ところが、ウラヌスは生まれてきた子供たちの中で、醜い姿をした者たちを憎み、地底に閉じ込めてしまった。我が子を地底に幽閉された母ガイアは激怒した。そして末息子クロノスに、父ウラヌスへの復讐を命じる。
ある夜、ウラヌスがガイアのもとを訪れた時のことだった。
息子クロノスは鋭い鎌を手に忍び寄り、父ウラヌスの男性器を切り落とし、それを海に投げ捨てたのだ。
切断された性器は、青い海に落ちた。すると不思議なことが起きた。
性器から流れ出た白い泡(精液)が海水と混ざり合い、あたり一面が真珠のような泡で覆われた。その泡の中から、1人の女神が姿を現した。
それがヴィーナス(=アフロディテ)である。
彼女は泡の中で成長し、西風の神ゼピュロスに運ばれて海を渡った。そして陸地に着く頃には、完全に成熟した美女になっていた。季節の女神ホーラが布を持って待ち受けていたのは、全裸の女神を迎えるためだった。
つまりこの絵は、赤ちゃんが生まれる瞬間ではない。切り落とされた性器から生まれ、海で育った女神が、初めて陸に上がる瞬間なのだ。
ヴィーナスにへその緒がないのは当然である。
母の胎内で育っていないのだから。
【Summary】
へその緒がないのは当然。ヴィーナスは切り落とされた父親の性器から生まれた。
自然と一体になった幻想的な光景の恐ろしい真実
なぜ水に浮かぶ少女の目は虚ろなのか?
→ 正気を失っているから
『オフィーリア』(1851―1852)
作者:ジョン・エヴァレット・ミレイ
所蔵:テート・ブリテン
花に囲まれて小川を流れる美しい少女。
ドレスを広げ、穏やかな表情で水面に浮かんでいる。
まるで水の精霊か、おとぎ話のお姫様のようだ。
自然と一体になった幻想的な光景。これほど平和で美しい絵画もないだろう。
しかし、この絵には恐ろしい真実が隠されている。


