キャリア・教育

2026.04.07 16:15

英語教本42万部著者が明言 「知識量」「発話速度」は反比例、getでこれだけ伝わる

酒井一郎氏。1992〜2011年英検面接委員を務め、執筆した英語教育関連著書は19冊、累計42万部刷

酒井一郎氏。1992〜2011年英検面接委員を務め、執筆した英語教育関連著書は19冊、累計42万部刷

以下は元英検面接委員であり、英語学習関連書籍や教科書19冊以上、累計販売部数42万部の著者でもある酒井一郎氏による寄稿である。

「シンプルな英語」とは何か、そして、酒井氏が20年以上の英語教育歴を通して名言する「英語が口から出ない本当の理由」とは?


英語が口から出ない本当の理由─日本型「減点思考」が生む見えないブレーキ

英語の試験では高得点を取れていた。

単語も文法も、それなりに勉強してきた。

それなのに、いざ海外の会議や商談の場に立つと、言葉が出てこない。頭の中には言いたい内容があるのに、口が動くまでに数秒の空白が生まれる。

この経験に心当たりのあるビジネスパーソンは、決して少なくない。

多くの場合、この現象は「語彙が足りないから」「勉強量が不足しているから」と説明されがちである。しかし、実務の現場を観察すると、必ずしもそれだけではないことが見えてくる。

問題の核心は、知識量よりもむしろ─思考回路の設計そのものにある。

脳内に住みつく「検閲官」

日本の英語教育は、長年にわたり減点方式で評価されてきた。

100点満点から、誤りを一つずつ差し引いていく。

三単現の s がない。

スペルが一文字違う。

冠詞の使い分けが不適切。

こうした細かなチェックを何年も受け続けると、学習者の脳内にはある種の自動監視システムが形成される。

何かを話そうとするたびに、

「この表現は文法的に正しいか」

「冠詞は適切か」

「時制は一致しているか」

といった内部チェックが瞬時に作動するようになる。

本来、この慎重さ自体は悪いものではない。問題は、そのチェックが過剰に働く環境にある。

実務の会話では、この内的検閲が強く働きすぎると、ワーキングメモリ(作業記憶)の大半が「誤り回避」に使われてしまう。その結果、「何を伝えるか」という本来の目的に割ける認知資源が不足し、発話が遅れる。

いわば、脳の中で“安全確認”ばかりが先行し、アクセルが踏めない状態である。

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