北米

2026.03.11 13:00

高齢化する米国の政治家、定年制を設けるべきか?

米連邦議会議事堂(Shutterstock.com)

米連邦議会議事堂(Shutterstock.com)

米国の政治家の平均年齢が急上昇している。こうした公職者には年齢制限を設けるべきだろうか?

かつて下院議員やシカゴ市長を務め、2028年の民主党大統領候補指名を目指すラーム・エマニュエルはそう考えている。エマニュエルは、大統領、副大統領、連邦議会議員、閣僚、連邦判事に対する定年制の導入を求めている。

米国では1980年代以降、下院議員の平均年齢は51歳から58歳に、上院議員は54歳から64歳に上昇した。米議会は「世界一の老人ホーム」だとやゆする声もある。だが、高齢化は議員だけに限った話ではない。最高裁判事は、死ぬか瀕死の状態まで職にしがみつくことで悪名高い。

大統領に関して言えば、ジョー・バイデン前大統領は82歳で退任した。同大統領は政権に就く以前から既に衰えが目立っていた。認知症が進行していたにもかかわらず、同大統領は任期をまっとうすることを許された。現職のドナルド・トランプ大統領も、間もなく80歳の誕生日を迎えようとしている。

だが、選挙で選ばれた大統領や公職者が政府での職務を終えるべき時期について、恣意(しい)的な年齢制限を設けることが解決策になるわけではない。歴史上には、ロナルド・レーガン大統領をはじめ、75歳を超えても活躍した偉人の例が数多く存在する。

第二次世界大戦中、米陸軍のヘンリー・スティムソン長官は原子爆弾の開発を監督した。同長官は戦時中に75歳の誕生日を迎え、2年後に訪れた米国の勝利に決定的な役割を果たした。英国のウィリアム・グラッドストンは1800年代後半に4度首相を務め、うち2期は75歳を超えていた。実際、最後の職務から引退したのは85歳の時だった。英国のウィンストン・チャーチルが2度目に首相に選出されたのは、77歳の誕生日を目前に控えていた時だった。フランスのジョルジュ・クレマンソーも第一次世界大戦中に首相に就任した時、すでに70代後半だった。「虎」と呼ばれたクレマンソーは、士気が低下した国家と崩壊寸前の軍隊を勇敢にまとめ上げ、最終的な勝利に導いた。マレーシアのマハティール・モハマドは1981~2003年まで首相を務めたが、2018年に政界復帰を果たし、92歳で再び首相に就任した。その際、マハティールの知性の鋭さや確固たる統率力に疑いの余地はなかった。

高齢化する米国の政治家に対処するには、高齢の候補者に投票しないという方法以外に、任期制限を設けることだ。下院は連続8年、上院は2期で12年だ。任期制限は特に下院に適している。下院では事実上、選挙区の区割り操作が横行しており、有権者が政治家を選ぶのではなく、政治家が有権者を選ぶことが可能になっているからだ。一方、連邦地方裁判所判事、控訴裁判所判事、最高裁判所判事については、憲法が終身制を明確に定めている。

年齢に焦点を当てることは、政府の規模と範囲という米国の真の問題を無視している。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事