Cognito Therapeuticsは、Morningside Ventures、IAG Capital Partners、Starbloom Capitalが主導する1億500万ドル(約158億円)のシリーズC資金調達を発表した。New Vintage、Apollo Health Ventures、Benvolio Groupなどからも新たな出資を受けている。
昨年11月、筆者はCognitoのCEOであるクリスチャン・ハウエル氏と、ロックフェラー神経科学研究所のエグゼクティブチェアであるアリ・レザイ博士に話を聞いた。両組織が価値に基づく認知症ケアモデルの基盤構築を目指す革新的な共同研究施設の起工式を行った直後のことだった。
今回、再びハウエル氏に取材し、新たな投資家陣について、そしてこの資金調達を確保したことで同社の商業化ロードマップがどう進展するのかを聞いた。
マイルストーンと勢い
ハウエル氏は、この資金調達における3つのマイルストーンについて次のように説明した。「まず、HOPEピボタル試験の完了だ。6月に最後の患者がHOPE試験を終了し、8月にはトップライン解析の結果を発表する予定である。
次に、この資金を規制当局への準備に注力するために活用している。ブレークスルー・デバイス指定を最大限に活用し、FDAの審査チームに今から質問を投げかけている」。同社は年末までにデノボ申請を行うことを目標としている。
「最後に、費用対効果と健康アウトカム研究のための作業を進めている。だからこそ、Brain Health Collaboratories(脳健康共同研究施設)が非常に重要なのだ。これらの施設は、堅牢な分析を行うためのエコシステムを提供してくれるため、その結果をCMS(メディケア・メディケイドサービスセンター)、民間保険会社、各州に提示することができる」
8月のピボタル試験完了と11月のデノボ申請の間に、同社は5月までに2つの追加的な共同研究施設パートナーシップを結び、夏までに新たな適応症への拡大を計画しているとハウエル氏は明かした。
「まずはアルツハイマー病での上市を確実に成功させることに集中する」とハウエル氏は語る。「同時に、パーキンソン病、多発性硬化症、ケモブレイン(化学療法後の認知機能障害)、ロングCOVID、ハンチントン病、さらには外傷性脳損傷、脳卒中、てんかん、睡眠障害といった新たな適応症も探索していく」
業界への波及効果と現実
ニューロテック分野では大型資金調達が追い風となっており、昨年だけで50億ドル(約7500億円)の民間資本が投資された。しかし、ニューロテック分野で毎月のように9桁規模の資金調達ラウンドが登場しているにもかかわらず、それらは埋め込み型デバイスのスタートアップに向かう傾向がある。最近ではScience Corpの2億3000万ドル(約345億円)のシリーズCや、NudgeやCoMindのような億万長者が支援する野心的プロジェクトなどがその例だ。
ハウエル氏は過去18カ月間の資金調達環境について率直に語った。「投資家は既存の投資仮説に引きこもった。Cognitoは明らかにその枠外にある。われわれは従来のバイオテックでもなければ、従来のメドテックでもない」
「われわれは、モダリティ(治療様式)から入るのではなく、疾患から考える投資家を求めていた」とハウエル氏は言う。「機関投資家へと転身したファミリーオフィスと話し始めたとき、感覚刺激が脳の健康に影響を与えうることを理解している投資家との間で手応えを感じた」
この資金調達は、光と音を用いたVC支援の臨床治療法への幅広い関心を喚起するだろうか。同社に関与していない、ある現役のニューロテック投資家に話を聞いたところ、Cognitoのデノボ申請が承認されれば、510(k)への先行デバイス経路を追う新たな追随競合企業が生まれる可能性があるという。しかし、それ以上に同社の進展が、認知症疾患に対する非侵襲的ニューロモジュレーション分野全体への信頼構築に貢献するだろうと、その投資家は確信していた。
オーストリアのSyntropicのような初期段階の大学発スピンアウト企業は、治療抵抗性うつ病における臨床研究を進めている。軽度認知障害を治療するフォトバイオモジュレーション(光生体調節)デバイスを開発するコンシューマー向け企業、Clarity、Vielight、Optoceuticsなどは、一般的なウェルネスデバイスの開発を積極的に進めているが、規制された臨床市場へのアクセス経路がなければスケーラビリティに課題を抱えている。
Sinaptica Therapeuticsは、異なるアプローチで間もなく大型資金調達を実現しうる企業の一例だ。同社は2021年に設立され、アルツハイマー病を電気的ネットワーク障害として捉え、経頭蓋磁気刺激(TMS)で治療することを目指している。Cognitoより数歩遅れており、2022年にFDAのブレークスルー・デバイス指定を取得し、昨年第2相試験データを発表した。
試験は主要評価項目をすべて満たし、治療が疾患の進行を遅らせる可能性を示唆している。近年、同社はNexstimなどのサプライヤーや、カナダで患者1万人、23拠点を持つ神経科クリニックネットワークであるBaycrestなどの臨床システムと戦略的長期パートナーシップを構築しており、資金調達と商業化支援も受けている。
過去2年間で、アミロイドベースのアプローチによるアルツハイマー病治療を目指す新たな医薬品や血液ベースの診断法が市場に登場した。しかし、これにより、患者のケアジャーニーのより早い段階で提供できる疾患修飾治療の必要性がさらに高まる可能性がある。SinapticaのCEOであるケン・マリアッシュ氏は次のように述べている。「アミロイドベータを標的とする企業は『いつもの容疑者』を追いかけている。われわれは火事の後に灰を掃除する以上のことをしなければならない」
Cognitoの着実な臨床進展と商業化加速の戦略は、アルツハイマー病における後期臨床段階のニューロテック企業への投資家の信頼を引き出した。同社の先行者としての勢いがFDAからの承認で結実し、有意義な償還を確保できれば、バイオテック級のエビデンスを提供する初のニューロテック企業となるだろう。それは最終的にバイオテック規模のリターンをもたらしうるだろうか。
ハウエル氏は強気だ。今回の資金調達を通じて、アルツハイマー病とそれ以外の領域における自社の価値提案をどのように磨き上げてきたかを語った。「これは複数の病態が関与する疾患であり、多面的なアプローチが必要だ。単一の標的では勝てない。それはアルツハイマー病治療だけの話ではない。われわれは、これが疾患修飾療法の新しいクラスを定義し、はるかに幅広い患者とその家族に計り知れない影響を与えうると信じている」



