フランスとイタリアは、自国の船舶がホルムズ海峡を通過できるよう、イランとの協議開始に向け動いているようだ。英紙フィナンシャルタイムズが、関係筋の話を基に報じた。米国とイスラエルの攻撃を受け、イランは同海峡を事実上封鎖しており、世界のエネルギー市場は深刻な打撃を受けている。
イランは、同国の許可なくホルムズ海峡を通過する船舶を「焼き払う」と警告しており、同海峡は事実上、航行不能状態に陥っている。イランの最高指導者アリ・ハメネイ師が米国の空爆で殺害されたことを受け、新たな最高指導者に指名された次男のモジタバ・ハメネイ師は12日、同海峡の封鎖を継続すると宣言した。石油市場を混乱させる能力は、イランが持つ最も強力な切り札の1つだ。現在の軍事衝突にはフランスとイタリアは直接関与しておらず、イラン側に両国と交渉する意思があるのかは不透明だ。
フィナンシャルタイムズによると、紅海に駐留するイタリア、フランス、ギリシャの軍艦は、ホルムズ海峡を通過する船舶を護衛する準備が整っていないという。また、米軍も、同海峡を通過する原油タンカーの護衛を求める一連の要請を拒否している。
米国とイスラエルがイランを攻撃して以降、フランスのガソリン価格は平均で1リットル当たり約15セント上昇している。
ホルムズ海峡はペルシャ湾とアラビア海を結ぶ位置にあり、イランで続く紛争はさまざまな形で世界の石油供給に影響を及ぼしている。ホルムズ海峡を通過する原油は昨年、日量約2000万バレルに上った。これは米国の1日分の石油消費量に相当する。
同海峡の封鎖に加え、イランの報復攻撃により、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールの製油所は一時的な操業停止に追い込まれた。世界の年間石油生産量の5%弱を供給するイランでも、製油所が被害を受けた。
国際指標の北海ブレント原油先物は、イランでの軍事衝突が始まって以降、1バレル100ドルを超える水準にまで急騰している。国際エネルギー機関(IEA)の加盟国は供給途絶のリスクに対処するため、過去最大規模の計4億バレルの石油備蓄を協調して放出すると表明した。米政府は12日、既に海上で足止めされている原油の購入を許可するため、ロシア産原油に対する制裁を一時停止すると発表した。さらに、船舶が米国の港湾に原油を搬入できるよう、海運法であるジョーンズ法を暫定的に適用除外することを検討している。
米ホワイトハウスのカロライン・リービット報道官は今週初め、国民に対し、「ガソリン価格は今後急落し、イランへの攻撃前の水準よりもさらに低くなる可能性もある」と強調。ガソリン価格の上昇は一時的なものに過ぎないと約束した。ところが、ドナルド・トランプ米大統領は12日、ガソリン価格を低く抑えることから焦点をずらし、原油価格が上昇すれば米国は「莫大な利益」を得ると主張した。



