元会計士で共同創業者兼CEOのMike Whitmireは、IPO前のフィンテック企業FloQastを率いている。
CEOとして私は、最も複雑な経営課題の原因は資本不足ではなく、監査可能な信頼の欠如にあると常に信じてきた。FloQastでは、創業当初から財務の透明性を文化の柱としてきた。というのも、帳簿を閉ざす発想が、企業のミッションとそれを実現する人々との間に断絶を生む様子を、私は身をもって見てきたからだ。
従業員が舞台裏で何が起きているのかを知らなければ、ビジョンに共感しない。仕事はパートナーシップではなく、単なる給料のためのものになってしまう。
認めたくはないが、現在、メジャーリーグベースボール(MLB)は、まさにこの信頼のギャップによって2027年のロックアウトに向かっている可能性がある。ローカルのメディア権の集約や、より多くの試合を全国向けに販売することを巡る最近の議論は、この緊張をいっそう増幅させている。収益が実際にどのように測定され、配分されるのかという新たな疑問を生むからだ。論者は選手の強欲さやオーナーの吝嗇さを指摘するが、私には透明性の欠如によってシステムが機能不全に陥っているように見える。
チームを財務目標と整合させるのに苦労しているなら、MLBの「サラリーキャップ神話」から、オープンさをもって率いるための3つの重要な教訓が得られる。
1. 壊れた土台の上に均衡は成り立たない
NFLではリーグがメディア権を保有し、収益を均等に分配する。MLBでは多くの球団がそれぞれのローカル権利を保有している(リーグ運営側は中央集権型モデルを探りつつあるものの)ため、莫大な収益格差が生まれている。例えば、ロサンゼルス・ドジャースはテレビ放映権から年間3億3500万ドルを得られる一方、マイアミ・マーリンズはわずか5300万ドルにとどまるかもしれない。
支出下限を強制すること(そもそも選手側が上限に同意するとすれば、その見返りとして唯一あり得るのがこれだ)を、それを支えるだけの収益がないまま行えば、均衡ではなく破綻へのレシピとなる。
リーダーシップの教訓:厳格なKPI(重要業績評価指標)や支出制限を導入する前に、すべての部門が同じ土俵で戦っているかを確認せよ。FloQastでは、財務の良い面も悪い面も語り、チームが目標の背後にある「なぜ」を理解できるようにしている。不均一な資源から均一な成果を求めることはできない。
2. 75%ルールに注意せよ
MLBで大きな変更を行うには、オーナーの75%(23球団)の合意が必要だ。これが膠着を生む。大市場の球団は80億ドルのテレビ契約を分け合おうとせず、小市場の球団はサラリー下限を負担できない。
リーダーシップの教訓:組織内の「阻害要因」を早期に特定せよ。社内規程やインセンティブ設計が、変更にほぼ全会一致を要求するなら、現状維持を実質的に奨励していることになる。イノベーションのためには、合意形成の摩擦を下げ、協働的な意思決定を育てる必要がある。
3. 財務の透明性は最も価値ある資産である
MLBオーナーにとって長年のレッドラインは、財務の透明性だった。選手に上限へ合意してもらうには、Regional Sports Networkの持分、球場の不動産、ギャンブルから、実際にいくら稼いでいるのかを正確に開示しなければならない。そしてリーグがメディアとギャンブルの収益源の再編を検討するなかで、標準化され監査可能なデータの必要性はいっそう切迫している。これがなければ、交渉が始まる前に信頼は蒸発する。
リーダーシップの教訓:チームが数字を信じられなければ、ビジョンには乗ってこない。透明性こそが冷笑主義に対する唯一の治療薬である。たとえニュースが率直なものであっても、ありのままでいることが信頼の土台を築き、チームが課題に共に向き合う助けとなる。会計士は帳尻を合わせるだけの存在ではない。真実を示すためにいる。
前進への道筋はある
ロックアウトを避けるには、MLBには新たな契約以上のものが必要だ。監査可能な信頼へ至るロードマップが求められる。(完全な開示として、私の会社はメディアとギャンブル収益を透明に扱うための中央集約的な組織を提案している。)
自社のビジネスでも、危機が訪れて抜け穴が露呈するのを待ってはならない。交渉のテーブルに着く頃には、勝つために必要な信頼を築くには、往々にして手遅れなのだ。



