マーケティング

2026.03.14 18:09

なぜPRは効果を発揮しないのか?クライアントが繰り返す過ちとその克服法

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PRの実務家なら誰もが見たことがあるだろう。大きな可能性を持つクライアントが、スキャンダルや危機ではなく、一見無害に見える小さな振る舞いによって、いつの間にか自らのPR戦略を損なってしまうのだ。整ってはいるが生命感のないコメントがここにあり、空振りのプレスリリースの乱発があちらにある。そうこうするうち、何年もかけて築いてきたメディアとのつながりが、ほつれ始める。

幸いなことに、こうしたクライアントのつまずきの多くには共通点がある。PRとは何か、そして時間をかけてどう機能するのかについての基本的な誤解である。ここでは、Forbes Agency Councilのメンバーが、PRやメディア対応でクライアントが繰り返し陥りがちな誤りと、より戦略的で効果的、かつ持続可能なアプローチへ導くために行ったコーチングについて、知見を共有する。

1. 洗練されすぎて見える

静かに効いてくるPRの「キラー」は、話しぶりが洗練されすぎていることだ。クライアントは無難な企業言語を携えて現れるため、記者は使えるコメントを引き出せず、記事は印象に残らない。私たちは「視点バンク」をつくることで、その癖を手放すよう促している。繰り返し使える、明確な意見、裏づけとなる要点、記憶に残る言い回しをいくつか用意するのだ。目的は話す量を増やすことではない。引用される存在になることである。- Robert Burko Elite Digital Inc.

2. 汎用的で宣伝色の強いコンテンツに頼る

PRを「SEOの軽量版」と捉え、汎用的なブログを量産するのは大きな誤りである。そこには、ジャーナリストやAIが求める洞察が欠けている。秘訣は「宣伝」マインドを捨て、業界特有の課題を自分たちの領域として引き受けることだ。例えば建設業のクライアントでは、一般的なPRを超え、サステナビリティを軸に「権威の堀(moat of authority)」を築く支援をした。売り込みをやめ、主導する側に回れば、ニッチを勝ち取れる。- Vin Sonpal CS Web Solutions

3. 即時に測定可能なROIを期待する

PRを長期投資と捉えず、即座にROIを証明しようとするクライアントをよく見かける。私はクライアントに、短期的に確実な成果を求めるなら広告を買うべきだと助言している。PRは長期投資であり、長期的に成果をもたらす──時には開始から3〜5年後になることもある。関係を構築し、測定可能な成果を得るには、それだけの時間がかかるのだ。- Nancy Marshall Marshall Communications

4. PRを「点の出来事」の連続として扱う

私が目にするパターンの1つは、クライアントがPRを持続する物語ではなく、点の出来事の連続として扱うことだ。ローンチは注目を生むが、一貫性がなければ効果は薄れる。私はクライアントに、一度立ち止まり、獲得したいメッセージをいくつかに絞り、時間をかけて強化するよう促している。常に新しさを追いかける衝動を手放すことが、永続的な信頼性を築くことにつながる場合が多い。- Manuel Machado CCOMGROUP Inc.

5. 誰にでも響かせようとする

いつも見かける誤りは、枠にはめられたくないがために、クライアントがあれもこれも言おうとすることだ。一般化しすぎて、結果として何も際立たない。時間が経つと、記者も読者も「結局何で知られているのか」が分からず、PRは静かに死んでいく。言うことを減らせ。明確な立場を取れ。PRで勝つのは情報量が最も多い企業ではない。最も明確なシグナルを発している企業だ。- Jason Bland Custom Legal Marketing

6. 大きな発表の合間に沈黙する

多くのクライアントは、PRを「大きな発表」のときだけ使う取引的なツールとして扱い、ニュースサイクルの合間に権威が損なわれていく。こうした当たり外れの発想は、安定したメディア関係を通じて積み上がる信頼の複利効果を阻む。私は、スローバーン戦略へ移行することで、この癖を手放すようコーチしている。製品を積極的に売っていない時期でも、一貫した価値と専門的なコメントを提供するのである。- Lisa Montenegro Digital Marketing Experts - DMX Marketing

7. 製品ローンチ後にPR活動を止める

クライアントはしばしば、PRを「一度やれば終わり」というメンタリティで捉えがちだ。本当の成果を期待するなら、PRは製品ローンチ時にスイッチを入れ、その後オフにできるものではない。成功するキャンペーンを支えるのは強固なメディア関係であり、それは勢いと信頼の上に築かれる。この習慣を改めるには、マインドセットの転換、継続的な努力、そして長期的なプロセスへの信念が必要だ。- Brock Murray seoplus+

8. 思想的リーダーシップよりもプレスリリースを優先する

よくある誤りは、プレスリリースに過度に依存し、能動的な思想的リーダーシップを怠ることだ。ハードニュースは重要だが、記者が主軸に据えたいのはそれでないことが多い。私たちは、寄稿記事、Q&A、業界イベントに紐づく翌日以降の解説コメントに投資するようクライアントを指導している。専門性が、記者がすでに追っているテーマと重なるほど、メディアとの関係は早く形成される。- Susan Thomas 10Fold Communications

9. 同じ媒体に同じ切り口を繰り返し売り込む

ブランドはしばしばPRを量の勝負のように扱い、記者のことをほとんど調べないまま、同じ媒体に同じ切り口を繰り返し売り込む。派手に失敗するわけではないが、静かに信頼を損なう。私はクライアントに、スピードを落として宿題をし、関連性を軸に提案するようコーチしている。- Sarah Tourville Media Frenzy Global

10. 物語を自分のものにするより、見出しを追いかける

多くの人がPRを「規律」ではなく「一瞬の出来事」と捉え、信頼性を築く代わりに可視性の急上昇を追いかけてしまう。短期的な露出は見栄えがするが、メッセージの一貫性と整合がなければ信頼は損なわれる。私はいま、見出しを追うのではなく物語を自分のものにするよう助言している。すなわち「どう注目を集めるか」ではなく、「何について信頼されたいのか」と問うことだ。- Taazima Kala Hotwire

11. あらゆる節目をニュースだと考える

クライアントは、ニュース価値があるかどうかに関係なく、あらゆる節目をニュースとして扱い、「狼少年」のようになり得る。これは時間とともに記者の信頼を損なう。私はクライアントに、記者の関心は何か、それが読者に実質的な価値を加えるのかを考えるよう指導している。記者が何を求めているかを理解すれば、期待値を適切に設定でき、重要な瞬間やタイムリーな物語に向けてアプローチを温存できる。- Ayelet Noff SlicedBrand

12. オーディエンスを遠ざける

整えられたメッセージだけを共有し、企業の物語、価値観、インパクトが見えるようにしない姿勢は、時間とともに信頼とメディアの関心を損なう。私たちは、透明性、人間味のあるストーリー、舞台裏の洞察を起点にするようクライアントをコーチしている。これらは信頼性を高め、より意味のある持続的な報道を生み出す。- Bernard May National Positions

13. PRを形式的な「ニュース」発表だと捉える

よく見かける誤りの1つは、PRをするには形式的な「ニュース」発表が必要だとクライアントが考えてしまうことだ。その発想は、関係性のチャネルではなく、プレスリリース製造機をつくる方向へとクライアントを縛りつける。私は、トレンドに対するコメントを通じて、視点を持って継続的に発信するよう促している。メディアが重視するのは発表だけではなく、信頼できる情報源である。会話に参加すれば、PRは複利的に積み上がる。- John McCartney Jmac PR

14. 慎重さゆえにメディア機会を断る

私たちは「すべてのPRは良いPRだ」という格言には与しない。だが、多くのPRは良いPRだと考えている。だからクライアントが当初、機会を断るときは、その理由を理解し、適切に教育するようにしている。また、機会を受けることが信頼性と関係性の構築に役立ち、一流媒体での掲載を得る可能性を高めることを説明するため、無料の「メディア101」トレーニングも提供している。- Chintan Shah KNB Communications

15. 一発狙いのメッセージで断片化を招く

クライアントがPRを仕組みではなく単発のキャンペーンとして扱うと、1本のヒット、1つの見出し、1回の急上昇を追いかける。時間が経つにつれてメッセージは断片化し、記者からは一貫性のない存在として認識されるようになる。私はチームに、持続性のある視点をいくつかに絞り込み、市場がそれを言い返せるようになるまで繰り返すことを徹底するようコーチしている。- Christine Wetzler Pietryla PR & Marketing

16. 準備不足でインタビューに臨む

CEOは多忙であり、記者の切り口、視点、読者層を把握しないままメディアインタビューに臨むことが少なくない。私たちのプロセスでは、記者が書いた過去の記事を事前にレビューし、業界に対する見方を理解する。こうすることで、クライアントは特定の質問に不意を突かれず、この特定の読者に向けて会社の価値提案を効果的に伝えられる。- Scott Powell Skyline Corporate Communications Group, LLC

17. 長期戦略なしにPRに過剰投資する

明確な長期戦略がないまま、短期的な勝利を狙ってPRに過剰投資しているケースをよく見かける。確かに短期の可視性は得られるが、時間の経過とともに効果は逓減し、反応的な方針転換を強いられがちだ。私たちは、持続的なパートナーシップと戦略的なメディア投資に焦点を当てるようクライアントをコーチしている。そうした投資は、現在のオーディエンスだけでなく将来のオーディエンスにも価値をもたらし、永続的なブランド資産を形成する。- Jordan Edelson Appetizer Mobile LLC

18. 引用に耐えるコメントを提供できない

記者との電話で、引用に足る情報だけが抜け落ちたまま、あらゆることを話してしまい、それでも「なぜ記事に引用されなかったのか」と不思議がるクライアントを何度も見てきた。私たちは、記者が記事の枠組みの中で何を必要としているのかを理解するようクライアントをコーチしている。そうすることで報道での露出が高まり、そのプロセスを通じて企業のブランド認知も高まる。- Starr Million Baker INK Communications Co.

19. 可視性と信頼性を混同する

クライアントは掲載をトロフィーのように追いかけるが、一流媒体での引用も、記憶に残らなければ意味はない。私たちは「自分たちにしか言えないこと」を語り、権威性を狙うようコーチしている。測るのはインプレッションではなく、ブランドの権威だ。買い手は、自分たちの先を考えている企業を求めている。どこにでもいるブランドと、先導しているブランドの違いを、彼らは見分けている。- Kathleen Lucente Red Fan Communications

forbes.com 原文

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