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2026.03.13 11:00

代理戦争から直接衝突へ──イラン最高指導者ハメネイの死を招いた誤算と必然

FotoField / Shutterstock.com

ハメネイは2026年を、その長い生涯のなかでも最も運命的な行動によって始めた。イラン各地で彼の体制下の悲惨な生活状況や抑圧、そして体制そのものに対する国民の抗議行動が広がるなか、ハメネイに忠実な革命防衛隊と民兵組織バシジは、前例のないインターネット・通信遮断に踏み切った。その遮断の陰で、ハメネイの配下部隊は非武装の抗議者たちを無差別とみられる仕方で大量に殺害した。重機関銃からナタまで、さまざまな武器が使われた。死者は3万人以上にのぼった可能性があり、少なくとも7000人あまりの殺害が確認されている。いずれにせよ、イラン現代史上最も多くの犠牲者を出した抗議弾圧だったのは間違いない。

もはや後戻りはできなかった。

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トランプはこの大量虐殺を非難し、イラン国民を支援すると表明した。虐殺は1月8〜9日にピークに達した。トランプは中東での戦力増強を命じ、その規模はやがて2003年のイラク戦争前に匹敵するものになった。並行してトランプはイラン当局と「間接的な」核交渉を短期間行ったが、これは明らかにイラン周辺に軍事力を集結させる時間稼ぎが目的であり、実際、無意味に終わった。2月28日未明、イスラエルと米国はイランに対する新たな攻撃を始めた。これに対してイランは、イスラエルに加え、複数のアラブ湾岸諸国やイラク・クルディスタン地域にある米軍基地や民間インフラを狙ったより広範な報復で応酬した。その日の終わりまでに、ネタニヤフの言葉を借りれば、ハーメネイは「もはや存在しない」状態になった。

ハメネイが2026年1月、大勢の無防備なイラン市民を殺害したことで、避けられない運命をみずから決定づけたのは明らかである。彼の死後、この体制が戦争下でも存続し、秩序ある権力継承を完遂できるのか、それともイラン国民がトランプの呼びかけに応じ、ハメネイが次の世代まで必死に守ろうとしていた体制を終わらせるのかについては、多くの不確実性が残っている。

ハメネイについては、その死のずっと前から、自身の硬直した信念や政策を改めることはおろか、みずからの行動や判断の重大な誤りを認めることすら現実的にはあり得ないとみられていた。言い換えれば、彼は最後まで厳格な「原理主義者」のままだった。

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「ハメネイに関して期待すべきでないことは、存命中に態度を豹変させることだ」。米国のシンクタンク、中東研究所のシニアフェロー、アレックス・バタンカは2021年の優れた著書『The Battle of the Ayatollahs in Iran(仮訳:イランにおけるアヤトラたちの闘い)』の末尾近くに先見的に記していた。

「彼はみずからの過ちをすべて墓場まで持っていく覚悟であり、下した決断について謝罪することは決してないだろう」

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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