キャリア

2026.03.11 16:32

学位だけでは足りない──「経験格差」が人材の未来を左右する

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ExcelerateのCEOであるスンダル・クマラサミーは、インターンシップと実践的スキルへのグローバルなアクセスを拡大し、世界中で未来に対応できる人材の育成に取り組んでいる。

少し率直に言おう。私たちが使い続けてきた従来のリーダーシップの教科書は、いまや遺物になりつつある。長年、学生には同じことを伝えてきた。「学位を取れば、中流階級へのゴールデンチケットが手に入る」と。だが、その時代は公式に終わった。

今日、紙の資格だけでは不十分だ。私は30年にわたり高等教育と労働市場の接点で仕事をしてきたが、いま起きていることは単なるトレンドではない。従来のエントリーレベルへの道筋が、構造的に崩壊しているのだ。学位は最低限の要件となり、一方で質の高い実践経験は最も希少な価値を持つようになった。この経験格差こそが、教育だけでなくリーダーシップが機能していない領域である。

いま「コンテンツ」より「コンテクスト」が勝る理由

抽象的な知識だけが競争優位だという幻想は、もうやめなければならない。そんなものではない。卒業生はAIやプロジェクトマネジメントの理論を隅々まで理解しているかもしれないが、雇用主がいま実際に見極めているのは、もはやそこではない。世界経済フォーラムマッキンゼーの最近の分析も、この点を裏づける。職務が進化するにつれ、変化する状況のなかでスキルを適用できる力が、雇用可能性を左右する重要な要因になっている。

雇用主が本当に知りたいことは単純だ。予測不能で雑然とした制約がつきまとう火曜の午後に、きちんと実行できるか。

だからこそ、インターンシップやコープ(実務と学業を組み合わせる制度)が、キャリアにとって欠かせない「翻訳レイヤー」になった。教室での理論を、実際の能力へと変換する。学位が「学べる」ことを示すシグナルだとすれば、インターンシップは「働ける」ことを示す。前者はシグナルであり、後者は概念実証である。

オンランプのパラドックス

私たちはいま、苛立たしいループにはまり込んでいる。デロイトの「2025 Global Human Capital Trends」調査では、経営層の過半数(66%)が「最近採用した人材は職務に十分備わっていない」と回答した一方、エントリーレベルの求人は今や、2〜3年の経験を当然のように求めている。

このパラドックスが、キャリアへのオンランプをボトルネックに変えてしまった。全米大学・雇用者協会(NACE)のデータによれば、学士課程の学生で有給インターンを完了したと回答したのは半数を少し上回る程度(59%)にとどまり、第一世代の学生ではその割合がさらに低かった。結果として、静かで不公平な選別メカニズムが生まれている。

私は、優秀な候補者が、ソフトウェアのフィルターが特定のインターン肩書を認識しないという理由だけで、容赦なく切り捨てられる場面を目の当たりにしてきた。GPAが4.0で同じ学生が2人いても、経験が文書化されている方は採用担当の自動フィルターを通過し、もう一方は見えないままだ。

そしてジョージタウン大学Center on Education and the Workforceは、教育におけるギャップが、社会で十分に代表されていない学生に不均衡に影響し、上方移動(社会経済的上昇)を制限していることを明らかにしている。

Cスイートにとっての意味

この状況を見て、リーダーが「これは大学側の問題であり、カリキュラムを修正すべきだ」と言いたくなるのは理解できる。しかし、データは異なる物語を語っている。

AIが高速で職務を再編するなか、即戦力人材の不足はイノベーションの直接的な足かせとなっている。準備不足の新入社員の穴を常に埋めなければならないため、シニアスタッフが燃え尽きてしまう。体験学習を「あれば望ましいもの」として扱うことは、もはや戦略ではない。それはリスクである。

現代のリーダーが取るべき3つの戦術

1. 雑務を捨てよ。 インターンに場当たり的な作業を割り振るのはやめるべきだ。事業にとって本当に重要なことに取り組ませていないなら、実質的な価値を生む機会を逃している(そして多くの場合、人の時間を無駄にしている)。実際の成果にフォーカスした構造的プログラムを設計することだ。

2. ポテンシャルを再定義せよ。 学歴のブランドにとらわれず、代替的な経験を検証する。名門校だけが才能の指標ではない。教え込むことができない粘り強さを身につけている最もタフな候補者の一部は、地域の大学やコミュニティカレッジにいる。プロジェクト型の授業や、関連するサイドビジネスも能力の証明になる。学生が成果としての熟達を示せるなら、それは大学のブランドや、経済的に参加できなかった無給インターンよりも重要であるべきだ。

3. 内側を見よ。 これらの原則は、現在のチームにも同様に適用できる。社内ローテーションやストレッチ案件は、中堅プロフェッショナルにとってのインターンシップにすぎない。AIの時代、リスキリングは恒常状態であり、実地での適用こそがそこに最速で到達する道である。

学位プラスの時代

学位はいまも重要だが、そのシグナルは弱まった。経験こそが価値を持つ通貨になっている。

リーダーにとっての問いは、もはやインターンシップが重要かどうかではない。問いは、あなたが意図的にその経験格差を埋めようとしているのか、それとも意図せずにそれが成長を制限するままにしているのか、ということだ。人材パイプラインが自然に修正されるのを待つのはやめて、仕事の未来への橋を築き始める時である。

forbes.com 原文

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