たとえば、かわいいぬいぐるみの写真を撮るとき、ぬいぐるみ単体よりも、誰かに触れられている写真のほうが、よりかわいく見えるという研究結果が報告された。日本でもアメリカでも同様の傾向が示されたことから、グローバルな広告に応用できそうだ。
お人形やぬいぐるみ、さらにはアニメのキャラクターなど、頭や目が大きくて赤ちゃんのような顔つきをかわいく感じるが、この特徴を、オーストリアの動物行動学者コンラート・ローレンツが1943年に「ベビースキーマ」と名付けた。それは長い間、個体の特徴だとされてきたが、近年では社会的な関係性も関与することが示唆されている。
そこで、大阪大学大学院人間科学研究科の大橋紅音さん(博士後期課程)と入戸野宏教授は、「かわいさ」に関する心理メカニズムについて、日本語を母語とする成人男女198人と、英語を母語としてアメリカ国籍を持つ成人男女199人を対象にアンケート調査を行った。

調査対象者には、4パターンの写真を見せて、それぞれのかわいさ(英語ではcute)を7段階で評価してもらった。写真は、男女1人ずつがモノを持つ、または持たないポーズの写真を使用した。モノは、ベビースキーマが高いパンダとトリケラトプスのぬいぐるみ。低い灰色と黒色のビーズクッションの4種類。モデルの顔は写っていない。

すると日米ともに、ぬいぐるみは、クッションにくらべてよりかわいいと感じられることが示されたのに加えて、人が持っていると、わずかではあるが、さらにかわいい評価が高まった。

これにより、社会的関係性の影響がはっきりしたわけだが、同時に「個体同士の親和的な関係性」も示された。それというのも、触れられているモノだけでなく、触れている人も、よりかわいく感じられることが調査で判明したからだ。
その結果、広告の商品写真をかわいく見せたい場合は、商品単体よりも、モデルがそれを持っている写真のほうが効果的だと研究グループは話す。逆に、モデルをかわいく見せたいなら、かわいいものを持たせる。「かわいいという感性価値を活かした商品を海外に展開していくときの参考になります」ということだ。



