マーケティング

2026.03.13 21:44

記憶に残るPRキャンペーンはいかにして生まれるか

Julia - stock.adobe.com

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エミリー・レイノルズは、受賞歴を持つR Public Relationsの創業者兼CEOであり、専門的なPR、パブリシティ、危機対応コミュニケーションサービスを提供している。

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昨年の成功したPRキャンペーンを1つ挙げてほしい——外部の助けはなしで——と言われたら、いくつ思い浮かぶだろうか。では、あなたが育った頃のキャンペーンはどうだろう。極めて稀ではあるが、一部のブランドは製品そのものを超えて成功を収め、長く記憶に残るキャンペーンを生み出すことに成功している。

自社やクライアントのブランディングを際立たせたいと考えるCクラスの経営幹部、マーケティングリーダー、そして筆者のような経営者にとって、過去の成功したキャンペーンを分析することは出発点として最適である。21世紀のPR業界を再定義した3つの受賞キャンペーンを検証し、次のキャンペーンに活かせるポイントを探っていこう。

ナイキの「Dream Crazy」

2018年、ナイキはコリン・キャパニックをはじめ、逆境を乗り越える精神を体現するアスリートたちを起用した「Dream Crazy」キャンペーンを開始した。NFLの選手だったキャパニックは、その2年前に人種差別への抗議として国歌斉唱中に片膝をついた。批判派からは激しい反発を受け、支持派からは強い連帯を得たが、その後の出来事は彼のNFL退団につながり、同時にナイキをPRの殿堂入りへと導いた。

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文化的緊張が高まる時代に、ナイキは大きなリスクを取った。「何かを信じろ。たとえすべてを犠牲にすることになっても」というスローガンを掲げたキャンペーンにキャパニックを起用したのだ。この力強い感情的ストーリーテリングは、全米のアスリートたちの心に深く響いた。ナイキの成功の秘訣は、ターゲットであるオーディエンスの核心的価値観を深く理解していたことにある。彼らは、同じ社会問題を日常的に経験している若いアスリートたちだった。

ナイキが社会問題に対して立場を表明したのはこれが初めてではなかったが、この大胆な選択によってブランドは社会変革とディスラプションの最前線に躍り出た。このキャンペーンはブランド価値を60億ドル向上させ、売上を31%増加させ、カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルのクリエイティブ・エフェクティブネス部門でグランプリを獲得した。

このレベルでオーディエンスとつながることを目指すブランドにとって、筆者が自チームの手がけたキャンペーンを通じて見いだしたのは、鍵は自社の核心的価値観をオーディエンスの価値観と一致させることにあるということだ。ターゲットオーディエンスの核心的価値観を、キーメッセージ、ブランドボイス、デザインの方向性における「北極星」として据えるべきである。キーワード調査、アンケート、コミュニティとの交流を通じた詳細な市場調査で、オーディエンスの動機を絞り込め。文化的な対話を効果的に前進させるブランドの力は、今後何年にもわたる成長とロイヤルティの発射台となり得る。

ダヴの「Campaign For Real Beauty」

2004年に遡ろう。超ローライズのジーンズが幅を利かせ、太いメッシュが流行し、フロスト系アイシャドウがマストのメイクだった時代だ。美容キャンペーンの大半は、ほぼプロのモデルだけを使った超スリムな美の基準を推進していた。そんな中、ダヴがその年に「Campaign for Real Beauty」を発表したとき、業界に衝撃が走った。

完璧にエアブラシ加工されたモデルの画像を使うことに誰も疑問を抱かなかった時代に、ダヴは実際の女性たちを起用した。この決断は、自分を美しいと考える女性がわずか2%しかいないという洞察から生まれた。ブランドは完璧なボディという理想に真っ向から挑み、代わりに多様な体型をクリエイティブで表現した。このキャンペーンは、デジタル加工で歪められた画像を使用しないというブランドのコミットメントを発表する場となり、その約束は今日まで守られている。

キャンペーンのモデルたちに目に見える不完全さがあったにもかかわらず——おそらくそれがあったからこそ——多くの女性が初めて自分自身が表現されているのを目にした。売上は3年間で20億ドルから40億ドルへと倍増した。このアイデアは単発のキャンペーンからブランドの長期戦略へと進化し、カンヌライオンズのクリエイティブ・ストラテジー:長期ブランドプラットフォーム部門でグランプリを獲得した。

競争の激しい市場で事業を展開しているブランドは、次のキャンペーンを構築する前に一歩引いて、業界全体のブランディング戦略を観察してみよう。繰り返し登場するメッセージは何か、そしてコアとなるナラティブを覆したり、ポジティブな変化を推進したりする方法はないだろうか。製品中心の視点ではなく、顧客のより広い視野から物事を見る時間を取ろう。現状維持に甘んじるのではなく、業界全体をより良い方向へ変革する最前線に立つことができるかもしれない。

コカ・コーラの「Share A Coke」

コカ・コーラは2011年、オーストラリアでのキャンペーンで「コークを飲む体験」をパーソナライズした。コークは素早く、移動しながら飲まれることも多い飲料だが、「Share a Coke」キャンペーンは消費者同士をつなげた。ボトルの片面にあるコカ・コーラのロゴが、一般的なファーストネームに置き換えられた。製品パッケージを、意外でありながら大成功を収めた「自発的なつながりの瞬間」の源泉として活用したのだ。

このキャンペーンはグローバル規模に拡大され、ブランドを再び消費者の意識の最前線に押し上げた。減少していた売上は回復し、若い世代がシェアしたくなる瞬間をソーシャルメディアに投稿し、新しいパッケージは急速に勢いを増した。オンラインで数百万のインプレッションを生み出し、ブランド力を高めた。このキャンペーンはカンヌライオンズのクリエイティブ・エフェクティブネス部門でゴールドを受賞した。

物理的な製品を製造しているブランドは、顧客を生産プロセスに巻き込み、ストーリーの不可欠な一部にすることを検討してみよう。今日のデジタル時代において、パーソナライゼーションはブランドロイヤルティの構築に大きく貢献する。画期的なソリューションである必要もない。カスタマイズされたパッケージやトレンドへの参加といったシンプルなことでも、顧客に体験を提供できる。動画や写真をシェアすることで、顧客がその瞬間をオンラインで共有するよう促すことを忘れないでほしい。

最後に

多くのブランドにとって、群衆の中で際立つことは終わりのない課題である。明確なブランドボイスを発信するために、ナイキ、ダヴ、コカ・コーラは文化的な瞬間を活用し、意味があり、エンゲージメントを高め、測定可能な成果を達成した。彼らの戦略を理解し、自社ブランドに合わせて適応させることで、強いエンゲージメントを生み出し、長く記憶に残るキャンペーンを創造することができるだろう。

forbes.com 原文

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