トランプの他の個人資産も、彼に取り入ろう、あるいは少なくとも支持を示そうとする人々の動きで値上がりしている。その一つが、フロリダ州パームビーチにある会員制クラブ『マールアラーゴ』だ。
この施設は、他のどの物件よりも政治の恩恵を受けてきた。「冬のホワイトハウス」とも呼ばれ、トランプが世界の首脳たち(ゼレンスキー、ネタニヤフら)と会い、盟友たち(マスク、チャンポン・ジャオ)を迎え、シリアやイランへのミサイル攻撃を命じる場にもなってきた。トランプが1985年に推定1000万ドル(約16億円)で取得したこの資産について、Forbesは現在の価値を約5億6000万ドル(約885億円)とみている。1年前より約3億7000万ドル(約585億円)高く、2018年時点の3倍超である。一方、6州にあるトランプの10カ所のゴルフ場も大きく値上がりした。支持者が通い続け、利益が急増しているためである。これらの資産価値は現在約5億5000万ドル(約870億円)で、前年の3億4000万ドル(約538億円)から増えた。
それでも、暗号資産価格と、トゥルース・ソーシャルの親会社TMTG(トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ)の株価が最近失速していなければ、トランプの資産はさらに大きかったはずである。大統領の純資産は9月に過去最高の73億ドル(約1兆1541億円)に達した。しかし、トランプが保有する推定1500万超のワールド・リバティ・ファイナンシャルのトークンは、その月に公開取引が始まって以降、価値が64%超下落した。Forbesは、流動性の低さを踏まえた割引を適用したうえで、トランプ保有分のトークンを1億7500万ドル(約277億円)と評価している。
一方、TMTGの株価は先月、過去最低を付けた。この創業5年の企業に対するトランプの持ち分価値は12億ドル(約1898億円)となり、1年前の26億ドル(約4112億円)から下がった。同社株は、ビットコインや他のトークンの急落、多額の損失、低調な売上高を背景に、数カ月にわたって下落基調が続いていた。12月に発表された、TMTGとカリフォルニア州の核融合エネルギー企業TAEによる60億ドル(約9488億円)規模の合併も、投資家心理の改善にはつながらなかった。さらに2月下旬、ティッカーシンボル「DJT」で取引される同社は、売上高わずか370万ドル(約5億8000万円)に対し、2025年の純損失が7億1200万ドル(約1126億円)に達したと発表している。前年の純損失は4億100万ドル(約634億円)だった。同日、TMTGはトゥルース・ソーシャルを切り離し、新たな上場企業にすることを検討していると発表した。
トランプの寄せ集めの新規事業がすべて無価値になったとしても、トランプ大統領本人はまったく困らないだろう。最も忠実な投資家たちが、彼が売り込んでいるものの中身の乏しさに気づく前に、すでに数億ドル(数百億円)を現金化しているからだ。


