経営・戦略

2026.03.13 10:44

信頼が内向きになる時代、ビジネスリーダーが築くべき「橋」とは

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分断が進む世界にあっても、信頼はビジネスにとって重要な競争優位であり続ける。2026年エデルマン・トラストバロメーターは、あらゆるリーダーにとって厳しい現実を突きつける。信頼は、いっそう内向きになっているのだ。私たちは「自分たちと同じ」人々のサイロへとさらに引きこもり(親近性バイアスは現実に存在する)、自分たちとは異なる他者とのつながりを閉ざしつつある。

しかし、この内向きへの後退のなかに、ビジネスには大きな機会がある。私は長年、顧客にこう伝えてきた。信頼は単なる「あったらいいもの」ではない。持続可能な競争優位なのだ。エデルマンの新レポートはそれを証明している。政府やメディアが信頼の分断を埋めるのに苦闘する一方で、ビジネスは他に類を見ないほど信頼される存在であり続ける。これを生かすために、リーダーは「見せかけのアライシップ」を超え、データが示す「信頼の灯台」となる必要がある。

この内向きな環境をどう乗り越え、信頼をビジネスにおける競争優位に変えるか、その方法を紹介しよう。

1. 信頼が内向きであるとは、ビジネスにとって何を意味するのか?

今年のレポートでもっとも衝撃的な発見は、世界の人々の70%が、いまや内向きの信頼マインドセットを持っているという点だ。つまり10人中7人が、異なる中核的価値観で生き、異なる事実に依拠し、あるいは異なる文化的背景を持つ相手を信頼することに、ためらいを覚えるか、信頼したがらないということである。

これは単なる社会トレンドではない。職場でも起きている。信頼がローカル化し、共有される制度の影響力が弱まると、生産性は停滞し、顧客は選択を変える。信頼できる企業に寄り、信頼できない企業は避けるようになる。エデルマンによれば、収益に次のような影響が及び得る:

  • 職場の対立:42%の従業員が、価値観の異なる上司のもとで働くくらいなら、部署を異動したいと考えている。
  • 生産性の低下:34%の従業員が、政治的信条が異なるリーダーが率いるプロジェクトチームの成功に対し、支援の努力を減らすと答えている。
  • イノベーションの停滞:内向きの世界では、完全な一致が信頼の前提という達成不能な条件になり、画期的なアイデアに必要な多様なチームを築くことがほぼ不可能になる。

リーダーとして、チームが本能的に安全と確実性へ後退していくことを認識しなければならない。サイロが固定化する前に、橋を架けることが私たちの役割である。

2. ビジネスは分断された世界で最も信頼される存在である

メディアや政府への信頼が不安定なままである一方、ビジネスは相対的に輝く存在であり続ける。世界では回答者の64%が「ビジネスは正しいことをする」と信頼しているのに対し、政府はわずか53%にとどまる。さらに強力なのは、人々が身近な職場に向ける信頼だ。78%が「自分の雇用主を信頼している」と答えており、調査対象の28カ国中27カ国で、最も信頼される制度となっている。

なぜこれが重要なのか。ビジネスは、他の制度にはない形で「有能で倫理的」だと見なされているからである。例えば、異なる社会経済階層、年齢、民族、文化的背景を持つ人々が、同じ企業でともに働くことがある一方、別の文脈ではほとんど接点を持たない場合がある。ビジネスには、こうした認識上のサイロを横断する橋となる独自の機会がある。

ただし注意も必要だ。深い不満の危機がある。内向きのマインドセットを持つ人の61%は、この仕組みが「多数のためではなく少数のために機能している」と考えている。人々はあなたが物事を成し遂げることを信頼しているが、それが「全員のため」なのか、「選ばれた少数のため」なのかを見ている。公平な扱いが鍵である。人によってルールが異なれば、信頼は損なわれる。

3. 企業が信頼を持続可能な競争優位として活用する方法

内向きの世界では、従業員と顧客が信頼する人や企業が競争優位を得る。つまり、違いを超えた信頼を促進できるリーダーや組織が勝つということだ。信頼とは、ビジネスリーダーとして「批判すること」ではなく「好奇心を持つこと」にある。信頼を持続可能な競争優位として活用するための実践手順は次のとおりである:

  • 組織全体に広げる:82%の従業員が、共有されたアイデンティティと文化を促進し、結びつきを想起させることが、信頼構築に有効だと答えている。
  • 建設的な対話を促進する:80%の従業員が、対立のなかで建設的な対話に取り組む方法のトレーニングを望んでいる。難しい会話を避けてはならない。人々に、そのための道具を与えるべきだ。個人的には、UCバークレーのアザーリング&ビロンギング研究所の無料ツールが気に入っている。
  • CEOのアライシップで導く:CEOに求められるリーダーシップへの期待は高いが、実行とのギャップは大きい。73%が「CEOには分断を橋渡しする義務がある」と考える一方で、それをうまくやっていると感じる人は44%にすぎない。自社を批判したり不信を抱いたりするグループと建設的に関与することで、このギャップを埋められる。この戦略は人口の74%が支持している。
  • 集団間の交流を育む:74%が、従業員が職場で自分と異なる人々と交流するよう促すことが、信頼を促進する有効な戦略だと考えている。

信頼がもたらす最終的な成果

エデルマンのデータは明確だ。世界は、内向きな状態から抜け出す道筋を示す役割をビジネスに求めている。信頼の灯台となることは、分断された世界における停滞から組織を守り、将来に備えることにつながる。

この内容が気に入ったなら、信頼と職場文化に関する最新のソートリーダーシップを扱う「Allyship in Action」ポッドキャストもぜひチェックしてほしい。また、スパムなしで毎週のニュースレターを受け取り、新たな研究と洞察にもアクセスできる。

forbes.com 原文

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