韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は10日、米国が朝鮮半島に配備中の先進ミサイル防衛システムの一部を中東へ移動させているとの報道について認め、韓国政府としては反対しているものの、イランとの対立激化で米国の兵器在庫への懸念が高まる中、韓国側には口出しする余地がない可能性があると述べた。
米紙ワシントン・ポストは9日、米軍が対イラン軍事作戦の開始から2日間で56億ドル(約8830億円)相当の武器弾薬を消費したのち「世界の他地域に配備されていた軍事資産の再配置を行っている」と報じた。同紙によれば米国防総省は、弾道ミサイル迎撃システムである「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の一部も韓国から中東へ移動させているという。
この報道について李大統領は10日、「状況次第で」「在韓米軍が自国の軍事的必要に応じて、一部の防空システムを韓国外へ搬出する可能性がある」と記者団に語り、「われわれは反対意見を表明しているが、現実にはわが国の立場を完全に貫き通すことはできない」と続けた。
その上で李大統領は、在韓米軍が「朝鮮半島の安定と平和に全面的に貢献する」ことを期待していると述べ、再配置の動きが北朝鮮に対する抑止力に影響することはないだとうとも付け加えた。
開戦前から防空在庫に懸念、米制服組トップが「枯渇」警告
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは3月1日付で、米軍制服組トップのダン・ケイン統合参謀本部議長が対イラン軍事作戦の計画段階で、米国の弾薬備蓄量への懸念を表明したと報じている。
このときケインは、紛争が長期化すれば、ここ数年間のウクライナやイスラエルなどの軍事作戦への支援ですでに逼迫している米軍の精密誘導兵器の備蓄が、深刻な枯渇に陥ると警告したとされる。主な懸念は、イランの弾道ミサイルやドローンの波状攻撃から中東諸国を防衛するのに不可欠な防空兵器の備蓄量だったという。
トランプは一蹴、「永遠に戦える」と豪語
ドナルド・トランプ米大統領は先週、自身のSNSトゥルース・ソーシャルへの投稿で、米国の兵器在庫に関する懸念を一蹴。「米国の弾薬備蓄は中級・中上級グレードにおいて、これまでで最も充実している」「これらの兵器が事実上無制限に供給される。これらの備蓄だけで『永遠に』、成功裏に戦い続けることができる」と主張した。
一方でトランプは、最先端兵器については「十分な供給があるものの、望ましい水準には達していない。上級グレードの兵器の多くが周辺諸国に保管されている」と認め、ジョー・バイデン前大統領を「任期と国庫のすべてをウクライナのゼレンスキーに捧げた」と非難していた。
米中央軍は「ハイマース」誇示
米中央軍司令部(CENTCOM)は9日、Xへの投稿で「高機動ロケット砲システム(HIMARS:ハイマース)」を紹介し、「イラン政権との戦闘において比類なき深部攻撃能力を提供する」と記した。
これを受け、イランのアッバス・アラグチ外相は「米中央軍よ、隣国の領土を利用してHIMARSシステムを展開していることを認めてくれて感謝する。狙いはわが国民であり、海水淡水化プラントもどうやら標的のようだ」と投稿。「報復としてわが国の強力なミサイルがこれらのシステムを破壊しても、それがどこであろうが、誰も文句を言ってはならない」と警告した。
この脅しは、イランが湾岸の米同盟国に対する攻撃が続く可能性が高いことを示唆している。



