北米

2026.03.11 12:02

建てすぎではなく、建て方の問題──アメリカ商業不動産が直面する本当の課題

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長年にわたり、商業不動産をめぐる支配的な語り口は単純だった。米国は建てすぎている、と。オフィスが多すぎる。郊外型ショッピングセンターが多すぎる。供給が過剰で、需要が追いつかない。

しかし、この診断は本当の問題を見誤っている。米国は建てすぎているのではない。建て方が間違っているのだ。

不動産が多すぎるのではない。間違った種類の不動産が間違った場所にあり、急速に消えゆく米国の暮らし方を前提として設計されている。この事実を認めない限り、誤った道具で誤った問題を解こうとし続けることになる。

不動産市場は崩壊していない

パンデミック後の経済が不動産需要を破壊したわけではない。人々は依然として消費し、旅をし、働き、集う。ただし、物理的な空間に求めるものが劇的に変わった。

いま、平均的な消費者が探しているのは床面積ではない。求めているのは歩いて移動できること、利便性、そしてコミュニティだ(米国はかつてないほど孤独になっている)。

価値も求められている。なぜなら、手頃さは今や国の多くにとって決定的な経済課題だからだ。2025年には米国人の92%が支出を切り詰め中間層は縮小している。

問題は、建築環境の多くが別の時代に最適化されている点にある。通勤が当然で、出社が必須で、小売が「体験」ではなく「商品」を中心としていた時代だ。

オフィス危機は「在宅勤務」だけの問題ではない

オフィス不況をリモートワークの物語として捉えたくなる。だが、それは一部にすぎない。

より深い問題は、米国が数十年かけて「最も代替されやすい」タイプのオフィス空間をつくってきたことにある。場所の魅力ではなく規模を優先して建てられた、低〜中品質の郊外型物件だ。郊外オフィスの空室率は2025年末に過去最高の32.9%(有料記事)に達した。

従業員が選択肢を持つ世界で、企業は厳しい真実を学びつつある。人に出社してほしいなら、オフィスは出社する価値のある場所でなければならないのだ。

いま価値を保っている建物は、住宅、飲食、交通、文化、日常生活の近くにある。高度なテクノロジーと多くの利便性を備え、オフィスパークの中にはない。

米国人が求めているのは、より広い空間ではなく、より良い空間である

現在の不動産環境で最も誤解されている点は、需要が消えたのではないということだ。より選別的になったのである。

人々はコミュニティの一員でありたいと望んでいる。「サードプレイス」──カフェ、ジム、公共空間、地元小売──など、他者と交流できる場所を求めている。小売では、ほとんど何でもオンラインで買える時代に、ある人々にとっては実店舗での体験が、商品そのもの以上に重要になっている。

両方を提供できる不動産は、時に希少な存在となり得る。

私たちはクルマと通勤のために建ててきた

過去40年の標準的な開発モデルを振り返れば、住宅は職場から遠くに、職場は住宅から遠くに建てられてきた。小売は孤立した箱として建てられた。オフィスキャンパスは駐車場に囲まれてつくられた。

このモデルは膨大な床面積を生んだが、必ずしもより良い場所を生んだわけではない。建設するうえでの金融効率は高かったが、持続力は欠いていた。そして今、その帰結が現れている。物理的には健全でも、機能的には陳腐化した不動産である。

不動産を再発明すべき時である

良い知らせは、建て方を間違えた不動産が行き止まりではないことだ。

全国で、業績不振の小売施設、オフィスパーク、老朽化した郊外の幹線道路沿いの物件が、再開発と用途転換の機会を提供している。

例えば次のような取り組みだ。

・余剰オフィスを住宅へ転用する

・機能不全に陥った小売施設を複合用途エリアへ再構築する

・空き不動産を医療施設、保育施設、教育施設、レクリエーション施設へ転用する

目標はすべての資産を救うことではない。人々が実際に求める場所の種類へ、土地と資本を再配分することにある。

未来は、より人間的である

「建てすぎ」という物語が心地よいのは、解決策が時間だと示唆するからだ。十分に待てば、市場が余剰を吸収すると。

だが実際に必要なのは変化である。再開発、用途地域の変更、ポジショニングの見直し。次の不動産の時代を規定するのは、最も多くの床面積を持つ者ではなく、人々が実際に住みたいと思う場所の種類だ。勝者となるのは、規模の追求をやめ、コミュニティのための設計へと舵を切る者である。

(Forbes.com 原文)

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