アート

2026.03.30 10:15

名画『ヴィーナスの誕生』、なぜヴィーナスに「へその緒」がないのか?

Getty Images

ところが、ウラヌスは生まれてきた子供たちの中で、醜い姿をした者たちを憎み、地底に閉じ込めてしまった。我が子を地底に幽閉された母ガイアは激怒した。そして末息子クロノスに、父ウラヌスへの復讐を命じる。

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ある夜、ウラヌスがガイアのもとを訪れた時のことだった。

息子クロノスは鋭い鎌を手に忍び寄り、父ウラヌスの男性器を切り落とし、それを海に投げ捨てたのだ。

切断された性器は、青い海に落ちた。すると不思議なことが起きた。

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性器から流れ出た白い泡(精液)が海水と混ざり合い、あたり一面が真珠のような泡で覆われた。その泡の中から、1人の女神が姿を現した。

それがヴィーナス(=アフロディテ)である。

彼女は泡の中で成長し、西風の神ゼピュロスに運ばれて海を渡った。そして陸地に着く頃には、完全に成熟した美女になっていた。季節の女神ホーラが布を持って待ち受けていたのは、全裸の女神を迎えるためだった。

つまりこの絵は、赤ちゃんが生まれる瞬間ではない。切り落とされた性器から生まれ、海で育った女神が、初めて陸に上がる瞬間なのだ。

ヴィーナスにへその緒がないのは当然である。

母の胎内で育っていないのだから。

【Summary】
へその緒がないのは当然。ヴィーナスは切り落とされた父親の性器から生まれた。

自然と一体になった幻想的な光景の恐ろしい真実

なぜ水に浮かぶ少女の目は虚ろなのか?
→ 正気を失っているから

 

(出所)『ムンクは何を叫んでいるのか』(サンマーク出版) (写真提供:ALBUM /アフロ)
(出所)『ムンクは何を叫んでいるのか』(サンマーク出版) (写真提供:ALBUM /アフロ)

『オフィーリア』(1851―1852)
作者:ジョン・エヴァレット・ミレイ
所蔵:テート・ブリテン

花に囲まれて小川を流れる美しい少女。

ドレスを広げ、穏やかな表情で水面に浮かんでいる。

まるで水の精霊か、おとぎ話のお姫様のようだ。

自然と一体になった幻想的な光景。これほど平和で美しい絵画もないだろう。

しかし、この絵には恐ろしい真実が隠されている。

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文=井上響/美術史作家、美術史ソムリエ

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