キャリア

2026.03.22 13:00

慢性的な仕事のストレスは脳を損傷する──脳の健康を守る6つの方法

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慢性的な仕事のストレスから脳を守る6つのステップ

仕事でどれだけ高いパフォーマンスを発揮するのか、キャリアの階段をどこまで上れるか、どのように年齢を重ねていくか──こうしたことを決めるのは脳だ。そして重要なのは、自分のコパイロット(副操縦士)として働いてくれる脳に、最大限の力を発揮させるために必要なのは何か、仕事で耐え忍ぶストレス要因から脳を守るためにはどうしたらいいのかを知ることだ。

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幸いなことに、ストレスの循環を断ち切って脳の健康を守るために実践できるステップがある。

1. 勤務時間の境界線を明確に定める

慢性的なストレスが最も速く蓄積してしまう要因の一つは、生活のありとあらゆるところに仕事が入り込んでいる状態だ。勤務時間が終わったら意識を仕事から切り離すことで、脳の健康は守られる。

研究によれば、仕事から心理的な距離を置くこと(心理的ディタッチメント)は、燃え尽きの低減や、認知機能の回復力、ウェルビーイングの改善度を測る上で、最も確実な予測因子の一つだという。

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脳を守るために、まずは境界線をはっきりと引こう。勤務中は、時々短い休憩時間を取ろう。決まった時間になったらコンピューターのスイッチを切り、勤務時間外のメール対応を制限するなどして、神経系をリセットできる余地を設けよう。

2. 体を動かして、コルチゾールの悪循環を断ち切る

ストレスによる生物学的な影響に対抗する上で最も効果的なのは、体を動かすことだ。運動をすると、コルチゾールの値が低下し、脳への血流が増す。また、BDNF(脳由来神経栄養因子)といった脳を守る化学物質の放出が促され、神経の健全なつながりが保たれる。

ある画期的な研究では、定期的に有酸素運動を行うと、脳の萎縮が抑制され、海馬が大きくなり、記憶力が向上することが示された。

3. 深い睡眠を優先する

睡眠中は、脳が自ら修復する時間だ。しかし慢性的なストレスを抱えていると、睡眠パターンが乱れがちとなり、脳神経への負担がどんどん蓄積されていく。

専門家は、規則正しい睡眠習慣を維持し、就寝前にはスマートフォンなどを見ないよう心掛け、暗く静かな睡眠環境を整えるようアドバイスする。質の高い睡眠をとると、コルチゾールが制御され、海馬の記憶処理がスムーズになる。

4. 有害な職場をできる限り避ける

ストレスの原因が、有害な上司やハラスメント、混乱の絶えない職場文化にあるならば、いくら瞑想をしたところで、何も解決しないだろう。境界線を引いたり、問題行動を記録したり、異動申請を出したり、退職に向けて計画を立てたりするなどして、可能な限り有害な要因を排除しよう。多くの場合は、慢性的なストレスを生む原因を取り除くことが、何よりも強力な解決策だ。

5. 脳を「脅威モード」から脱出させる手法を試す

批判や、雇用への不安、高いプレッシャーなどの脅威に絶え間なくさらされていることを脳が感知すると、神経系は、闘争・逃走モードのスイッチが長期間入ったままになる。

そんな場合には、マインドフルネスを実践したり、ゆっくりと呼吸したり、認知的再構成(思考の歪みを正して調整する)に取り組んだりしよう。こうした手法によって、脳がより穏やかな状態に戻りやすくなり、注意力や感情制御力、意思決定力が改善される。

6. サポートネットワークを強化する

社会的なつながりは、脳にとって自然なストレス緩衝材の一つだ。信頼できる同僚や友人、メンターと話をすると、感情的な反応を制御しやすくなり、仕事のストレスに付随する孤独感も軽くなる。

支えてくれる強力な人間関係には、コルチゾールを減らし、身体的なストレス反応を抑制し、慢性的ストレスによるダメージから脳を守る効果があることが、神経学的研究では一貫して示されている。

慢性的な仕事のストレスから脳を守るために

仕事に起因する慢性的なストレスは多くの場合、キャリアで野望を持つ人にとって、やむを得ない犠牲として扱われる。しかし、神経科学は別のストーリーを伝える。緊迫感が常に漂い、批判が飛び交い、雇用不安が付きまとうプレッシャーの大きい職場で働いていると、脳のストレスに対する反応は何カ月、あるいは何年にもわたって続くかもしれない。

プレッシャーが長引けば、感情的に消耗するだけでなく、脳の形が物理的に変わってしまうおそれもある。時間が経つにつれ、脳への負担が慢性化し、記憶力、集中力、感情制御力、長期的な脳の健康に関わる脳の回路が変化してしまうのだ。

ただし、心強い知らせもある。脳は、優れた適応力も備えている。脳が回復する時間を確保する、睡眠を優先する、体を動かす、支えてくれる人間関係を構築するなど、ちょっとした取り組みで、ストレスの悪循環を断ち切り、認知の回復力を取り戻すことはできる。

絶え間ないプレッシャーの下で働くことを賛美しがちな職場文化において、脳を守ることは、これまでで最も賢明なキャリア戦略の一つかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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