解することに時間を投じた。各人がどう働くのか、何が動機づけになるのか、どこに支援が必要なのかを学ぶ。社員が「見てもらえている」「支えられている」と感じれば、変化や成長に賛同してもらいやすくなる。信頼があると物事は進めやすい。- Sharmylla Siew(Grantly Funding)
8. 変える前に、業務に深く入り込む
大きな変化を声高に打ち出すのではなく、まず業務プロセスに深く入り込んだ。意思決定は事実と共同責任にもとづいて行うということがチームに伝わった。社員に対していくつかの重要な約束も素早く果たした。言葉よりも、行動の積み重ねのほうが速く信頼を生む。- Yevhen Parokhod(Renty.ae)
9. 早い段階で全員と1対1で会う
最初の30日で、チームの全員と1対1の面談を設定した。自分のビジョンを語るためではなく、相手のビジョン、目標、懸念、成功に必要なものを学ぶためだ。人は、導かれる前にまず話を聞いてもらえると強く感じる。信頼は話すことではなく、聞くことから生まれた。後で意思決定をしたときも、彼らは私が現実を理解していると分かっていた。信用は「向き合う姿勢」によって獲得される。- Sabeer Nelliparamban(Tyler Petroleum Inc.)
10. 明確なビジョンを定め、自ら体現する
ビジョンを明確にし、率先垂範で示した。次にミッションを定義して全社員に共有し、ミッションに沿った具体的なロードマップをバリューチェーンの各領域へ落とし込んだ。これにより、各部門は全体の道のりにおける自分たちの役割を理解できた。明確なビジョンと模範行動は権威を強化し、足並みがそろうことで信用につながった。- Mario Gebert(Fine Foods Marketing Ltd.)
11. 明確なルールを定め、一貫性を保つ
協働のルール、期待値、管理のあり方を明確に定め、行動の一貫性を保つことから始める。相互の信頼を築くうえで、これ以上に重要な領域はない。若いリーダーの多くは、後から「協働」するためにまず「好かれよう」とするが、これは罠だ。いったん元の振る舞いに戻ると、チームはだまされたように感じ、リーダーが別人を演じていたかのように受け取る。- Dorota Sedek(Alterland SA)
12. 率直さと透明性を実践する
すべての答えを持っている必要はない。深い専門性を持ち、前提に疑問を投げかけ、厳しい問いを立て、抜け漏れを見つけてアイデアを磨き上げてくれるメンバーと働くとき、私は最も力を発揮できる。私は常に、他者の実体験から学んでいる。問題解決の場で率直さと透明性を保つことは、信頼を築くだけでなく、とりわけ難しい判断を迫られる局面で、より強い成果にもつながる。- Neeli Bendapudi(Penn State)
13. 意思決定と境界線を明示する
信用を築くうえで最も重要だった振る舞いは、意思決定プロセスを明確に見える化し、「何を決めるのか」「何は決めないのか」「なぜそうするのか」を言語化することだった。社員が気にするのは完璧な判断より、筋が通っていて信頼できる判断である。時間の経過とともに、この実践は個々の自信と組織としての能力を高める。責任の所在と、どうすれば意味のある形で貢献できるかが分かるからだ。- Jane Fernandes(Antioch College)
14. 「分からない」と言い、必ずやり切る
「その質問の答えは分かりませんが、調べて改めてお伝えします」と言えること。そして、その正直な言葉を伝えた相手に、実際に改めて連絡すること。謙虚さは、2026年のリーダーシップに求められる「本物らしさ」というカクテルをつくるための重要な材料だ。- Dan Bolsen(AffirmedRx, PBC)
15. 目に見える問題を素早く解決する
他者の話を聞き、懸念に反応し、必要に応じて職場の課題に果断に対処する人物として、自分を確立することが欠かせない。課題は事業に関するものでも、そこで働く人に関するものでもよい。例えば、すぐに得られる成果(クイックウィン)や、ほぼ即座に解決できる問題を探すことだ。社員が改善をすぐに実感できる領域である。- Christina Greenberg(Edgility Search)
16. 判断の仕方を明確にする
不確実性の除去に注力した。早い段階で、自分がどう意思決定するのか、何を重視するのか、何は譲れないのかを非常に明確にした。これにより、人々はゲームのルールを理解できる。すべての判断に賛同できなくても、リーダーを信頼することはできる。全員に好かれようとするより、一貫性のほうがはるかに速く権威を築く。- Diana Kurbanova(UzFranchise)
17. 失敗を公の場で引き受ける
完璧ではない判断について、公の場で責任を引き受けた。就任早々から、正しい判断も誤った判断もあり得ること、そして誤りについてはまず自分が引き受けることを明確にした。判断がうまくいかなかったときは、なぜそう判断したのか、何を学んだのかを説明した。人は完璧さより説明責任を信頼する。恐れが取り除かれると、虚勢が減り、誠実さ、実験、コミットメントが増えた。- Erik Pham(Bizreport)
18. 長年放置されてきた痛点を1つ直す
誰もが不満を言うのに、誰も責任を持っていない壊れたものを直す。大きな戦略イニシアチブである必要はない。小さくても厄介な問題で十分だ。「ちゃんと聞いている」「実行できる」というシグナルになる。初期の信用は、ビジョン資料で築かれるものではない。地味な仕事をやり切ることで築かれる。問題を解決するリーダーを人は信頼するのであって、問題についての会議をさらに増やすリーダーを信頼するわけではない。- Mark Lewis(Netalico Commerce)
19. まず質問し、自分の色を出すのは後にする
自分の色を出したい衝動に抗った。新任リーダーは早く変えなければとプレッシャーを感じるが、私はこの会社が自分よりはるか以前から存在していたことを忘れないようにしている。彼らは明らかに何かをうまくやってきたのだから、質問した。「チームはどう機能しているのか。今のプロセスはどんな形か。なぜそうなっているのか」。改善する前に理解が必要だった。行動より好奇心、率いる前に傾聴。それがクイックウィン以上に信頼を築いた。- Jessica Willoughby(Kinetik)
20. ビジネスを内側から理解する
事業を学び、製品を学び、顧客を学ぶ。耳を傾け、質問し、深く掘り下げることでそれを行う。現場で時間を過ごし、事業の各側面を深掘りし、数多くの質問をする。そして答えに真摯な関心を示す。- Jason Foodman(Archetype)



