経営・戦略

2026.03.13 08:57

予測不能な未来に備える「即興」という武器

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The Second Cityではいま、アーカイブの再編を進めている。66年分のテープ、台本、書簡、契約書、写真、そして雑多な資料だ。そこから見つかるものは、しばしば荒唐無稽であり、同時に実に興味深い。1971年の舞台監督の報告書によれば、John Belushiは出演の集合時間に遅刻を繰り返し、そのたびに減給されていたという。ある時期には、従業員エンゲージメントとブランドメッセージの発信を目的とした社内会議で上演するため、Qdoba向けに完全カスタムのロックオペラを制作したこともあった。

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そして、私がとりわけよく知る歴史の断片がある。1990年の契約書で、当劇場が「通話順序制御機」を導入することを決めた経緯が記されている。当時、予約受付は留守番電話だけに頼っていた。しかしその機械は20件のメッセージでいっぱいになり、それ以降に席を予約したい人は手の打ちようがなかった。新設された営業責任者の職に就いたばかりの24歳だった私が、この技術への投資を提案したところ、懐疑的な反応もあった。当時はクレジットカードも受け付けておらず、コンピューターは経理部のものが1台あるだけだった。それでも上司は賭けに出ることを選び、結果として「電話を取りこぼさない」だけで平日の来場者数を10%以上増やすことができた。

ここで約40年働いてきて、私が学んだ最大の教訓のひとつは、ビジネスにおいて唯一変わらないものは「変化」だということだ。だからこそ即興は、優れたコメディを生み出すスキル以上のものである。台本のない未来を進むうえで、理想的な実践法なのだ。

即興とは何か

即興では、その瞬間に徹底して意識を向けることを教えられる。過去の枠組みにとどまったり、結果を予測しようとしたりするのではなく、目的はシナリオを構築することにある。観客が何を気にしているのか、何が頭の中にあるのか、何に感情的な共鳴を覚えるのかを、絶えず「群衆の知恵」から集めていく。これはビジネスにおけるベータテストに似ている。製品やキャンペーン、さらにはメニュー項目でさえ、本格投入する前に試すことを可能にする、イノベーションプロセスに欠かせない要素である。無から有を生み出すことを仕事にする者にとって、モデルをつくり、検証することは絶対的に重要だ。これは即興者にも、台本のない未来が私たちにもたらすものを予測するために頼りにする専門家にも当てはまる。

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数年前、私は未来学者Bob Johansenと親交を結んだ。彼は1972年からこの分野に取り組んでいる。その年、彼は神学校に通うことへの関心と関係があると思い、ある会議のパンフレットを手に取った。ところが彼がいたのは、最初のARPANET会議だった。(ARPANETは、知らない人のために言えば、現代のインターネットの前身である。)そしてそこでBobは、生涯をかける情熱を見いだした。組織が未来に備え、未来を形づくる手助けをすることだ。

Bob自身の物語と未来学者としての仕事は、俊敏であり、回復力を備え、変化への備えを整えている必要性を彼に教えた。また、物語とストーリーテリングの重要性も示した。こうしたスキルはいずれも、即興のトレーニングで強調される。

ビジネスにおける即興力の鍛え方

Bobは新著Navigating the Age of Chaosで、共著者とともに、即興が非線形の未来と予測不能な結果に先回りして回復力を築くうえで、優れた低リスクの方法であることを強調している。とはいえ、優れた即興者や優れたリーダーが、何もないところから突然現れるわけではない。彼らは継続的にスキルセットを磨き、技を鍛え、さまざまな可能性のある結果に備えてリハーサルを重ねる。

ビジネスリーダーは優れたストーリーテラーでなければならない。世界を理解する方法のひとつが物語だからだ。私たちがビジネスチームに用いる演習のひとつに「60/30/10」がある。まず全員に、就職面接だと思って60秒で自己PRをしてもらう。次に同じ内容を30秒で行う。最後に、10秒でピッチを完了させる。どんな環境でも自分のストーリーを適応させる力は、ビジネスにおける超能力である。メッセージとその伝え方を磨き、研ぎ澄ませることは、現場での実践を通じてしか起こり得ない。

予測不能な未来に向けてリハーサルしたいだろうか。私たちは「Take That Back」と呼ぶ演習でチームを導く。3人組に分け、うち2人は単純に会話を始める。3人目は会話の途中のさまざまなタイミングで手を叩くよう指示される。手が叩かれたら、直前に話していた人は、最後に言った内容を新しいフレーズや単語に置き換えなければならない。これによって、人が俊敏さと変化への備えを身につけるには、恐れと判断を手放すことから始まると学べる。新しい言葉、新しいプロセス、新しいアイデアを見つけるために必要なのは、自分自身と他者を信じることだけだ。

私が創造性やイノベーションのカンファレンスで講演を依頼されると、成功にとって最大の障壁は何かとほぼ必ず尋ねられる。私にとって、これ以上の答えはない。それは「過去の成功」だ。ヒットを手にすると――それがショーであれ、製品であれ、マーケティングキャンペーンであれ――同じことを繰り返したくなるのが常である。短期的には通用するかもしれないが、多くの場合、最後に勝つのは独創性だ。優れたリーダーは、次に来るものを先回りして見通すことを学ぶ。未来は未知かもしれないが、答えはいずれ浮かび上がる。そしてその答えは、数え切れないほど多くの即興の産物となる。

forbes.com 原文

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