マーケティング

2026.03.13 23:53

ブランドがクリエイターに求める3つの目的

stock.adobe.com

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従来、ブランドがクリエイターと協業する際に重視する指標は1つ、すなわちコンバージョン(顧客に購入してもらうこと)だけだと考えられがちである。しかし実態は、はるかに複雑だ。ブランドは複数の目的にまたがってクリエイターとの提携を戦略的に活用しており、その違いを理解することは、より長期的なパートナーシップを築きたいクリエイターにとって不可欠である。洗練されたブランドは、コンバージョン重視のキャンペーンに限らず、戦略的パートナーとしてクリエイターを起用し、ブランド認知の向上、比較検討の促進、クリエイティブ制作といった目的を達成している。

目的1:ブランド認知と文化的影響力

潜在顧客に購入してもらうには、まずブランドの存在を知ってもらう必要がある。そこで、コンテンツクリエイター、特にソーシャルメディアでの到達力が非常に大きい人や、影響を受けやすいオーディエンスを抱える人を活用して接点をつくるのは賢明な手だ。

通常、ブランド認知を念頭に置く場合、多くのブランドは、自社の理想顧客と合致するターゲットオーディエンスを持つクリエイターを戦略的に起用する。そのため、クリエイターにとっては、自身の全体的なミッションや、誰に向けたコンテンツなのかを一目で伝わる形で示しておくことが重要になる。ブランドが声をかけるべきかどうか判断しやすくなるからだ。

支払う価値のあるブランド認知を生み出せるのは、極めてフォロワー数の多いクリエイターだけだと考えられがちだが、より多くのブランドがナノおよびマイクロクリエイターにも目を向けている。彼らのオーディエンスがどれほど精緻にターゲット化されているか、そしてどれほど強い関係性を築いているかを理解しているためである。

「文化を動かすクリエイターもいる」とThe Digital Dept.のブランド&アフィリエイト担当バイスプレジデント、アシュリー・フィンチは語る。「彼らの声はタイムリーで話題性があり、会話を形づくり、大規模な認知をもたらす力がある」

ブランドは一般的なブランド認知のためだけでなく、特定の商品ローンチやブランド施策、あるいはターゲットオーディエンスにより深く知ってほしい啓発活動のために、クリエイターを起用している場合もある。

Ticketmasterのソーシャル&インフルエンサー領域におけるUSデジタル戦略マネージャー、レアンナ・チュオンは、ファン向けの教育的な認知形成に焦点を当てて、クリエイターとの提携を行っている。「新しいプロダクト機能、技術強化、転売屋やボットを減らすためのセキュリティ開発、チケットのコツなど、何であれ驚くほど多くの人が間違ったことをしている」と彼女は言う。

目的2:比較検討とコンバージョン

ソーシャルコンテンツの視聴者を顧客へと転換すること──インフルエンサー起用における従来のパフォーマンスマーケティング目標──は、いまも多くのブランドにとって主要な目的である。この目的は、潜在顧客が購入を検討する際、通常は少なくともある程度の反復的な接触が必要になるため、「ファネル下部(ボトム・オブ・ファネル)」の目標とみなされることがある。

クリエイターを起用してコンテンツを売上に結び付けたいブランドにとって、信頼性、共感性、オーディエンスとの適合度が高い人材を見つけられるかどうかは、実際の購買意思決定を動かすか、ほぼ失敗に終わるキャンペーンに費用を投じるかの分かれ目になり得る。

ブランド認知と同様に、コンバージョンを念頭に置く場合は、マクロ規模のクリエイターだけと組むべきだと思う人もいるだろう。しかし、ナノおよびマイクロクリエイターは、オーディエンスとの強い関係性と信頼を持つがゆえに、コンバージョン重視のキャンペーンでも継続的に起用されている。

数十万人規模のフォロワーを持つクリエイターはDMの受信箱が溢れ返り、フォロワーと1対1でやり取りする余力がない場合がある。ナノおよびマイクロクリエイターは、通常こうした問題を抱えにくい。彼らのフォロワーはより近づきやすく、一般により密接な関係性を築いている。

フィンチも、小規模なクリエイターがフォロワー数の多いクリエイターと同等に影響力を持ち得る点に同意する。「より小さいが、より深く忠誠心の高いコミュニティを築いている人もいる。そこでの信頼は行動に直結し、比較検討とコンバージョンを促すうえで驚くほど効果的だ」と彼女は指摘する。

これを踏まえると、クリエイターの中には、時間をかけてより高い投資対効果を得るために、ブランドパートナーに対して、コンバージョン重視の強い売り込みではなく、まずはブランド認知を高める「ファネル上部(トップ・オブ・ファネル)」のアプローチから提携を始めることを提案する者もいるだろう。

目的3:コンテンツ制作

多くのクリエイターは当初、自身のオーディエンスにコンテンツを届け、ブランド認知および/またはコンバージョンを促すために起用される。しかしブランド側は、自社利用のために素材(アセット)にアクセスする権利に対して費用を支払おうとしている場合もある。これはスポンサードコンテンツと併せて行われることもあれば、単独で行われることもある(一般に「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」と呼ばれる)。

「オーガニックとペイドのソーシャルにおけるクリエイティブ制作は大きく変わった」とBrilliant Agencyのソーシャルメディア担当バイスプレジデント、リサ・ヴェトローネは言う。「洗練され、編集記事のような資産や、徹底的にキュレーションされたフィードの時代は終わった」

ブランドは、より本物らしい共感性に寄ったコンテンツをつくるクリエイターを求めがちである。そのほうが潜在顧客にとって親しみやすく感じられるからだ。だからこそブランドに必要なのは、単なる宣伝チャネルとしてのクリエイターではなく、コンテンツパートナーとしてのクリエイターである。

ブランドは、最初から最後まで完成版の素材を制作してもらうためにクリエイターを起用することもあれば、さまざまな形式で使える柔軟なコンテンツのために起用することもある(たとえば、ブランドのチャネル向けのオーガニック投稿やペイド広告へ転用できるBロール映像素材など)。これは通常、ブランドにとって費用対効果を高める。

この目的を持つブランドにとって最大の検討事項の1つは、美的な相性が合うクリエイターを起用することだ。潜在顧客への訴求を確実にするため、コンテンツのスタイルはブランドのスタイルと緊密に一致しているべきである。また、クリエイター本人の知名度や権威性が魅力となる場合もある。業界内でより影響力のあるクリエイターは、他のクリエイターより多くの売上を生み出せる可能性があるためだ。

1つのキャンペーンに複数の目的はあり得るか

これらのキャンペーン目的が重なり合うことは十分にあり得る(そして、むしろよくある)。Brilliant Agencyでインフルエンサーマーケティング担当シニアバイスプレジデントを務めるダン・チゾノティは、「ほぼすべてのインフルエンサーキャンペーンは、本質的にはブランド認知の施策だ」と述べている。

ブランドが広告で使えるコンテンツや、コンバージョン重視のキャンペーンのためにクリエイターを起用する場合であっても、オーディエンスにそのブランドや商品を知ってもらうことを目指している。

結論

この3つの明確に異なる目的を深く理解しているクリエイターは、それぞれの中で自らを戦略的に位置づけることができ、より多くの提携を勝ち取り、より高い報酬を得て、より持続可能なキャリアを築ける。

クリエイターが、キャンペーンについて潜在的なパートナーと会う際にまず問うべきは、「主目的は何か」である。そこで明確な答えが得られない場合、それは危険信号かもしれない。最良のパートナーシップは、成功の姿について全員の認識が揃っているときに生まれる。

「適切なクリエイターが見つかると、協働的な関係にもなる」とヴェトローネは言う。「そうしたパートナーシップこそ、最も実り多い」

forbes.com 原文

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