経営・戦略

2026.03.11 22:07

AI削減の「ブーメラン」──なぜ企業は再雇用に追い込まれるのか

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Amazon、Nike、Home Depotが1週間で1万7575人削減。ガートナーは「こうした削減を行う企業の半数が2027年までに再雇用に動く」とする

2026年1月最終週は、小売業界で「オートメーション・ウィーク」という異名がついた。Amazonは本社部門の職務を1万6000件削減し、10月以来2度目の大量リストラとなった。Nikeはテネシー州とミシシッピ州の物流センターで775人を削減。Home Depotは主にテクノロジー部門で800のポジションを廃止した。3社、1週間で1万7575人の雇用が消えた。

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そして2月3日、ガートナーはすべての取締役会を立ち止まらせるべき予測を発表した。2027年までに、AIを理由に人員削減を行った企業の半数が、類似の業務を担わせるためにスタッフを再雇用するというのだ。職種名は変わることが多い。ガートナーが2025年10月に顧客サービス部門のリーダー321人を対象に実施した調査では、AIを理由に実際に人員を減らしたのは20%にとどまった。大半の削減は、より広い経済環境に起因している。フォレスターのデータはさらに踏み込む。雇用主の55%は、AIのために従業員を解雇したことをすでに後悔している

問題は、これらの企業のうちどこが計算された変革を行い、どこが後で代償を払うことになる株価上昇を買っているのかということだ。

Amazonのケースは見た目以上に複雑である

この記事の初稿では、Amazonを「ゴールドスタンダード」と呼び、「強固な岩盤」に基づく計画を実行していると書いた。現実はもっと入り組んでいる。

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Amazonは確かに1月下旬に本社部門の職務を1万6000件削減し、10月の1万4000件と合わせて、CEOのアンディ・ジャシーがAI主導の組織変更を示唆して以降、削減総数は3万人超に達した。同社はまた、Amazon Go全14店舗とAmazon Freshの50超の拠点を閉鎖し、ホールフーズに集約しようとしている。2025年にはデータセンターに1250億ドルを投じ、設備投資として2000億ドルを計画しており、大半はAWSのAIワークロードが対象だ。

しかしAmazon自身は、削減の「大部分」の理由はAIではないとCNNに語っている。上級副社長のベス・ガレッティは、これを「階層の削減、オーナーシップの強化、官僚主義の排除」と位置づけた。CNNが引用したラトガース大学の教授は、「強固な岩盤」という物語を切り崩す指摘をしている。「Amazonは、手作業の物流やレガシーな小売システム向けに構築された労働力を、生成AIエージェントを構築する人材に容易に再訓練することはできない」というのだ。

解雇されたAmazonの元従業員の一人は、ABCニュースにもっと率直に語った。「人員を削減すれば、効率性を示したことになり、より多くの資本を引きつけ、株価が上がる。つまり、そもそも肥大化していただけで、人員を削減してAIのおかげだと言えば、バリューストーリーが手に入るということだ」

Amazonは確かに、多くの小売企業より優れたデータ基盤を持つ。数十年にわたる構造化されたeコマースデータの蓄積、競争優位としてのAWS、そしてフルフィルメントや物流における本物のAI導入がある。しかし、3万人の解雇を精密なAI主導の変革と断じるのは、Amazon自身が自社について語ろうとする範囲をも超えて誇張である。相当部分は、AIの有無にかかわらず起きていたはずの、パンデミック後の適正化だ。

NikeとHome Depot:実はAIの話ではない

Nikeの物流センター775人削減は、オートメーションの物語が実際に起きていることを覆い隠しているため、精査に値する。CNBCは報じている。前CEOジョン・ドナホー時代のD2C(消費者直販)推進の際に構築した物流能力が、エリオット・ヒルCEOの下で卸売パートナーへの回帰を図った後、現在の取扱量を上回っているのだ。モーニングスターのアナリスト、デビッド・スワーツはロイターに対し、Nikeは最近の売上減少を考えると「倉庫能力を過剰に構築した」可能性が高いと語った。同社は直近四半期で純利益が32%減少したと報告している。

Nikeの削減は、従業員7万7800人の企業における物流作業員775人だ。人員の1%に相当し、主にロボットが人を置き換えたことではなく、失敗した戦略転換が生んだ過剰能力が原因だ。同社は声明で「オートメーション」という言葉を使ったが、CNBCは指摘している。Nikeが具体的にどのようにオートメーションを拡大する計画なのか、そしてそれが削減にどの程度の役割を果たしたのかは依然として不明だと。

Home Depotの800人削減は、さらにAIとは無関係だ。同社はRetail Diveに対し、削減はテクノロジー部門に集中しており、週5日のオフィス復帰義務化と併せて実施されたことを認めた。CEOのテッド・デッカーは真の要因について透明性を保っている。住宅活動は住宅ストックに対する比率として40年ぶりの低水準にあり、同社が期待していた需要の転換点は実現しなかったのだ。Home Depotの2026年度ガイダンスは、既存店売上高成長率を横ばいから2%と予測している。これは住宅市況の回復を待つ企業による景気循環的な削減であり、AI変革ではない。

クラーナのブーメランは現実であり、重要だ

元の記事はクラーナの話を概ね正しく捉えていたが、要約以上に細部が示唆に富む。

2022年から2024年にかけて、クラーナは約700人の顧客サービス職を廃止し、OpenAIで構築したAIアシスタントに置き換えた。CEOのセバスチャン・シエミアトコフスキは、AIが700人分の業務をこなせると豪語し、顧客対応の75%を担っていると述べた。同社は1年以上にわたり採用凍結を実施。従業員数は主に自然減により22%減少し、3500人となった。

2025年初頭までに、その実験は目に見えて失敗していた。顧客からの苦情が増え、満足度の評価は低下した。ユーザーは機械的な応答と、ボットが失敗した後に人間に同じ問題を繰り返し説明するという苛立たしいループを訴えた。2025年5月、シエミアトコフスキはブルームバーグに対し、同社はやり過ぎたと語った。「私たちは効率性とコストに注力しすぎた。結果は品質低下であり、それは持続可能ではない」

クラーナは方針を転換し、再雇用を開始した。リモートで柔軟な顧客サービス職として、学生や地方の労働者をターゲットにしている。同社は現在、人によるサポートをコストセンターではなく競争優位として位置づけている。この方針転換は、クラーナの米国IPO直前に起こり、株価は30%急騰、企業価値は196億5000万ドルに達した。

ブロックは10倍の規模で同じ賭けに出た

5日前、ブロックCEOのジャック・ドーシーは4000人、全従業員の約40%を削減し、その理由について明確にAIだと述べた。ブロックの株価は最大24%急騰した。ドーシーはアナリストに対し、「昨年12月に何かが起こり、モデルの能力が桁違いに向上した」と語り、「1年以内に、大多数の企業が同じ結論に達するだろう」と予測した。

市場はこれを歓迎した。しかし、背景を考えてみよう。ブロックの株価は2025年初頭から約40%下落していた。同社は2019年から2023年にかけて従業員数をほぼ3倍に増やし、ShopifyやCoinbaseなどの同業他社よりも丸1年長く採用を続け、すでに複数回のパフォーマンスに基づく削減を経験していた。ドーシーはXで認めた。「コロナ禍で過剰採用してしまった。2つの別々の会社構造(SquareとCash App)を誤って構築してしまったからだ」。同社はまた、5カ月前にジェイ・Zを招いた対面での全社イベントのために全員を飛行機で呼び寄せるのに6800万ドルを費やした

ブロックは、AIツールが具体的にどのように特定の職務を不要にしているのか、ほとんど説明していない。ブルームバーグは指摘している。一部のアナリストは、同社が「本当にAIによって変革されているのか、それとも単にいずれにせよ行っていたであろうコスト削減の都合の良い理由としてAIを使っているだけなのか」と疑問を呈していると。

これこそがガートナーが警鐘を鳴らすパターンだ。企業がAI主導のリストラを発表し、株価が跳ね、実際のAI能力は物語に追いつかない。解雇は現実だ。だが、それを正当化したはずのAI変革は、いまだ進行形である。

実際に起きていることと語られている物語の違い

2026年第1四半期のデータは、個別企業の発表よりも明瞭な物語を示している。米国の雇用主は1月最終週だけで6万1650人超の人員削減を発表した。Challenger, Gray & Christmasは、1月の解雇発表が2009年以来最高水準に達したと報告している。AIは2025年に5万4836件の解雇計画の理由とされ、2023年以降では7万1825件の人員削減発表でAIが言及されている。

だがガートナーの調査は、物語と現実の乖離を明らかにする。人員を削減した顧客サービス部門のリーダーのうち、AIが理由だったのは20%にすぎない。残りは経済的な圧力に対応しており、AIを都合のよい枠組みとして用いていた。ガートナーのアナリスト、キャシー・ロスが述べたように、「最近の人員削減の大半は、自動化だけでなく、より広範な経済状況の影響を受けていた」のである。

バンガードの報告書は、AIオートメーションの影響を強く受ける職種が、実際にはパンデミック前よりも速く成長しており、他のすべての職種よりも速く成長していると指摘した。オックスフォード・エコノミクスの1月の報告は、CEOがAI関連と呼んだ解雇の多くが、実際には過去の過剰採用の結果だったと述べている。カーネギーメロン大学の研究では、最良のAIワーカーでさえ、割り当てられた基本タスクの約4分の1しか完了できなかった

ブーメランはすでに見え始めている。クラーナは再雇用している。ガートナーは、AIを理由に削減した企業の半数が2027年までに後に続くと予測する。分析会社Visierが追跡する解雇された従業員の再雇用率5.3%も、すでに上向き始めている。株価の跳ねを戦略と取り違える企業は、顧客離れ、業務上の空白、そして自ら追い出した組織知を呼び戻すための採用コストで、その代償を払うことになる。

これをどう読み解くか

構造的な変革を行っている企業と、発表をしているだけの企業を区別しよう。Amazonは本物のAI基盤と、もっともらしい前進への道筋を持っている。たとえその解雇がパンデミック後の肥大化に関するものでもあるとしても。NikeとHome Depotは、AIとはほぼ無関係の景気循環的な事業課題に直面している。ブロックは、そのCEO自身が前例のないリスクの高いものと位置づける賭けに出ている。

解雇発表で跳ねる株価は、利益率の拡大を織り込んでいる。その拡大が実現するかどうかは、それらの労働者を置き換えるAIが実際に機能するかにかかっている。100億ドルのAI広告エンジンを構築するMetaがいる一方で、解雇した人間を静かに呼び戻すクラーナもいる。ブーメランは予測ではない。すでに起きているのだ。

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forbes.com 原文

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