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2026.03.11 16:08

女性のための交渉術「リレーショナル・アスク」とは

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誰しも、難しい会話は気が重いものだ。

本番に入る前から頭の中で何度もリハーサルを繰り返す人もいれば、できるだけ先延ばしにする人もいる。どんな対処法であれ、こうした場面が居心地の悪いものであることに変わりはない。

交渉も例外ではない。特に職場では顕著である。給与アップ、リモート勤務日数の増加、挑戦的な任務の獲得など、何を求めるにせよ、近づく会話を憂鬱に感じているかもしれない。

女性にとってはさらに厄介だ。女性は交渉結果に差が出やすく、成功率が低い上に反発も受けやすい。結果として、機会は減り、給与は低くなり、職場での居心地も悪くなる。女性は男性と同じ頻度で交渉しているにもかかわらず、要求を通せる確率は半分にとどまる。

そもそも、交渉をしなくて済むとしたらどうだろうか。

この問いを投げかけたのが、Worthmore StrategiesのCEOであるキャスリン・バレンタインだ。彼女は最近のTEDxでこの問いを提示した。バレンタインは、女性のキャリアアップを支援することを専門とし、長年にわたり交渉に関する研究を重ねてきた人物である。TEDxでは、彼女が言う「女性として交渉するための秘訣」──「リレーショナル・アスク(関係性を重視した依頼)」を紹介した。

「世界トップクラスの研究者たちが、女性特有の交渉方法を示してくれた。しかし10年間コーチングをしてきて感じたのは、研究が正しい方向を示していたとしても、働く女性にとってはまだ曖昧すぎるということだった」とバレンタインは語る。「私はそのギャップを埋めるために、女性が交渉でより成功し、反発のリスクを減らすための公式を作った」

以下で、リレーショナル・アスクとは何か、どう実行するのか、そしてなぜ必要なのかを解説する。

残念な現実:リレーショナル・アスクが必要な理由

自信を持って必要なものを求めたり、職場での希望を率直に示したりした女性が、かえって裏目に出てしまった──そんな話は後を絶たない。

たとえばRedditで体験談を共有した女性のように。

彼女は昇給なしで横滑りの昇進を受け、後から昇給があるという約束だった。1年間懸命に働いた後、いよいよ昇給を求める時が来た。問題は、当時の上司が退職し、後任はその約束を知らなかったことだ。

話し合いの席に入ると、役割と責任を示す資料の提出を求められた。彼女の業務は、部門のサポートから部署全体のサポートへと広がり、仕事量は3倍になっていたにもかかわらず、「昇給に値するほどのことはしていない」と言われたのである。

この話が示すのは明らかだ。女性は仕事で成果を出すだけでなく、どれほど仕事ができているかを示す面でも、尊重を得るために並外れた努力をしなければならない。さらに、当然得るべきものを求める際に女性が示しがちな特性──自信、能力、野心──は男性なら称賛される一方、女性の場合は反発を招く

これが、避けて通れない現実である。

女性が必要なものを求める際、男性と同程度の成功を得るために交渉の仕方を調整しなければならないのは、確かに不公平だ。

「これまで私たちは、男性向けに作られた交渉ツールを渡され、それが女性にも通用するはずだと思い込んできた」とバレンタインは言う。「でも、通用しないのだ」

女性のために作られていないシステムの中で働くこと(職場における根強いジェンダーバイアスは言うまでもない)は、働く女性にとって残念ながら現実だ。そして、すぐには変わらない。国際労働機関(ILO)の推計によると、世界的なジェンダー平等を達成するには190年以上かかるとされている。

しかし、昇給、正当に得るべき昇進、より柔軟なハイブリッド勤務を求めるのに、ジェンダー平等の実現まで待つわけにはいかない。今この瞬間に、できるだけ反発のリスクを小さくしながら依頼を成立させる方法を知る必要がある。

リレーショナル・アスクを構成する4つの要素

バレンタインによれば、リレーショナル・アスクには4つの要素がある。

  • 過去の実績。これまでに達成した重要な成果は何か。
  • 将来のビジョン。その場にいる全員が望んでいることは何か。
  • 依頼(要求)。自分が望むものは何か。
  • 協調的な質問。会話を始めるための問い。

最も重要なのはここだ。質問を投げかけたら、話すのをやめる。自分に不利な条件で交渉してしまったり、要求を過剰に正当化したりしないためである。

リレーショナル・アスク全体は、2分程度で収まるのが理想だ。

リレーショナル・アスクの実例

準備は多少必要だが、実践はきわめてシンプルである。具体例を見てみよう。

上司のオフィスに入って「私は昇給に値します」と言う代わりに、こう伝える。

  • 過去の実績:「ご存じの通り、私は入社以来3年連続でKPIを達成しています」
  • 将来のビジョン:「今年も同じように達成できると考えています……」
  • 依頼(要求):「……そのために、私が出してきた成果に見合う報酬を希望します」
  • 協調的な質問:「いかがでしょうか?」

つなげるとこうなる。「ご存じの通り、私は入社以来3年連続でKPIを達成しています。今年も同じように達成できると考えています。そのために、私が出してきた成果に見合う報酬を希望します。いかがでしょうか?」

あるいは、子どもの学校への迎えに合わせて出社時間を調整する必要があるなら、こうだ。

  • 過去の実績:「ご存じの通り、私は新しい戦略を試験導入し、非常に良い成果が出ています」
  • 将来のビジョン:「今後、その取り組みをさらに広げていきたいと考えています……」
  • 依頼(要求):「ベストな仕事をするために、子どもを学校へ迎えに行ける必要があります」
  • 協調的な質問:「何か方法はありますか? たとえば毎日早めに出社するのはいかがでしょうか?」

まとめるとこうなる。

「ご存じの通り、私は新しい戦略を試験導入し、非常に良い成果が出ています。今後、その取り組みをさらに広げていきたいと考えています。ベストな仕事をするために、子どもを学校へ迎えに行ける必要があります。何か方法はありますか? たとえば毎日早めに出社するのはいかがでしょうか?」

この最後の例は重要だ。女性は男性に比べ、育児や家事といった無償労働に費やす時間が1日あたり2.5倍以上多く、その分だけ負荷が増している。仕事と並行してこれらのタスクを回すために助けを求めることは重要であり、当たり前のこととして受け入れられるべきだ。

何を交渉するにせよ、リレーショナル・アスクは、生産的で敬意のある、成果に向けた会話へと場を開く。

リレーショナル・アスクは効果がある

リレーショナル・アスクは、あなたの交渉スキルに欠けていたピースかもしれない。

女性がリレーショナル・アスクを用いると、望む結果を獲得できる可能性が高まり、交渉相手との関係を強めることすらある。さらに、この交渉スタイルは反発のリスクをほぼ排除できる。これは、難しい会話に臨む際に多くの女性が抱える不安を解消してくれる。

バレンタインはまた、交渉の直後にご褒美を計画しておくとパフォーマンスが向上すると指摘している。友人とのディナーを予定したり、新しい靴を自分に買ってあげたりするのは無駄ではない。むしろ、その難しい会話に踏み込むための動機になり得る。さらに良いのは、ディナーの前に友人へ「交渉するつもりだ」と伝えておくことだ。緊張しているときほど、実際に会話を持つための責任感が増す可能性がある。

「働く女性は、最も忙しい層の一つだ」とバレンタインは言う。「すでに抱えていることの上に、さらに交渉まで求めるわけにはいかない。だからこそ、この公式を作ることで、女性がより成功しやすくなり、準備に必要な時間も以前よりはるかに短くできる」

次に、働き方を改善できそうなことが出てきたら、会話の糸口としてリレーショナル・アスクを試してほしい。

forbes.com 原文

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