FCAは約9%、1,717万5,000株を売却、UBS、バンク・オブ・アメリカ、メリル・リンチを中心とする引受団は追加で171万7,150株を売却できるオプションを有する。売り出し価格は一株48~52ドルを想定、調達額は91億ドル(1兆円)を超え、ピエロ・フェラーリ氏もおよそ10億ドルを手にできるようだ。同氏の1,889万2.160株の約10%のシェアの普通株は、新規公開が適切な時期に行われれば最低でも9億680万ドルの価値が見込まれる。
90日の売買禁止期間付きで売却予定もない10%の株式以外に、ピエロ・フェラーリ氏は、FCAの部門再編に伴い2013年5月、2億8,000万ユーロ(3億6.000万ドル)を受け取っている。これで、創業者の息子で唯一生き残っている同氏の資産は12億7,000万ドル(約1,500億円)となる。また、株式公開資料によると同氏は10.5%まで株を買い増すことができるが、投票権は15.3%に固定される。フォーブスはFCAとフェラーリに接触を試みたが、同氏の資産についての回答は得られなかった。
ピエロ・フェラーリ氏は自分名義の資産がさらにある。ピエロ氏と二人の子供は自動車メーカー(フェラーリやそのF1チームを含む)や飛行機、防衛関連企業にエンジニアリング・サービスを提供する企業HPE COXAを保有。マーケットリサーチのOrbisによると、同社の2014年の売り上げは1,080万ドルだ。
また、ピエロ氏はイタリアの有力航空関連企業で欧州で最初に無人飛行機(ドローン)を開発したPiaggio Aeroの株式を1.95%所有している。ピエロ氏は1998年、現在、Piaggio Aeroのホセ・ディ・マーセCEOと協力して、スクーターのベスパで知られるRinaldo Piaggio SpAの飛行機部門を買収、そのうち35%は2006年アブダビのMubadalaファンドに売却したが価格は公表していない。2013年、Mubadalaはインドの複合企業グループ、タタと共同で1億9,000万ユーロを追加投資、現在はPaggio Aeroの98.05%の株式を所有している。