だからこそ、長続きする習慣をつくりたいなら、環境を行動の味方になるよう設計することが推奨される。このプロセスで重要なステップには、次のようなものがある。
・明確な合図を置く(例:玄関にランニングシューズを置く)
・摩擦を取り除く(例:食事を事前に準備しておく)
・社会的支援を得る(例:友人に習慣に付き合ってもらう)
・状況を変える(例:特定の場所でのみ勉強する)
環境が古い行動を起動し続ける限り、意志力は常に弱いレバーのように感じられることを忘れてはならない。
3. モチベーションが習慣と噛み合っていない
成功や生産性をめぐるメディアでは、モチベーションが大きく取り上げられる。しかしCOM-Bモデルでは、モチベーションを単なる「何かを欲すること」と捉えるのをやめるよう促す。代わりに、モチベーションには2つの重要な形があるとされる。
・内省的なモチベーション:意識的な目標、計画、意図
・自動的なモチベーション:習慣、感情反応、衝動
モチベーションが内省的なものだけ、つまり「これが欲しいし、自分にとって良いと思う」だけなら、意識的な自制心が常に自動的な傾向を上書きし続けることを期待していることになる。だが長期的には、これは負け戦だ。自動的な支えがなければ、態度や意図が持続的な行動変容につながることはまれだからである。
これは、習慣が自動性を伴うためである。自動性とは、熟考せずに反応できる能力だ。そしてまさにこの点で、多くの人はつまずく。
これは、内的報酬が習慣形成を加速させることを示した2018年の別の研究とも符合する。つまり、快いあるいは意味があると感じられる行動は、そうでない行動よりも速く習慣化する。とりわけ同じ状況で一貫して行動が実行されると、知覚される報酬が習慣の回路を強化する。
この観点から見ると、習慣が定着しにくくなるモチベーションのよくある誤りが2つある。
・抽象的な目標(例:「健康になる」)にだけ動機づけられ、報酬やアイデンティティに結びついた根深い動機(例:「健康になれば、もっと元気で、幸福感が高まり、人生の満足度も上がる」)を持てていない
・自動的な駆動要因が古い習慣と整合しているため、新しい習慣が競り勝ちにくい
後者は特に致命的になり得る。例えば、毎日早起きしたいと思っていても、自動的な報酬システムが「毎朝ベッドでくつろぐこと」に結びついているなら、内省的モチベーションは自動的な衝動と戦い続けねばならない。そういう意味で、本当の習慣形成とは、自動的モチベーションを形づくることでもある。
・習慣を意味のある報酬と結びつける(例:小さな達成を祝う)
・行動をアイデンティティと結びつける(例:「もっと走りたい」ではなく、「私はランナーだ」と言う)
・習慣そのものを内発的に楽しいものにする(例:運動中に音楽を聴く)
こうした戦略は、意欲を高めるだけではない。時間の経過とともに、新しい行動を脳が「標準」として扱うよう配線していく。


