AIが、プライベートクレジットの資金が最も集中しているセクターで利幅を圧縮するなら、業界が長らく前提としてきた分散効果は瞬く間に消えかねない。UBSが最悪シナリオのデフォルト(債務不履行)見通しを15%へ引き上げた際、警鐘を鳴らしたのがまさにこのシナリオである。引き上げ幅は、1カ月足らずで2ポイントに上った。この警告が出た背景には、ブルーオウルが償還停止に踏み切ったこと、そしてアポロのCEOであるマーク・ローワンが、業界全体の淘汰を予測したことがある。
「AIがプライベートクレジットを不安定化させるかどうかは、モデルそのものというより、それがどれだけ一様に採用されるかに左右される」。クレジットAI企業サイエナプティックAIのCEO、パンカジ・クルシュレシュタはインタビューでこう語った。「皆が同じシグナルを走らせれば、リスクは分散しない。同期する。しかも同期したリスクは、全員を同時に驚かせる種類のものだ」
15%という数字はテールリスクのシナリオであり、ベースケースではない。ムーディーズはなお、米国の投機的格付け(スペキュラティブグレード)のデフォルト率が12月までにおよそ2.5%へ低下すると予測している。ハイイールド債のスプレッドも、3月初旬時点でICE BofA指数で3.03%にとどまり、パニック領域にはほど遠い。だがUBSのロジックは、具体的で測定可能な一点に依拠している。プライベートクレジットの2兆ドル超の資産のうち、AIによって素早く価格が付け直され得るセクターに、どれほどが置かれているのかという点である。
資金はどこへ向かったのか
PwCによれば、プライベートクレジットは2025年末までに運用資産残高が2.4兆ドルを超えた。プレキンは、2030年までに4.5兆ドルに達すると見込む。成長の源泉は単純な取引だった。2008年以降、銀行がリスクの高い企業向け融資から後退し、ダイレクトレンダー(直接貸付業者)がその空白を埋めた。主に、変動金利ローンでPE(プライベートエクイティ)傘下のミドルマーケット企業に資金供給してきたのである。
その資金は、ある場所へ不釣り合いに集中した。PE傘下ローン全体のおよそ40%がソフトウェア・セクターにあるとブルームバーグは推計している。しかも、この数字ですらエクスポージャーを過小評価している可能性がある。ブルームバーグ自身の分析では、複数のBDC(ビジネス・デベロップメント・カンパニー)によって「事業サービス」や「食品」、「ヘルスケア」に分類されていたものの、実態はソフトウェア企業である案件が、少なくとも250件、総額90億ドル超に上った。
SaaStrによる公開資料の分析によれば、アポロは2025年にソフトウェアのエクスポージャーをおよそ半減させ、約20%から約10%へと引き下げた。これほど賢明な企業が、これほど攻めた形でポジションを縮小するなら、問うべきは「問題があるかどうか」ではない。「どれほど大きくなるのか」である。
「ポートフォリオの30%が1つの産業にあり、その産業がテクノロジーの影響を受けているのなら、あなたは優れたリスクマネジャーとは言えない」。ローワンは3月3日、ブルームバーグ・インベスト・カンファレンスでこう述べた。
注目すべき事実: ブルームバーグによれば、ソフトウェアはプライベートエクイティ傘下のローン残高全体のおよそ40%を占め、さらにそのエクスポージャーの多くは他の業種ラベルの下に誤分類されている。ブルームバーグ
AIがどのように信用問題になるのか
最もエクスポージャーが大きい企業群には共通点がある。反復的なナレッジワークを時間単価で売っている。独自データを欠く。主要顧客は大企業で洗練されており、より安価なAI搭載の選択肢が現れた途端に値下げを要求できる。
「リスクが最も高いのは、ITマネージドサービス、定型的なソフトウェア開発とQA(品質保証)、コンテンツのバリエーションを量産するマーケティング代理店、基礎的なアナリティクス、HR(人事)および採用業務、パラリーガル業務と契約レビュー、そして一次対応のカスタマーサポートだ」。ヘッツ・ベンチャーズのマネージング・パートナー、ジュダ・タウブはこう語った。
マッキンゼーは、生成AIが生み出す経済価値の約75%が4つの機能(カスタマーオペレーション、マーケティングおよび営業、ソフトウェアエンジニアリング、研究開発)に集中すると推計した。ゴールドマン・サックスのリサーチは、米国労働力の6%〜7%(約1100万人の雇用)が最終的にAIによる代替リスクにさらされるとした。また、最近のゴールドマンの分析によれば、AI関連の人員変更についてすでに言及している企業は、過去1年で求人を12%減らした。一方、言及していない企業の減少は8%だった。
タウブは、信用ストレスが生じる順序をこう説明する。「まず利幅の圧縮が起き、次にEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)が低下し、レバレッジが急上昇する。コベナンツ(財務制限条項)の余裕は消え、条件変更を誘発し得る。流動性が流出し、いわゆる『エクステンド・アンド・プリテンド(返済期限を延ばして問題を先送りする)』の力学が働く。とりわけ、フリーキャッシュフローが薄く、アドバック(調整加算)が大きい発行体ではそうなる」
タイムラインは未確定だ。UBSは、AIによる急速な破壊をテールリスクとして扱う。現状のプライベートクレジットのデフォルト率は3%〜5%の間で推移している。しかしタウブによれば、AIの代替が存在することを理由に顧客が値下げを要求する「最初の衝撃」はすでに起きており、今後12カ月で加速する。その次に来るのが、AIネイティブの競合が市場シェアを本格的に奪う「構造的な置き換え」だ。
「小売業者が、メール問い合わせ、オンラインチャット、音声通話の対応に支払う手数料には標準的な相場がある」とタウブは言う。「歴史的には、これらは高収益でキャッシュを生むビジネスが担ってきた。だが今や、AIにとっては手を付けやすい『低い枝の実』になっている」
モーニングスターLSTAのデータによれば、ソフトウェア・セクターのレバレッジドローン(借入金)で、現在80セント/ドルのディストレス(窮境)閾値を下回って取引されているものは過去最大の250億ドルに達した。ソフトウェアのEBITDAマルチプル(これらのローンの多くを裏付ける担保価値)は、2022年末の30倍から現在はおよそ16倍へと崩落した。
誰も語らないモデルリスク
一方で、プライベートクレジットの運用者は、自らの引受審査(アンダーライティング)やモニタリングのプロセスにもAIツールを組み込みつつある。マッキンゼーの最新のプライベートエクイティ調査では、GP(ジェネラル・パートナー)の70%が、3〜5年以内にAIが投資プロセスに高いインパクトをもたらすと見込んでいる。ブラックストーンは社内のポートフォリオ分析ツールを開発し、それをクリアウォーター・アナリティクスに売却した。
それが二次的な問題を生む。そして、AIによる与信判断システムを構築するクルシュレシュタは、業界がその点に注意を払っていないと言う。
「業界は標準化されたモデルを使いがちだが、私たちはより文脈に即したモデルを推奨している」と彼は言う。「モデルリスクを集中リスクのように扱え。運用者間で共通するデータ依存関係をマッピングし、景気後退だけでなくモデルの故障(失敗)に対してストレステストを行う。特徴量(feature set)について透明性を求め、チャレンジャーモデルも走らせる。モデリング哲学の多様性は、借り手の分散と同じくらい重要だ。むしろ重要かもしれない。なぜなら、誰もそれを考えていないからだ」
金融安定理事会(FSB)は、2025年のノンバンク監視報告書において、規制報告に必要なプライベートクレジットのデータ可用性に深刻な制約があると指摘した。IMFは10月、ノンバンク金融仲介機関におけるストレスが銀行システムに波及し得ること、そして自らのストレステストでは相互連関が多くの人の想定より深いことが示されたと警告した。
UBSは、深刻なシナリオではプライベートクレジットとローン発行が前年同期比で50%〜75%減少し、レバレッジド・ファイナンス市場全体のデフォルトと損失の総額がそれぞれ約4200億ドルと3000億ドルに近づき得ると見積もる。
結論
LP(リミテッド・パートナー)としてプライベートクレジットのエクスポージャーを保有しているなら、あるいはミドルマーケット企業としてそれを通じて借り入れているなら、最大の顧客が「同じ仕事をより安く」こなせる世界を前提に、ポートフォリオまたはバランスシートのストレステストを行うべきだ。今その計算を行う者は、四半期ごとの評価(マーク)に価格付け直しが現れてから動く者よりも、有利な立場に立てるだろう。



