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2026.03.12 08:00

IEAが「過去最大の4億バレル」の石油放出、イラン戦争の混乱緩和へ前進

Mario Tama/Getty Images

Mario Tama/Getty Images

国際エネルギー機関(IEA)の加盟国は米国時間3月11日、戦略備蓄から合計4億バレルの石油を放出することに合意した。これは過去最大の放出規模であり、イラン戦争により急騰する原油価格を抑制することを目的としている。

IEAの発表によれば、米国、欧州連合(EU)の主要国、英国など全32のIEA加盟国は、中東での紛争に起因する市場の混乱に対処するため、各国の緊急備蓄から計4億バレルの石油を放出することを決議した。

ファティ・ビロルIEA事務局長は声明の中で、石油市場が直面している課題は「かつてない規模」であるとした上で、「石油市場はグローバルなものであり、重大な混乱への対応もまた、グローバルなものである必要がある」と述べた。

世界の石油の約20%が通過するホルムズ海峡は、イラン戦争の影響により事実上の閉鎖状態が続いている。

IEAは具体的な放出時期について明らかにしておらず、「追って実施される」と述べるに留まる。一方、高市早苗首相は、早ければ16日にも備蓄を放出すると表明した。

今週初めに1バレルあたり120ドル近くまで急騰した原油価格は、今回の発表を受けてわずかに下落した。11日午前の時点で、米原油指標のWTI先物は約86.26ドル、国際指標の北海ブレント先物は約90ドル前後で推移している。

IEA加盟国は緊急備蓄として計12億バレルを保有しており、さらに政府の義務の下で追加の6億バレルが保管されている。JPモルガン・チェースのアナリストは10日、米エネルギー省の備蓄量が各種原油を合わせて4億1500万バレルを超えていることから、米国が「放出分の中で最大のシェアを供給する可能性が高い」と指摘した。IEA加盟国は、2022年のロシアによるウクライナ侵攻後にも約1億8000万バレルを放出している。

報道によれば、イラン軍報道官のエブラヒム・ゾルファガリは、イラン戦争が長引けば原油価格は200ドルに達する可能性があると警告した。彼は今週初めにも、米国が「卑劣で非人道的な行為」を続ければ価格が急騰すると述べていた。なお、原油価格の過去最高値は2008年7月に記録した147ドルである。

世界の石油市場は、2月に発生したイラン戦争を受けて混乱に直面している。イランは報復として近隣のホルムズ海峡を通過する船舶を標的にしており、11日午前にはイラン沖で貨物船3隻が攻撃を受けた。ドナルド・トランプ大統領は、船舶へのさらなる攻撃を控えるようイランを牽制し、「もしイランがホルムズ海峡内の石油の流れを止めるようなことをすれば、米国からこれまでの20倍激しい打撃を受けることになる」と述べた

戦争が始まって以来、米国のガソリン価格は50セント以上高騰しているが、この戦争によるエネルギー価格への影響はまだ不透明だ。11日に発表された連邦政府のデータによると、1月から2月にかけて燃料油価格は11%以上上昇しており、これは労働統計局が追跡している全項目の中で単月として最大の上げ幅となった。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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