AIの急速な進歩、従業員の期待の変化、そして続く経済的圧力に直面するなかで、長年当然視されてきた労働力に関する前提が多くの場面で検証を迫られている。この環境下では、生産性、リーダーシップ、採用、企業文化、さらには勤務地に至るまで、従来の考え方が同じ形ではもはや通用しなくなっている。
先進的なリーダーたちは、過去にうまくいった方法に頼るのではなく、意図的にこれらの前提を問い直し、より柔軟でレジリエンスが高く、現代の働き方に適合した組織づくりを進めている。以下では、Forbes Human Resources Councilのメンバーが、2026年に意図的に疑問視している労働力に関する前提と、それが組織にどのような変化をもたらしているかを紹介する。
1. 従業員への感謝は過剰になり得る
「従業員を褒めすぎる」ということがあり得る、という考えに私は異議を唱えている。調査によれば、職場で評価されていると感じる従業員はわずか25%にすぎない。だが、従業員が担う役割で生み出している影響を、月に1度、意味のある形で評価されると、気分が良くなり、パフォーマンスも向上する。実際、評価されていると感じる従業員は、定着する可能性が2.5倍高く、帰属意識を感じる可能性は54倍高い。- David Bator、Achievers
2. AIは新入社員やインターンの仕事を代替できる
AIが彼らの仕事をできるとして、新入社員やインターンを削減している組織が多い、と示唆する記事を目にする。これは愚かな考え方だ。こうした企業の多くは、高齢化する人材や退職する人材の穴を埋めるために若い人材を必要としている。残念ながら、AIは答えではない。AIは人をより効率的かつ効果的にできるが、それでも人は必要だ。若木がなければ森は再生できず、やがて枯れてしまう。- Gordon Pelosse、AI Certs
3. すべての空きポジションには正社員の外部採用が必要
空いているポジションはすべて、社外から正社員で採用しなければならない、という前提がある。私はその考え方に異議を唱えている。業界全体で、スキルベースのタレントマネジメント戦略が浸透し、経験だけでなくスキルと経験のバランスを見て人材判断を行うようになったことで、社内異動や外部人材(コンティンジェント)の活用が広がっている。この考え方を優先する企業は、役割に適した人材をより迅速に見つけられるだろう。- Nicky Hancock、AMS
4. リーダーシップは上位の肩書きに限られる
リーダーシップは、上位の肩書きや役割に限定されるものではない。2026年には、あらゆる役割にリードする機会と責任がある。あらゆるレベルで人を育てる組織は、信頼と自信を築き、パフォーマンスを強化し、事業とともに成長するリーダーを定着させることができる。そうすることで、チームは自分の仕事により深くコミットし、互いに責任を持ち、共通の成果に投資するようになる。- Kathy George、Spherion Staffing and Recruiting
Forbes Human Resources Councilは、全業界の人事エグゼクティブを対象とする招待制組織である。参加資格はこちら
5. AIは雇用を奪うか、万能薬かのどちらかである
AIは雇用を奪う存在か、奇跡の万能薬か、という誤った二分法に私たちは異議を唱えている。当社では「意図的なAI(Intentional AI)」を掲げ、焦点を目的ある活用へと移している。すなわち、AIで人間の生産性と、チームおよび顧客にもたらす成果を増幅しつつ、偏りを防ぎ、プロセスの主導権を確実に握り続けるために、人による監督を維持するということだ。AIが自律的な意思決定者になることは決してない。- Hayley Bakker、beqom
6. 従業員には常時監視が必要
「従業員には常時監視が必要」「画一的なアプローチで十分」という考えは、もはや過去のものだ。今、本当に重要なのは、従業員一人ひとりのニーズや強みに対応するAI駆動のツールでサポートしながら、「自分で選択する」自律性を与えることだ。これは、信頼、柔軟性、そして真にパーソナライズされた従業員体験を優先する文化を構築するために不可欠である。- Sourabh Deorah、AdvantageClub.ai
7. 企業文化はプロセスとは別物
優れた従業員体験は偶然に起こるのではなく、設計によって生まれるべきだと私は考える。2026年、私たちは「企業文化はプロセスと切り離されている」という前提に意図的に挑戦している。人材戦略、オペレーションシステム、リーダーの行動を整合させることで、従業員と会員の双方にとって一貫性があり、力を引き出し、成果に結びつく体験を設計している。- Dr. Kelly Meredith、Southworth Development
8. 人材の即戦力度は固定的で役職に縛られる
問い直している前提は、労働力の準備状況が固定的で、役割に縛られるというものだ。2026年、組織はスキル、とりわけAI隣接領域の能力を、継続的に更新され再配置される動的な資産として扱わなければならない。戦略的人員計画は、職務を予測することから、学習の速度、適応力、企業全体でのスキル流動性を構築する仕組みを設計することへと移行する。- Britton Bloch、Navy Federal
9. 従業員は常にフル稼働しなければならない
成果を出すには、常にフル稼働でなければならないという一般的な考えに私は疑問を呈している。私の考えでは、持続可能なパフォーマンスは、絶え間ないプレッシャーではなく、明確さ、信頼、柔軟性によって築かれる。リーダーが人間のエネルギー、感情、状況を理解すれば、チームはエンゲージメントとレジリエンスを維持し、長期的により良いパフォーマンスを発揮する。- Ankita Singh、Relevance Lab
10. キャリアの成長には大都市圏への移住が必要である
私たちは、優れたキャリアを築くには大都市圏に住まなければならない、という考えに異議を唱えている。地方で働く当社の銀行員による一人称のストーリーを前面に出すことで、小さな町で暮らす魅力を手放すことなく、際立つキャリアを築きたいと望む意欲的な金融プロフェッショナルに向けた認識を、意図的に塗り替えている。- Jill Shedek、Bank Iowa
11. 企業文化は自然に維持される
私は、企業文化は自然にレジリエンスを保つという前提に意図的に異議を唱えている。現代の職場では、特に成長期、混乱期、不確実な時期において、文化は積極的に主導し、守り、測定しなければならない。リーダーは文化を人事部門だけに任せることはできない。文化は日々の意思決定、行動、トレードオフに現れるものであり、戦略や財務と同じレベルの厳密さが求められる。- Nicole Cable、Blue Zones Health
12. 人材は代替可能で、スピードが最優先である
人材は容易に代替でき、持続可能性を犠牲にしてでもスピードを優先すべきだ、という考えに私は異議を唱える。人はスキル、人間関係、組織の制度的知識を通じて、代替不可能な価値をもたらす。長期的なパフォーマンスは、育成への投資、熟慮された後継計画、そして成果とウェルビーイングの双方を支える仕組みの構築にかかっている。- Sharifah Masten, CMM、Barbaricum LLC
13. 生産性は労働時間と人数で決まる
2026年に私が意図的に疑問視している労働力に関する前提は、生産性は労働時間、出社の有無、あるいは人数によって左右される、というものだ。今年の競争優位は、人の労働力とインテリジェントなシステムの組み合わせを、リーダーがどれほど巧みに設計できるかに基づく。効果的な組み合わせとは、リーダーが意図、判断、役割の説明責任を設定し、AIが実行、データ傾向、スケールを担う姿であるべきだ。- Dr. Timothy J. Giardino、myWorkforceAgents.ai
14. コンセンサスが安定をもたらす
安定はコンセンサスから生まれるという信念を、私は打ち崩している。実務では、安定はリーダーが適時に意思決定し、その決定を貫くことから生まれる。トレードオフを明確にし、説明責任を先送りせず徹底する組織のほうが、より高い成果を出す。居心地のよさは前進を遅らせる。やり抜くことが前進を持続させる。- Apryl Evans、USA for UNHCR
15. 生産性には常時対応が必要である
最高の生産性に、常時対応は必要ない。代わりに、ディープワークの時間ブロックと非同期コミュニケーションのほうが、即時応答よりも実際に良い成果を生むのかを検証している。初期データは、集中できる時間が意思決定の質を高め、燃え尽きの軽減につながることを示唆している。また、地理的な近接性が、私たちの文脈においてなおイノベーションと相関するのかも問い直している。- Jonathan Westover、Human Capital Innovations
16. 悪いニュースには利点がない
多くの職場では、良いニュースは良く、悪いニュースは悪い、と扱う。私はそれを反転させている。うまくいっていない点に関する悪いニュースこそ、イノベーションを起こし、差別化するための最良の機会を浮かび上がらせる。「悪いニュース文化」を掲げる当社では、何が問題なのかを表面化させる人を称え、最も簡単な勝ち筋ではなく、最も難しい課題にエネルギーを向けている。悪いニュースは機会である。- James Glover、Flint Learning Solutions
17. 従来のやり方が常に最善
「まあ、ずっとこうやってきたから」という有名な言い回しに私は異議を唱えている。目標は、面倒な作業を取り除くことだ。今年、私は人事テクノロジーの自動化を通じて変革を推進している。手作業のタスクをどう排除するか。テクノロジースタックを通じて候補者体験と従業員体験を高めるために、どう固定観念にとらわれず発想できるか。- Nakisha Dixon、Second Bloom, LLC
18. AI対応の人材システムは自走できる
私たちは、スキルを軸にしたAI対応組織を構築している。データがより良い意思決定を導き、文化がその意思決定を信頼でき、公正で、監視ではなく成長に焦点を当てたものにする。AIスキルモデルを実際に機能させる文化の柱は、1. 信頼、2. 何を、なぜ測るのか、誰が見られるのか、そして結果にどう異議申し立てできるのかに関する明確なルール、3. オーナーシップ(リーダーが売上と同様に人材の成果に責任を持つこと)である。- Sheena Minhas、ST Microelectronics



